アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「この、馬鹿象麒麟がぁ!」…褒めてません

2020年09月22日 | Weblog
 子どもの頃から「バカと言った方がバカなんです!」が染みついているもんですから、他人様に、「バカ」と、言うことはありません。
 ただぁ、おそらく皆さん一度は疑問に思ったことがあるんじゃないかなあ…「バカ」の漢字表記がなぜ「馬鹿」なのか?私が知っている、「馬鹿」の由来は…
 サンスクリット語で、「無知や迷妄」を意味する「baka」からきている。漢字では、「莫迦」と書く。「莫迦」が、あて字で「馬鹿」となった。もっとも、「バカ」の漢字表記は、今でも、「莫迦」も「馬鹿」も使いますけどね。
  史記(秦始皇本紀)にも、「馬鹿」が載っています。こちらの漢字は、完全に「馬鹿」で、「莫迦」ではない。「鹿をさして馬となす」。中国史に興味がある方にとっては、ごく普通の知識でしょう。なぬ?「鹿の刺身を、馬刺しと偽ったってことだろう」って?う~っ、基本線はそうなんだけど、刺身じゃないんだよね~っ。「鹿をさして馬となす」のアウトラインは…
 鹿を「馬である」と、皇帝(始皇帝が亡くなった後の二世皇帝の胡亥)に献じた、宦官(かんがん 名前は、趙高)がいた。宦官になるのも命がけなんですよね。浅田次郎さんの受け売りですけどね。この趙高は、権力をほしいままにしていた。胡亥は、「馬ではない。鹿だろうがぁ!」と、言った。しかし、趙高を怖れる家臣たちの多くは、「馬です」と言った。「鹿ですよ」と、言った家臣たちは、趙高に処刑された。ほとんど、金正恩だね。
 「馬鹿」とは自分の権勢をよいことに、矛盾したことを押し通す意味から転じた…。
  いかがでしょうか。「馬鹿」は、サンスクリット語から来ているか、史記の「鹿をさして馬となす」から来ているか、あるいはその両方か…これで決まりでしょう!
 全く別の説もあるんですよね。「馬と鹿には胆嚢がないので、『足りない』ことを『馬鹿』と呼ぶようになった」…私は、「胆嚢が無い哺乳類などいるはずがない。馬鹿なことを言うもんじゃない」と、思っておりました。
 し、しかし、BUT!馬と鹿には胆嚢が無いという記述を見つけまして…見つけた文章には…
 「牛に胆あり、馬鹿これを欠く。足らぬ故にこれを馬鹿と呼ぶ。牛胆に玉のやうなるものあり。名付けて牛黄…」
  あれあれ、どうやら馬や鹿には胆嚢が無いというのは本当らしい。「まじ?」と、さらに調査した結果、象や麒麟にも胆嚢がないと判明。これからは、馬と鹿だけを贔屓しないで、バカモノに対しては、「馬鹿象麒麟」と呼ばなければなりません。どう読むんだって?そのまんま、「バカゾウキリン」でいかがでしょうか。
  というわけで、「馬鹿」もなかなか奥が深いです。「まじ?」ってところです。いい歳して「まじ?」などと若者言葉を遣って、馬鹿じゃないのって?残念でした。「まじ(まじかよ、まじっすか?)」は、若者言葉じゃないのです。サンスクリット語の、「まじから」とか「まじけれ」から来ているもの。紫式部の昔から使われている言葉で~す。まじ、まじ!