ぽぉぽぉたんのお部屋

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ドライブ ・マイ・カー

2021-11-01 | 映画のお話


村上春樹の原作と聞いて興味は持っていたが結構長い。
途中休憩もなく10時から13時半くらいまでらしい。
結局これも観ずに終わるのだろうと思っていたが
近くの映画館で上映されていたので思いきって観に出かけた。
村上春樹の作品といっても原作は短編でそれを長編の大作に仕立て直したらしく飽きずに観られるのか不安だった。

監督は濱口竜介氏、脚本も濱口氏でカンヌで脚本賞を受賞している。
日本映画での脚本賞は初めてらしい
さらに国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の3つの独立賞も受賞している
でも、私は彼の作品を一つも観ていないことを改めて知った。
話題作がたくさんあるというのに・・・

村上春樹作品は好きでも嫌いでもない不思議な存在だが
西島秀俊が主演なので観やすかったのだと思う。

後半、(生き残った者は死んだ者のことをずっと考え続ける~
ぼくや君はそうやって生きて行かなくてはいけない)
辺りでこれは彼女たちには勧められない作品だなあと思ったのだ・・・
果たしてずっと苦しんでいる人たちの救いになるのだろうかと・・・

チェーホフの「ワーニャ伯父さん」が劇中劇という感じで
それは二重三重に反響したり共鳴したりするような印象だった。

「多言語演劇」という言葉や内容も初めて知った。
色々な言語が飛び交っているのが新鮮でより耳を澄まし、音を興味深く楽しめる。
リズムやイントネーションのようなもの。
さらに韓国手話も加わって、音と共に表情やしぐさにも注意が及ぶことを知った。
まさにいくつもの感覚を研ぎ澄まして演劇を味わう感じだ。

ヒロシマやトウキョウ、北海道や韓国の風景も織り交ぜて地域的にも幅広い作品となった。

陰で浮気を繰り返す最愛の妻、浮気相手のひとりだった破滅的で切れやすい若者、
そして寡黙なドライバーの暗い過去、彼女の二つの人格を持つ母との関係
3人がそれぞれかかわった死は違っているのだが、彼らはそれらを背負い
死んだ者の事を一生考え続けていかなければならないのだろうか
しっかりと乗り越えるために、自分の人生をしっかり生きるためになのだろうか
再生と言うけれど、つらく厳しい日々はいつか自分も死ぬからできるのだろうか
などと思わざるを得ない

私には舞台関係者の韓国人夫妻の存在がぽっと灯りをともしたような気がした。




コメント
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