噛みつき評論 ブログ版

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沖縄教科書抗議集会11万人の怪

2007-11-01 10:47:23 | Weblog
 産経新聞の『論争「朝日VS産経」』が面白いので概要を紹介する。

 10月29日に沖縄で「教科書検定意見撤回を求める県民大会」が開かれ、その参加者数が主催者発表では11万人となっていたが、航空写真をもとに数えたら18179人であった。建物や木陰に隠れている人数を推定しても1万9000~2万人に過ぎないことが判明した。

 12日の衆院決算行政監視委員会で、福田首相は「11万人の県民大会があったという事実も、われわれとして重く受け止める1つの理由ではあったかもしれない」と述べたという。

 また9月30日の各紙は11万人を主催者発表の数と断っていたが、10月2日の朝日のトップ記事は主催者発表という注釈なしで11万人を記事中に使っている。

 とまあこんな調子だ。問題はこの11万人という数字が教科書検定の修正に道を開いたことである。このような集会では主催者発表の数字は過大であるのが常であり、それをメディアが知らないはずはない。1割、2割ならともかく、5.5倍もの水増しを大々的(朝日)に裏もとらずに発表し、それが政府の方針に影響を与えたとすれば、それは由々しい問題である。

私には、教科書の集団自決の記述問題には判断するための正確な知識がない(たいていの人はそうだろうと思う。どちらかに判断している人は支持しているメディアの言うことを信 じているにすぎない)ので、なんともいえないが、不正確、それも恣意を含んだ虚偽の報道によって世論や政策が曲げられるのは見過ごせない。

 10月3日の産経抄は「戦時中に大本営発表を垂れ流し続けた貴紙の過去とだぶってしまいます」と述べるが、このように揶揄されても仕方がない。共通するのは正確な事実を伝えることよりも、自分の考えを伝える方を優先する体質である。 傲慢体質といってもよい。