今日は12月25日。正月まで残る日数は今日を含めても7日間。土曜日。家族が起きるのが遅くて、朝ご飯も遅かった。
家内から、じっとしてばかりいないで、部屋の大掃除をしなさいと急き立てられている。同意するが、寒くて、実行に移せない。
指先がかじかむ。ときどき炬燵の中にいれる。尻の下に敷いていっときあたためる。何度も繰り返す。
着替えて外に出たくもある。雨は止んでいる。外に出ていったとしても、庭と畑を一周して見て回るだけだが。
今日は12月25日。正月まで残る日数は今日を含めても7日間。土曜日。家族が起きるのが遅くて、朝ご飯も遅かった。
家内から、じっとしてばかりいないで、部屋の大掃除をしなさいと急き立てられている。同意するが、寒くて、実行に移せない。
指先がかじかむ。ときどき炬燵の中にいれる。尻の下に敷いていっときあたためる。何度も繰り返す。
着替えて外に出たくもある。雨は止んでいる。外に出ていったとしても、庭と畑を一周して見て回るだけだが。
寒いなあ。寒いと、炬燵に入ったきりになる。外に出ていかなくなる。窓ガラスの向こうを眺めているきりになる。
雀たちが大挙して押し寄せて、庭に設置している餌場の、くだけ米を啄んでいる。かと思うと一斉に飛び去っていなくなる。
代わる代わる。ちゅんちゅんちゅんちゅん鳴いて、鳴き交わしている。この凍てつく冬に、小さな体でいる。
☆
セーターもオーバーも着ていない。襟巻きも巻いていない。どうやって寒さを凌いでいるのだろう。
風をシャットアウトできる空間を確保しているのだろうか。大きな古い木にぽっかり空いた洞(うろ)があればいいんだけど。
昔は古びた藁屋根の藁の奥に潜り込んで夜を過ごしていた。いまは藁屋根がない。瓦屋根も侵入を許してくれない。
今は今。今は今でいい。ゆっくりなさいませ。のんびりなさいませ。過去は捨ててしまいなさい。
イヤだったこと、辛かったこと、苦しかったこと、悲しかったこと、負担にしていたこと、責められたこと、恐ろしかったこと、みんな切断なさい。
今は、今にいます。これまでずっと背中に背負って来た重い荷物を、下ろして軽くなりなさい。
白い雲の間から青空が覗いています。青い山が見えています。
お慈悲を受けた分の100万分の1は、他者に回してあげるべきである。
今日己が受けたお慈悲が100万ある。
数えても数えきれるものではないが、概算で100万ある。
ほんとうは100万の100万倍はあろうけれども、ケチる。
すべての条件が満ちてないと、一呼吸だってできないんだからなあ。
その一呼吸を、己は一日に何回繰り返しただろう。当たり前のようにして。
他者に回す、というが、100万分の1でも、それでもなかなかできるものじゃない。
そうやってこれまでも生きて来た。回さずに、一人独占して生きて来た。
お慈悲は仏陀のお慈悲である。全宇宙の善意の実行である。
おっそろしく規模がでかいのである。
己にそれができるものではない。己の力くらいでは、できるものではない。
などと逃げる。
NHK歳末助け合い運動に加わってみた。ほんの少しだが。
元気な一日を恵まれた。すうすう息をしている。
あれこれ日常の暮らしの中に、四苦八苦の文句があっても、それは帳消しだ。
ともかく元気な一日を恵まれた、夜を迎えられた。この一事で、四苦も八苦もすべて十分にカバーできるはず。
はーい。そういたします。
自問自答す。
お命様、今日は最高の一日でございました。有り難うございました。
午後6時半。障子戸の向こう、雨の音が高くなった。
夕食は7時から。まだあと30分ある。腹が減ったなあ。
腹が減るからいいじゃないか。うん。
体調を崩して腹が減らないということもある。
だから、腹が減っているという状況を有り難く思っているべきである。
30分がその時間帯になる。
今日の一日、健康を恵まれた、だから夜を迎えられた。そのことを深く味わうべきである。
今晩の夕食は牡蠣のフライのようだ。好物だ。熱燗がおいしいだろう。
今日はクリスマス・イブ。例年、こどもたちが小さい頃は、円形型のケーキを買ってきてあげた。ちっこいのを。
いまはそれもしなくなった。普段と変わるところがない。
キリスト教の信奉者ではないけれど、静かに賛美歌を聴くのは好きだ。声に出して歌うのも好きだ。
仏教には、赤い頭巾を被ったサンタクロースさんがいない。こどもたちを喜ばせてくれる人がいたらよかったのに。(いるのかもしれないね)
明朝は、トナカイの引く橇に乗ってこどもたちにプレゼントを分けてくれるサンタさんを、日本のこどもたちもみな待ち望んでいることだろう。
午後から空模様が怪しくなってきた。ついに降り出した。霧雨が。
風もある。かなり強い。煽られる。寒い。これがクリスマス・イブの夜か。
僕は早めに畑仕事を切り上げて、炬燵の中で暖を取っている。
この数日ずっと、韮の植え替え作業に掛かっていた。
韮の根株は一年でずいぶんと繁殖する。これをこまめに分けて植え直す。
どんな粗末なものでも、捨てられない捨てられないが重なって、たくさんになっている。
愛情を掛けてやらないと、すぐに細葉になって、痩せてしまう。
植えたままでは、どうもよくないようだ。土を新しくして上げた方が良さそうだ。
土がふかふかになった。鶏糞もたっぷり施肥してやった。水も撒いた。これで文句あるまい。
春先になれば、一気に勢いを増して、しっかり立ち上がって来るだろう。
それまでを楽しみにして過ごそう。
午前10時。お日様が上がって来て、隣家の瓦屋根の霜が解け出した。大地が日射しを受けて明るい。明るいとそれだけで、こっちもいい気持ちだ。
干し柿がほぼ出来上がった。上等のが出来上がっている。二階のベランダにずらりと干されている。柔らかくて、甘い。人様が来られたときにお茶請けにお出ししている。
干し柿は好き嫌いがあるから、用心しなければならない。嫌いだったら、お困りになるからだ。冷え性の方は概して好まれないようだ。柿は身を冷やすらしい。
僕は、世間には通用していない人間のようだ、どうも。
はずれている。
どうも世間の物差しをわが物差しとすることができない。
我が物差しが世間のそれと不一致なのだろう。
☆
であって、空が美しい。山が美しい。夕月が美しい。ここには大いに感動を覚えている。
ここに救われている。
山里のお爺さん、がっかりしないでいいよ。希望はあるよ。そんな慰め言葉をかけて、一日を終わろう。