何の罪もない人質を殺すような非道なことはしないだろう、あるいは世界を敵にまわすようなことはしないだろう、という一縷の望みは無残に断たれました。彼らの残忍なふるまいは、人間という種に対する従来の見方に修正を迫るものと思われます。とても話が通じる相手とは思えません。
道理や倫理、卑怯という概念を持たない残忍な集団が存在することに改めて戦慄を覚えます。小規模な犯罪組織なら珍しくもありませんが、国を名乗るほど大規模な組織は現代ではあまり例がないでしょう。オウムが大規模な犯罪組織となり得たのと同様、恐らくそれには組織の求心力として宗教が深く関係していると思われます。むろん一般のイスラム教徒とは区別すべきですが、イスラム教が母体となっていることは否定できません。
今回の人質事件に関しては、いろいろな「識者」が登場し、「イスラム国」側の狡猾な意図や戦略を想像逞しく説明されています。しかし彼らの考え方は我々とは全く異質なものなので、我々による合理的な推論がどこまで通用するかは疑問です。それは宗教が絡んだオウムの犯罪が予想できなかったのと同様です。
一方で、「イスラム国」の言葉を信じ、まともな組織として認めるような発言をする人達が少なくありません。彼らの代表的な意見は、人質事件の原因を安倍首相の中東歴訪中の発言、「イスラム国」に敵対する諸国に援助を約束したことに求めるものです。恐らく「イスラム国」の「日本は十字軍に参加した」という発言を信じているのでしょう。実にナイーブな人たちです。
古賀茂明氏はテレ朝系の報道ステーション(1/23)に出演し「(安倍首相は)イスラム国と戦う国に2億ドルも出しますよと言った。イスラム国に宣戦布告したようなものだ。 そこでイスラム国は思いっきり吹っかけようとしたんじゃないか」と発言したそうです。残虐な犯罪集団ではなく安倍首相への非難に力をいれているのが興味あるところです。恐らく、人質の死の責任は安倍政権の対応にあると言い出すことでしょう。また27日の報ステでは古舘伊知郎キャスターが「イスラム国」側に立ち過ぎているという批判を招いています(元記事はこちら)。
一方、26日の朝日新聞は「人質事件 私はこう見る」という特集を組んでいます。トップは宮田律 現代イスラム研究センター理事長の『対決よりも「義理と人情」で』と題する記事です。卑怯で残忍な犯罪者集団に義理と人情を求めるというのがなんともおめでたい話ですが、内容は古賀氏とほぼ同じで、原因は安倍首相にあるというものです。さすがは朝日、去年の事件にもかかわらず、伝統は依然として健在のようです。
彼らは人質事件を利用して安部政権を批判しようとしているのは明らかです。批判はむろんかまいませんが、同時にならず者集団を擁護することになります。自身の見識の低さを公開するのは自由ですが、メディアの影響力は大きく、極悪集団を甘くみるという危険な認識を広めることになりかねません。
余談ですが29日、人質事件の取材に協力していたイスタンブール在住の高谷一美さんがトルコ南部のアクチャカレ付近で交通事故で死亡したと小さく報じられました。同じひとりの生死の問題なのに、この報道の差はなんなのかと考えさせられました。
道理や倫理、卑怯という概念を持たない残忍な集団が存在することに改めて戦慄を覚えます。小規模な犯罪組織なら珍しくもありませんが、国を名乗るほど大規模な組織は現代ではあまり例がないでしょう。オウムが大規模な犯罪組織となり得たのと同様、恐らくそれには組織の求心力として宗教が深く関係していると思われます。むろん一般のイスラム教徒とは区別すべきですが、イスラム教が母体となっていることは否定できません。
今回の人質事件に関しては、いろいろな「識者」が登場し、「イスラム国」側の狡猾な意図や戦略を想像逞しく説明されています。しかし彼らの考え方は我々とは全く異質なものなので、我々による合理的な推論がどこまで通用するかは疑問です。それは宗教が絡んだオウムの犯罪が予想できなかったのと同様です。
一方で、「イスラム国」の言葉を信じ、まともな組織として認めるような発言をする人達が少なくありません。彼らの代表的な意見は、人質事件の原因を安倍首相の中東歴訪中の発言、「イスラム国」に敵対する諸国に援助を約束したことに求めるものです。恐らく「イスラム国」の「日本は十字軍に参加した」という発言を信じているのでしょう。実にナイーブな人たちです。
古賀茂明氏はテレ朝系の報道ステーション(1/23)に出演し「(安倍首相は)イスラム国と戦う国に2億ドルも出しますよと言った。イスラム国に宣戦布告したようなものだ。 そこでイスラム国は思いっきり吹っかけようとしたんじゃないか」と発言したそうです。残虐な犯罪集団ではなく安倍首相への非難に力をいれているのが興味あるところです。恐らく、人質の死の責任は安倍政権の対応にあると言い出すことでしょう。また27日の報ステでは古舘伊知郎キャスターが「イスラム国」側に立ち過ぎているという批判を招いています(元記事はこちら)。
一方、26日の朝日新聞は「人質事件 私はこう見る」という特集を組んでいます。トップは宮田律 現代イスラム研究センター理事長の『対決よりも「義理と人情」で』と題する記事です。卑怯で残忍な犯罪者集団に義理と人情を求めるというのがなんともおめでたい話ですが、内容は古賀氏とほぼ同じで、原因は安倍首相にあるというものです。さすがは朝日、去年の事件にもかかわらず、伝統は依然として健在のようです。
彼らは人質事件を利用して安部政権を批判しようとしているのは明らかです。批判はむろんかまいませんが、同時にならず者集団を擁護することになります。自身の見識の低さを公開するのは自由ですが、メディアの影響力は大きく、極悪集団を甘くみるという危険な認識を広めることになりかねません。
余談ですが29日、人質事件の取材に協力していたイスタンブール在住の高谷一美さんがトルコ南部のアクチャカレ付近で交通事故で死亡したと小さく報じられました。同じひとりの生死の問題なのに、この報道の差はなんなのかと考えさせられました。