バッタモンのポタリング日乗

松本在住の自転車散歩・鉄道・旅など雑多な日記
  

小さな旅:田沢温泉と五島慶太

2025-02-27 22:50:20 | 温泉・銭湯

 田沢温泉がある信州青木村には家から1時間そこそこで到着。今まで特に気にしていなかったこの村だが2020年、東急グループの礎を築いた五島慶太の記念館ができたということで温泉と抱き合わせで訪れてみた。

 「五島慶太未来創造館」と名付けられた館内は木の床の落ち着いた雰囲気で、五島慶太の軌跡や関連資料、渋谷や東急沿線の街をイメージしたNゲージのジオラマなどが展示してあり、彼の興味深い人生に触れることができる。しかもありがたいことに入館料無料だ。同じ建物内には歴史文化資料館もあり、郷里の俳人栗林一石路の句が展示してありこれも面白い。何となく山頭火を思い出す句だ。また、「夕立と一揆は青木から」と言われたほど百姓一揆が多かったのでその過去5回の一揆の歴史を記録した義民資料、昔の土器や江戸時代、昭和に使われた生活道具などが展示されていてとても興味深く、中でも昭和の道具は懐かしさいっぱいだ。

 見学後、少し上田方面に戻って「仁古田食堂」で昼飯にカレーうどんを食べた。ここは多分何を食べても旨いだろうと思いながら田沢温泉に向かって車を走らせ、来る途中で見かけた国宝大法寺三重塔に寄った。鎌倉時代に建立されたという塔は国宝にふさわしい立派なもので近くには栗林一石路の句碑があった「シャツ 雑草に ぶっかけておく」。

 田沢温泉は島崎藤村も逗留していたという木造3階建ての「ますや旅館」など3,4件のレトロな建物が並ぶ小さな温泉地だ。目的の「有乳湯」という公衆浴場の建物は新しいがこれもレトロな雰囲気の造りで入浴料は300円。4,5人の先客がいたが湯船は思ったより広く、そこから溢れ出ている源泉かけ流しの湯は少し硫化水素臭のする40度くらいでとても気持ち良く、日ごろ烏の行水人間でも長風呂ができる。洗い場は少ないがパーティションになっていてありがたい。

 帰りの車の中ではいつまでも体がホカホカしていた。

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富士見駅の紅ショウガ天と立場川橋梁

2025-02-24 21:26:53 | 鉄道

 「紅ショウガ天そばが旨いですよ」富士見在住のK君の言葉がいつも頭の片隅にチラついていた。富士見駅の駅そばは2度食べたことがあるが天ぷらそばときつねそばだったと思う。聞くところによると紅ショウガ天が人気ナンバーワンだそうだ。それは是非食べに行かなくては。

 甲州街道を辿り富士見駅に着いたのは12時少し前。ちょうど「あずさ」が入線したところで、あれ?富士見に停車したっけ?時刻表を見ると、一日3本くらいはあるようだった。降りてきた客の多くはどうやら入笠山が目的の登山者ようで、とりあえず腹ごしらえに駅そばを食べようとする者もいる。外での立ち食いも待合室で椅子に座って食べることもできる。ここの駅そばは馬肉そば、山賊揚げそば、などなどメニューが豊富でうどんバージョンもある。早速紅ショウガ天そばにきつねトッピングを注文。ピリッと辛みのある紅ショウガ天と甘い油揚げのコラボが絶妙のハーモニーを奏で、主役のそばを引き立てて口の中に幸せが広がる。きつねトッピング追加正解。これで胃袋に新しい歴史が刻まれた・・・とは井之頭五郎さんの受け売り。

 食後は以前行ったことのある立場川橋梁までウォーキング。ここはジブリアニメ「風立ちぬ」にも描かれたという旧国鉄の橋梁だが、線路の付け替えで廃線区間となり少し下流部に新橋梁がかかっている。明治時代に造られた「ボルチモアトラス橋」という歴史的に貴重な橋にもかかわらず、昨年のニュースで富士見町はどうやら老朽化により財政的に保存困難のため撤去を決めたようで残念だ。前回来た時は立ち入り禁止の札は無かったが、今回はトラロープに立ち入り禁止の札がぶら下がっていて築堤上に入ることはできなかった。せめて写真に今の姿を収めて、また田んぼが緑に覆われた頃、紅葉の頃にも写真を撮りに来ようと思う。

