僕は僕の息継ぎ方をして泳ぐ。下手くそな泳ぎである。中々先に進まない。水を飲んでしまう。沈む。嫌になる。それでもそれが僕らしい。いかにもいかにも僕らしい。ぶきっちょな僕らしい。スイスイスイスイと泳いでいる人もいるのに、僕はまだ半分の、その半分くらい。かっこ悪いなあ。泳ぐのを止めてしまいたくなる。体育の水泳の時間。プールの水が塩素臭くてかなわない。体育の教師が笛を吹く。授業終わりの笛を吹く。やっと終わったのだ。空を白い雲が流れている。
これで、この年齢まで生きて来たのだ。生きて来られたのだ。それでもそれが僕らしい。いかにもいかにも僕らしい。
体育の教師が笛を吹く。授業終わりの笛を吹く。やっと終わったのだ。空を白い雲が流れて行く。