
東京・お台場の船の科学館に宗谷(そうや)という船があります。
ご存じの方もあるかと思いますが、日本が南極観測を始めた当初から極地観測船として活躍した船です。
もともと探検や調査のために建造された船ではなく、貨物や軍関連の仕事を長年した後、平和な国として復興した日本の新しい挑戦に参加したのは、船の歳としてはかなり高齢になってからのようでした。
砕氷能力ももとからあったわけでなく、新しいミッションのために改造されたと聞きました。
タローとジローという二頭のソリ引き犬が、観測隊の留守を果敢に耐えて奇跡的に生き残っていたという感動物語は、当時多くの人の涙を誘い、映画化もされました。
その時の感動をすべて静かに見ていた船の舵輪が、今でもそのままの姿を残しています。

あるとき、現役の南極観測船「しらせ」の中を見学する機会がありました。下の写真はその時撮影できたブリッジです。時代は大きく変わり、IT化されたハイテク砕氷船の中は、もう舵輪などないのです。

船体も機能も比較にならないほど。
あらためて宗谷を見て、こんな小さな船でよくもまあ南極海まで繰り返し航海したものです。日本の極地観測の初期、観測隊員の勇気にあらためて敬意を表します。
人の生き方だけは、今もいつもボタン一つのIT化は無理なようです( ^^)