とうとう今夜から電気行火をベッドに忍び込ませることにする。
夜中、朝方特に、冷える。
お爺さんは冷えに弱い。寝ていられなくなる。何度も目が覚める。困る。
弱でいい。ほんのり温かいくらいでいい。汗掻かない方がいい。
お爺さんはいつも一人で寝る。眠られないときには、あれこれのことをあれこれ考える。
子供の頃の記憶に戻って行って、懐かしがる。記憶ではすぐに子供になれる。
とうとう今夜から電気行火をベッドに忍び込ませることにする。
夜中、朝方特に、冷える。
お爺さんは冷えに弱い。寝ていられなくなる。何度も目が覚める。困る。
弱でいい。ほんのり温かいくらいでいい。汗掻かない方がいい。
お爺さんはいつも一人で寝る。眠られないときには、あれこれのことをあれこれ考える。
子供の頃の記憶に戻って行って、懐かしがる。記憶ではすぐに子供になれる。
薩摩芋の焼き芋がおいしい。
我が家の畑で獲れた薩摩芋を焼いてもらった。ちっこいのばっかりを。おとなの親指ほどのものばかり。
捨てるに捨てられない。忍びない。
我が家の畑に取れたものには愛着がある。愛情をつぎ込んで育てたからだ。
だから、ちっこくても、我が家の中だけで食べることになる。
人様にはとてもお出しできない。こんなものまで喰っているのかと笑われてしまいそう。
しかし、これが甘い。寒くなってきて糖分が増して来ているせいだろう。
朝ご飯の後に、幾つも食べてしまった。おいしいおいしいを連発しながら。
こんなに寒くなったら、畑の野菜類も成長ができないだろうなあ。じっとしているのが精一杯というところだろうなあ。寒い風が吹いて、畑を吹き渡っている。
春を待つまでは、そこでじっとして辛抱するしかないか。
寒い風がびゅんびゅん吹くので、大根の葉っぱも吹き煽られている。カリフラワーの、象の耳のように大きな葉っぱも、右へ左へ揺さぶられている。
お爺さんは、室内の炬燵の中にうずくまる。そして、クシャミを連発している。
寒いなあ。じっとしていて、手の指がかじかんで来る。
ふうふうふうふう、かじかんだ手に熱い息を吹きかけた無邪気な子供の頃を思い出す。
僕にも子供の頃があったのである。
何だか懐かしい。子供の頃があったというだけで懐かしい。
いまはすっかりお爺さんである。よろりよろりよぼよぼしている。
よくまあここまで長く長く生きて来られたもんだと感心する。
子供の頃には、この先に、こんなお爺さんになるなどとは想像もできなかった。
でも、肉体はお爺さんだが、精神状態は幼いままである。実に幼稚だ。
風の中で、風小僧になって駆け回りたいくらいだ。
寒いなあ。寒いなあ。空がどんよりしている。それを見るだけで寒くなる。今夜あたりから吹雪くらしい。
明朝は天山山頂が初雪するのかもしれない。いよいよ極寒の冬が来たなあ。昨年も12月15日に初冠雪だった。