入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      ’24年「冬」(16)

2024年11月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 朝湯につかりながら、さてきょうは何を呟くかと独り言の種を考える。牧場に関しては、いろいろと独り言ちたいことはあるけれど、まだ少し早い。
 
 さりとて、アメリカ大統領バイデンの無能をなじるのも牛守には過ぎたことで、しかしアメリカはこの老人のせいで、良識のある民主党員はもう主役に躍り出ることができないような気がする。理念、理想よりか、目先の功利的なことしか考えない次期大統領のような人に、ジーパンと国旗大好きな国民はますます傾斜していくだろう。
 身の程、分を考えれば、とっくに引退しているべきだ。それがよろよろと歩み寄ろうとしてこけてみたり、台詞を間違えたり、あれで「世界のリーダー」とは聞いて呆れる。余程大統領執務室の暖炉のぬくもりが心地よかったのだろう。
 せめて退任前に、イスラエルに対してはすべきことがあったはずだが何もせず、あれで歴代の大統領の中で最低の地位に自ら座ってしまった、と。
 
 ユダヤ人も、すっかりネタニエフのせいで、再び世界の嫌われ者になってしまった。「サピエンス全史」や「ホモデウス」で健筆を振るったユダヤ人著者、ユウ"ァル・ノアハラリがイスラエル政府の今やっていることや、ガザの悲惨な現状をどう見ているのか是非聞いてみたいものだ。
「宗教は阿片だ」と言った人は誰だったろう。

 もうすぐ昼になる。早い。身体が今の暮らしに慣れる前だから、身はどうしても上のような動きをしたがる。いくらじっとしていろと言い聞かせても、ついちょろちょろとネズミのような真似をして、こちらもしっかり老人なのだから分をわきまえろと天の声がする。
 昨日、堀りたての大根をもらった。いい出汁をひき、これを煮ろとご婦人の足のような大根が言ってるみたいだ。もちろんのこと自信ありだ。

 昨日は、庭の草も刈ったが、頭の毛を刈った。考えてみれば、20年以上、いやもっと床屋とは縁なく、自分でやっている。ほぼ丸坊主になって、頭が殊の外涼しい。しかしそれで回転が良くなり、名案が浮かぶというわけではない。
 本日はこの辺で。

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      ’24年「冬」(15)

2024年11月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 午前6時、外に出てみたら今朝はそれほど寒くない。それとも、このくらいの気温が里の今なのか、7度5分。室内の温度は20度、エアコンは切ってストーブだけにしたが、風呂から出たばかりだから熱いくらいだ。

 きょうも格別な予定はない。昨日は道路に面した生垣の剪定をしたばかりだが、気が向けば、少しは放ったらかしたままの庭の雑草でも刈ろうかと考えている。ただし、これもあくまで気分次第で、急がない。
 好きなようにして、少しづつここの暮らし慣れていけばいいと思っているし、今だけに過ぎないかも知れないが、退屈を厭わない。しばらくは勝手気まま、それでも文句を言う者などいないはず。それに、何しろこっちは後期高齢者だワイ。
 安気気楽、そして清貧独居禁欲はわが生活信条ながら、持たざる者としてはこれもそうせざるを得ない面もあり(クク)、手綱を緩めたら暴走するような牛にはなれない。

 一昨日はビールと酒、それに魚や肉、野菜を買った。山から下りた日は、上で炊いた米を持ち帰ってそれを食べ、昨日になって米と味噌がないのに気付いて買った。
 不思議なもので、後回しになったそれら2種の必須食料が手に入っただけで安心できた。米と味噌だけでは何の料理も作れないことが分かっていても、それだけあれば最悪の餓死だけは避けられるということだろうか。
 今は近くの田圃の中にスーパーがあるから、必要な物はそこで手に入り食べることに心配ないが、そのうち清貧に戻って雨ニモ負ケナイ生活をしようと思っている。
 
 かんとさん、通信有難かったです。先日は、小屋に訪れた人たちと、星の狩人の写した貴重な星や星雲の映像を55インチのテレビで見ました。さすがに迫力があり、「ワー」とか「スゴイー」とか、大好評で、皆さん手を携えて「無窮の遠(おち)」へと飛んでいきました。乾いた科学知識ではなく、UFOや宇宙人に関心のある人たちのようでした。

 本日はこの辺で

 

 
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      ’24年「冬」(14)

2024年11月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 つい幾日か前までマスコミは「暑い、暑い、異常気象だ」と報じていたかと思えば、今度はやれ「寒波だ、大雪だ」と騒ぎ立てる。感情を露わに、品までつけて、得意気に聞こえるあの女性の口調も、いつもながら聴きずらい。
 夏が暑く、冬が寒いのは当たり前で、その土地に暮らす人ならまだしも、たまさか訪れた観光客に、聞く側が求めている感想を言わせてみたところでどうする。もちろん、地球温暖化の問題を忘れたわけではないが。

 里での暮らしがきょうから始まった。水道の栓をひねる時、躊躇する癖はやがてなくなるだろうし、食器を洗う際には温水が当たり前のように出てくる。何よりも有難いのは、いつでも好きな時に風呂に入ることができることで、これらのことは上ではできなかったことだ。
 今年は例外、別にして、水汲みの必要も、取水場まで行って米を研ぎ、食器を洗う必要もない。灯油の心配もガスの気遣いも不要になった。
 
 寒さに関しては、上とは6度くらいの温度差があるはずだが、きょうあたりはここも寒い。先程エアコンは切ったが、ストーブは燃えている。(また1行呟きが消えた)。
 昨夜はそのストーブの上で酒を温め、急ごしらえのおでんと酒盗を肴に、ビールも加えて程よく呑んだ。ささやかな宴である、7か月の、そして18年目の勤めを終えた自身への労いの意味でもあり、そのくらいは天が許すと言ってくれた。
 
