昭和27年に生まれて以来ビタちくと呼ばれ信州人のソウルフードとなっているスギヨのビタミンちくわ。製造は石川県だけれどその7割が信州で消費されているという。能登半島地震では工場が甚大な被害を受けたものの無事再起を果たした。
海なし県信州人にとって魚のすり身を使用したちくわは当時貴重な食材で、スギヨは鮮度を保つためにちくわの穴の部分に塩を詰め木箱に入れ輸送したので、食塩とのセット商品として人気が出たということだ。塩は当時専売制だったから自由に流通できなくその点で貴重だったのかもしれない。いずれにしてもイナゴ、蜂の子、ザザムシ、蚕の蛹まで蛋白源として食する信州人にちくわは手ごろな蛋白質供給食材でもあったのだろう。そのうえビタミンとつくくらいで脂溶性のAとEが多いらしい。マルチな素材としていろんな料理に使われるが、中でも好きだったのはちくわカレーと磯部揚げだ。磯部揚げはそのままでももちろん旨いが、バターを塗った食パンを焼いてウスターソースをたっぷりかけたのを挟んで食べるのが最高。
で、そのビタちくとたい焼き屋がコラボして作ったという「ちくわたい焼き」。テレビのニュースで取り上げていたのを家人が見て買って来た。磯部揚げした半切のちくわがたい焼きに突き刺さったような微妙なフォルムだが、さらにツナマヨをプラスして焼き上げたその味は、元々の素材が素材だけに感激するほどではないが想像通りの旨さだった。自分的にはさらに好きなウスターソースを付けて味変を楽しんだ。今度は焼きたてを食べてみたいものだ。
そうそう、わが県でも山の方は流通が良くなかった昔は、手軽な煮物のための動物性蛋白はさつま揚げだったという話はあります。さらに昔は身欠き鰊だったとか。
サンマの刺身、生のホタルイカ、何でもどこでも食べられるのはありがたいのか、味気無いのか?