ぽぉぽぉたんのお部屋

季節の移ろい、道ばたの草花、美味しい食べ物、映画や友人のこと、想いがいっぱいの毎日をお話します

やすらぎの森

2021-06-24 | 映画のお話
優し気なルイーズ・アルシャンボー監督がほほ笑む
電気も水道も無い森の中で映画を撮ることは大変だったと・・・
彼女の脚本でもあるようだ。

ケベックの森の奥深くで暮らす3人の初老の男性たち
森と湖のある美しい自然たっぷりの風景
それぞれの小屋に愛犬と住みながら
湖に威勢よく飛び込み、犬も一緒に泳ぐシーンに驚いた。
絵を描いたり、狩りをしたり、ギターを奏で歌い
満ち足りた毎日のように見えた・・・
街での生活や家族を捨てた彼らだが
少しも孤独ではなく、とても楽し気に見えたのだ・・・

だが死を選んだテッドと道連れの犬の死から
それぞれが持っている青酸カリの存在や
彼らの覚悟を知ることとなった。

そんな二人の男性のもとに
16歳の時、厳しい父親に異常者と決め付けられ、
精神病院に入れられてしまった女性マリーが現れる。

60年以上も過ごした特別な世界から
逃げ出したものの普通の部屋で暮らせない彼女は
この森の空気や風景、そしてチャーリーの優しさに癒されよみがえってゆく

全てを焼き尽くした昔の山火事がその伏せんのように敷かれている。
過去をあぶりだしていくようにすすむが
おそらくその炎は再生のエネルギーになりかわっていくのだろう

また起きた山火事に追われるように
悪化したトムは死を選ぶ

いつも絵をかいていたテッドと歌っていたトムの死は
自分で死期を悟り自ら命を絶った最期だった

残ったチャーリーとマリーとの恋が微笑ましく
人生の再生を感じるようで安堵する

命や人生の不条理なことも不思議さも
共に持ち合わせた作品だった。

ほとんどの出演者やスタッフがカナダ、ケベック州出身という。
おおらかでたんたんと満ちた湖のような不思議な作品だった。

マリー役のアンドレ・ラシャペルの遺作となったが
ケベックのカトリーヌ・ドヌーヴとも言われた
80代のベテラン女優のマリー役はとても微笑まく素敵だった。

英語の歌にぼんやりしていると
フランス語の会話に気づいて
最初は何だか戸惑ってしまった。

中高年の女性の観客が多かったが
自ら死を選ぶシーンでは嗚咽が漏れていたのが印象的だった。










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする