若葉にておん目の雫ぬぐわばや 芭蕉
唐招提寺の広い境内は静かだった。奈良へ入ってまずここを訪ねた。開山堂の鑑真和上にまみえることが叶った。暑さを忘れた。忘れるはずはなかったが、おん目を潰された和上の前では暑いなどとは言えなかった。滴る汗を拭い拭いしてこの場にしばらく留まった。
奈良は薬師寺、興福寺、法隆寺、東大寺などを見て回りたい。問題は怪我の足だ。装具を着けたままだから、よちよちのろのろだ。どうなることやら。立ち往生しなければいいのだが。奈良二泊ではすまないかもしれない。船のレストランが6時に開いた。トーストとコーヒーのモーニングセットでもいいな。さ、着替えよう。
もうすぐ明石海峡。5時を過ぎた。目が覚めた。阪急フェリーは7時には神戸に到着する。長崎の中学生の修学旅行団一行といっしょだ。先生が寝ずの番をしておられる。彼らは姫路城を見て京都で自主研修をするらしい。僕は神戸から高速で奈良へ向かう。まずは薬師寺を目指す。今回はひたすら仏像を見て回る。奈良から京都、それから琵琶湖を周遊しつつ滋賀、福井まで足を延ばす予定。仏像仏画の仏教展覧会、展覧会へ。車には自転車を積んできた。拠点拠点で、サイクリングも楽しみたい。宿はまず二日分おさえた。天候とお金と元気が維持できますように。