 富士見から20号線を甲府方面に10分ほど走ると道の駅とともに「天然温泉つたの湯」がある。露天風呂もあるなかなか良い温泉で、湯に浸かり休憩室で昼寝をして至福の時を過ごした天皇誕生日だった。

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草津温泉に入る

2025-02-20 22:54:43 | 温泉・銭湯

 何度となく乗っている中央東線だが富士山がクリアに見えることは少ない。小淵沢駅を出ると電車の真正面に富士山が見えることを初めて知ったのは先頭車両に乗ったからだった。

 「へたな旅」という本に甲府の喜久乃湯という温泉銭湯のことが書いてあった。太宰治が甲府で過ごした新婚時代によく通ったということで、その頃の趣が残っているレトロな銭湯のようだ。早速ググってしまうのが良いのか悪いのか、昭和元年創業のその温泉銭湯にとにかく行ってみたい。と言う訳で高尾行き普通電車に乗り込んだ(運転士は女性だった)。

 甲府の北口に出たのは何年ぶりだろうか?記憶にある風景から随分様変わりしている。空は青いが先週に引き続き寒波に見舞われているので空気は冷たい。目的地の大体の見当をつけて武田神社方向に歩き出す。最終的にはグーグルマップに頼って目的の「喜久乃湯温泉」に到着するが、ん⁇シャッターが・・・・水曜日が定休日だということはあらかじめ調べておいたが、どうも第三木曜日は連休にしているようでがっかり。仕方なく駅に戻って次の手を考える。ここもグーグルマップに頼って「甲府、温泉」を入力すると、おお!あるわあるわ。甲府盆地はあちこちに温泉が湧いてるみたいで源泉かけ流しのうたい文句もある。その中で駅からそう遠くない「草津温泉」をチョイス、名前からして期待が持てそうだ。遠くないとはいえ歩くにはちょっと距離がありそうなのでここは奮発してタクシー利用で1200円。

 温泉といえども銭湯なので入浴料は430円と安い。昼飯時なので空いているだろうと思いきや結構おじいちゃんたちが入っている。しかし源泉かけ流しの適温湯船は大きいし洗い場も十分あるので余裕はある。ちょうど良い湯加減で温泉猿みたいにいつまでも浸かっていたい気分だ。湯船は他に小さい高温風呂と水風呂、そして露天風呂がある。露天風呂のキャパは6人くらいで、回りは囲ってあり空が見えるだけだ。

 効能あらたかそうな温泉を十分堪能したので帰りはタクシー代節約のため歩くことに。体がポカポカして寒波も何のその、寒いのは防御の薄い頭だけ。しかし途中でちょうど駅行きのバスが来たので乗れたのはラッキー。駅に戻って近くの東京食堂でビール&生姜焼き定食。帰りの電車に乗って程なく気絶してしまった。

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九州紀行その8:三角線に乗る

2025-02-17 22:17:41 | 

 夕方の熊本駅は家路に急ぐ人たちや大きなスーツケースをゴロゴロ引きずる観光客でいっぱい、駅前の路面電車乗り場も長蛇の列だ。こんな時は200メートルくらい手前の乗り場まで歩いて行って乗る手を使う。スーパーホテルにチェックインして部屋に入るとびっくり、シングルルームサイズなのに二段ベッドだ。下段はセミダブルで上段はシングルなので3人は寝れる。これもインバウンド需要による苦肉の策か?

 一休みして、夕食をどうしようか?以前来た時に入った地元常連さん御用達の居酒屋も良かったけれどちょっと遠い。チェックインの時に覗いたホテルの食事処「旅彩」が良い雰囲気で、メニューもかなり充実していたし疲れてもいたのでそこに決定。最近お気に入りのキリンクラシックラガーで喉を潤し、信州人がわざわざ熊本で食うこともない馬刺し、好きな揚げ出し豆腐などなどを肴に熊本の地酒高森町の「れいざん」をいただき、高菜ごはんと熊本名物だと言う「だご汁」で〆る。最近は浴びるほど飲まないので安上がりだ。ホテルの大浴場でまったりしてからこの日も寝落ち。