 外は小雨が降っている。きょうは一日中こんな天気だろうが、上はどうだろうか。牛はいなくも、何かを置いてきたような気がしているのは、一昨日の、それも午後過ぎてからから急に寒くなり、翌朝は零下まで下がった気温のせいだろうか。
 あの狭い6畳の部屋で、来る日も来る日も窓越しに外の景色を眺めていた自分のことを、一夜が過ぎただけで、もう、他人のことのように思い出している。
 本日はこの辺で。


 
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      ’24年「冬」(13)

2024年11月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 遠くに見えるのは上から2番目、下からだと、5番と6番の間のヘツリを省けば、8番目の丸太橋
 
 午前5時半、室内気温3度、外気温マイナス4度。昨日は午後になって急に冷え込んできた。「出鼻を挫かれた」のではなく、どうやら天気予報は当たったようだ。
 昨夜は一度も鹿の声を耳にしなかったし、あまりの夜の静けさに、雪が降っているのかと疑ったほどだが、そうではなかった。本格的な冬の到来を、森や林も息を殺したように物音を立てずに迎え入れたようだった。
 それにしても、水道をこれほど長く使えたのは記憶になく、初めてのことだろう。冬が待っていてくれた、という言い方もできよう。

 さて本日、牧を閉じて山を下る。大量のビンや缶は例年通り専門業者の所へ持ち込み、洗濯機の中の洗い損ねた衣類を含めその他も家の洗濯機やランドリーに頼ることになる。それでも、持ち帰らなければならない荷物は今年はいつになく多く、きょう一度だけでは済まず、また来なければならない。
 どうも毎年、そういうことばかりが気になって、牧を、あるいは山を去る心境については充分に落ち着いて呟くことができなかった。

 今年も、この一年を振り返ることは里へ下りてからになりそうだが、牧場に勤めてからこれで18年が過ぎたことになる。長くもあったし、短くもあった。(ここでまた3行ほど文字が消えた。字数と関係するのだろうか)。
 入笠と言っても、それは単に入笠山というわけではなく、牧場を中心にした落葉松やコナシ、ダケカンバ、モミなどの森や林、テイ沢、南沢、東谷などの清冽な水が穿った渓谷、多くの名前を知らない草花や鳥などなど、ここで目に触れる自然のすべてである。もちろん、吸い込まれるような広く大きな空も、無窮を思わせる星の海も当然含まれ、忘れるわけにはいかない。
 
 これらに対する思い入れは、誰にも負けないと自負してきた。その思いは今も変わらない。
 しかし、単純に言えばそれほど相手に魅了されたからで、お慕い申し上げた相手と同じく、全身全霊を込めたくなるほどの存在であったのだ。言い方を変えれば、磁石に引かれる金属粉のようなもので、この思いは抗いようもなく強いが、とはいえ、受動的でもあるのだ。
 入笠の自然という女王の強い磁力に引っ張られてひたすらかしずいてきた廷臣のつもりでも、果たしてよく務めることができたかはまだお言葉を頂戴していない。
 本日はこの辺で。
 
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      ’24年「冬」(12)

2024年11月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨夜は雨の音を聞きながら眠った。早朝に目覚め、カーテンの間から外を覗くと、周囲はすっかり霧に閉ざされていて、気温も低そうだった。
 二度寝をして起きてみると初冬の青空が拡がり、午前9時の段階で気温は10度を超えていた。確か、今週あたりから冷え込むような話だったと昨日、迷いを重ねてきた水回りも冬支度をすべて済ませ、取水場以外の水の流れを完全に止めたというのに、まるで出端を挫かれたようなものだ。
 週末に2泊3日の予定でやってきた男ばかりの3人組らは、半ズボン、半袖のR君以下誰も寒いという言葉を口にしなかったし、そればかりか、小屋に泊まった、こっちは男1名に女3名の4人組は、ここの気温が思いがけなかったようで、「暖かい」を連発していた。

 いよいよ明日、ここでの暮らしを終えて牧を閉じ、山を去る。きょうと明日は、小屋の荷物の片付けが精一杯で、他には手が回らないかも知れないが、できれば山道の整備を完了してない北原新道と御所平峠には行っておきたい。
 テイ沢には昨日行ってきたし、牧場の各牧区の入り口は施錠した。後は、時折近くまで訪れる猟師や猟犬、その銃声や咆哮におののくことがあっても、牧場内は立ち入り禁止で猟場ではないから、雪が降るまでの間は鹿の天国になってしまうだろう。

 猟期が始まったというのに、山は静かだ。いや、猟師だけでなく、富士見のゴンドラが点検整備のため1か月ほど営業が休止となり、それに先日呟いた通り伊那側も、千代田湖から枯れ木の頭までがすでに通行止めとなっている。一般の人たちにとっても、これまで以上に入笠へ来るのが不便になった。しかしそれが、この時季の本来の山の味わいを深めることにもなる。
 と、そんなことを呟いていたら、ガス回りの最終点検のため、いつも世話になっているNさんが忙しい合間を縫ってきてくれたようだ。車の音がする。まだ詳しいことを呟くのは先になるが、氏の厚意をどこまで生かせるかと、少し複雑な思いで受け止めた。
 
 テイ沢から来たのだろう、クマよけの鈴の音を響かせながら2名の登山者が通り過ぎていく。天気も良く、冬へと向かう静かな山の気をあの人たちは存分に味わえたことだろう。
 まだ、雪が降って車で来られなくなるまでは、時折は見回りに来なければならないし、今年も越年は法華道を歩いて登ってもここでする。
 本日はこの辺で。


 

 
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