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やはり雪が降った。昨夜2時ごろ外に出た時にはすでに辺りは白くなっていた。その雪が今も止まない。それでも、その割には積もる量は大したことなくせいぜい4,5センチ、心配することはないと思っている。それに気温がさらに下がる夜には、雪は止むという予報のようだ。
各地の大雪の被害の様子が伝えられている。除雪の苦労を知らないわけではないから、その大変さが伝わってくる。長い交通渋滞に巻き込まれた人たちもいて、狭い車内に長時間閉じ込められ、これも相当に応えたことだろう。トラックの積み荷の中には食糧となる物もあって、それを分け合って食べたという美談も報じられているが、その親切の後のことが心配になる。
この4,5年、入笠の小屋の屋根の雪下ろしをしたという記憶はないが、もっと以前には大量の雪が降った年があって、小屋が潰れてしまわないかと本気で心配したことがあった。運の良いことに、よく知っている山岳会の会員が宿泊していて、彼ら彼女らにも雪下ろしを手伝ってもらった。きょうの写真でも分かるように、これは管理棟だが、屋根の傾斜は大したことがない。それでもその時、誰かが滑り落ちたと言っていた。
雪下ろしは結構危険な作業で、何年前になるだろうか、北信の方で親しくしていた民宿の主が屋根から落ちて死ぬという事故があった。その人の強い滑り方に憧れ指導も受けた謂わばスキーの師匠で、当然運動神経にも優れ、何より雪に慣れていたはずだった。それでもそういうことが起こる。他人のことは言えないが、特に高齢者のこうした事故は、地方の過疎化と相まって、深刻な事態だと思う。
入笠ごときと高を括っていたころ、冬の星座を眺めながらとわざわざ夜間を選び、芝平から法華道ではなく通勤に使う林道をスノーシューズで上がろうとしたことがあった。その時に、ド日陰の少し手前でキクをなくした。あれから何度も冬は来て、上に行った回数もそれなりにある。同じ経路も何度か歩いているはずだが、あの事故のこと以外、いろいろあったはずの記憶も、もう、はっきりとしない。
何年も前の山の記憶を、昨日のことのように語れる人がいる。それができればこの独り言はもっと楽になるだろうにと、その記憶力を羨ましく思う。
柿の木に来ている椋鳥の声がする。ギャーギャーなどと呼んだ鳥だが、雪中にいい声で鳴いている。
本日はこの辺で。