 一夜明けて、昨日は早めに南阿蘇鉄道から熊本駅に戻って三角線に乗る予定だったが、乗り間違えのトラブルで時間が無くなったので今日に持ち越した。三角線は宇土駅から三角港へ行く盲腸線だが、熊本駅発着で宇土駅までは鹿児島本線を走る。所要時間は約1時間。海沿いに出ると右手に雪を頂いた雲仙岳が海を隔ててどっしり構えているのが想像以上に良い車窓風景だった。時々現れる、並走する道路沿いに植えられたヤシの木も南国情緒をかもし出す。

 天草の教会風に造られた三角駅は水戸岡鋭治氏のデザインだそうで、鄙びた港町の中で異彩を放っている。道路を挟んだ海辺の公園には三角錐の展望台がありその傍がフェリー乗り場になっていて、かつては天草や島原へ多くの船便が出ていたそうだが、橋ができた今は僅かな便しかないようだ。螺旋階段で展望台に上がって天草の島々や漁船、釣り人などをしばし眺める。山国の人間には久々の潮の匂いが心地よい。1時間ほど周囲をぶらぶらして、海上保安庁の巡視船や三角牡蠣として有名らしい牡蠣の収穫作業など見て熊本駅に戻ったのは10時頃。そのまま熊本城へ足を運ぶ。天守閣は綺麗になったが石垣や櫓は応急処置したところばかりで完全復旧にはまだまだかなりの年月がかかりそうだ。中国語や韓国語が飛び交う中駆け足で見学し、駅に戻って帰りの新幹線の時間まで生ビールと焼き鳥などで昼飯。13時42分の「さくら」に乗りこんで松本まで7時間の電車旅だ。とりあえず新大阪までは居眠りしていこう。  完                                                        

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九州紀行その7:高森町で昼食を

2025-02-17 08:41:11 | 

 高森駅に近づくと列車は大きく左にカーブして阿蘇五岳を正面に見るようにホームに入っていく。右に見える噴火で頂上が吹っ飛ばされてギザギザした山は根子岳で高森町のシンボルだそうだ。ちなみに根子岳、高森町は信州にもあり名前に親近感を覚える。ホームには数人の観光客が入線シーンを撮ろうとスマホや一眼レフを構えている。駅舎は2023年に建て直されたということでデザインもすっきりしていて綺麗だ。一角には100人を超える日本を代表する漫画家たちの応援メッセージの色紙が展示されているが、じっくり見るのは後にして先ずは昼飯食べるところを探す。

 ネットに頼って食堂を探すと良さそうな所があった。小さな町では駅を少し離れると歩いている人をほとんど見かけなくなるがここも同じだ。駅から6,7分歩いて店の前に来ると暖簾が出ていないのでやっていないかと思ったが、電気がついているので戸を少し開けるとテレビを見ていた初老のご夫婦が「いらっしゃい」。おお、やってるじゃん。ビールとモツ煮定食を頼み昭和の雰囲気満載の店内を見渡す。味は普通でもこの雰囲気が良い調味料だ。

 昼飯後、目的のひとつであった未成線の「高森湧水トンネル公園」へ行く。今は廃線となってしまった宮崎県側の高千穂線に繋げる計画で、トンネルを掘っているときに毎分36トンの大量出水に見舞われ、工事を断念してその跡を公園にしたものだ。それが昭和50年ということで、国鉄が大赤字に陥っていた時にも将来的に廃線となるような所に大金を使っていたんだとあきれてしまう。入場料は300円。とうとうと流れる用水の両側に一方通行の幅1.5メートルくらいの歩道があって550メートル部分まで行くことができる。突き当りの封鎖された壁からは滝のように水が流れ出ている。中はイルミネーションも施されキラキラしていて明るさは心配ないが、昼にビールを飲んだので足元がふらつかないように気を遣う。帰り際受付の人に聞いたところ、年に1,2人くらいは用水に落ちる人がいるそうだが冬には落ちたくないものだ。とりあえず無事に出ることができてほっと一息。

 駅に戻って上りの列車待ちの間、漫画家の色紙を見たり隣接の交流施設でコーヒーを飲んだりして時間を潰す。発車待ちをしている16時38分の上り列車に早めに乗っていると、そのうち高校生がぞろぞろと乗ってきた。夕方でも1時間に1本しかない列車で通学するのは大変だろうが、列車が動き出すとそんなことは関係ないようにあちこちから楽しそうな話声が聞こえてきた。 続く                                                                                                                                                                                                           

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