
誕生日の朝は、七草粥で始まる。
朝一で、この世に産んでくれた謝意を込めて母を見舞った。弟からの祝メールも届いた。先日の弟の土産(神戸ミルフィーショコラ)を携えて母を訪ねるのだが、この2、3日はいつも傾眠中でなかなか食べさせてやれない。今日も同様なので看護師に訳を話して、目が醒めたら食べさせて頂くよう託した。
園には意外にも偶然に知己がいると分かった。母の他にY村、H名、K、Tの4氏の顔見知りが入所しておられる。
Y村の息子さんは、かつてわが両親が勤務していた会社の社長まで務めた方だが、いまではリタイアされ高級乗用車をリフト付ワゴン車に乗換えて、車椅子の母上をデイケアに連れて来所する姿をよく見かける。父上を早く亡くされた分、親孝行をなさっているのだろうが頭が下がる。
またH名さんの娘さんは、わが次男の小学校の恩師で教頭まで務め上げられ、18年5月の退官時には備前焼の夫婦湯呑をプレゼントした。返礼に手作りのコサージュ風の置物をいただき大切に座敷に飾っている。勤めのある時には果せなかった母上のお見舞いを、今では嫁ぎ先から十分にカバーしておられる。
Kさんの娘さんとは、小生の現役時代に仕事を通じて深く係わりがあった。母上は30年以上も前から入所されていたそうだが、当時は知る由もなかった。小生がリタイアしてかみさんと母を見舞うのが日課となってから、ある時に園でお目にかかり全てを承知した。彼女の甥が、わが三男の幼馴染であることも分かった。仕事はリタイアしているが、主婦として忙しい合間を縫って母上を見舞われている。
T子さんは、ただ一人同じ町内の方である。17年4月に小生より1級下の息子さんを心筋梗塞で亡くされ、車椅子で告別式に参列されていた痛々しいお姿が脳裏から離れない。頭がしっかりされており、先日は組み紐細工の亀を作ってくださり、母の車椅子をお守り代わりに飾っている。
これらのケースに見られるように、大抵は第一線を退いてホッとする間もなく、介護が待っている。老人の配偶者間の介護の問題もよく見聞きするけれど、下手をすると子自体がそろそろ老いてくる頃、親の介護が一番大変になるというところから、老いた子が、もっと老いた親を看るという老老介護の問題にも発展する。明日は我が身である。