噛みつき評論 ブログ版

マスメディア批評を中心にしたページです。  姉妹ページ 『噛みつき評論』 もどうぞ(左下のBOOKMARKから)。

審議拒否とストライキ

2016-02-01 09:09:19 | マスメディア
 1975年11月26日から8日間、国鉄のほとんどの列車が動かなくなりました。公労協が行ったスト権ストと呼ばれるもので、政府にスト権を要求するものでした。結局、政府は拒否しましたが、国民生活に膨大な不便と損害を与えてしまいました。公労協は自分達の要求を通すために国民を人質にとったと評されました。これを強く支持したのは当時の最大野党、社会党です。犠牲になったのは無辜(むこ)の国民というわけです。テロリストは敵国政府を直接攻撃せず、罪のない国民を殺害して政府に要求を通そうとします。両者は通じるところがあります。

 甘利経済再生担当大臣が辞任に追い込まれました。甘利氏の政治的功績は周知の通りで、国家・国民にたいする貢献は多大です。メディアは現金の授受があったとし、鬼の首を取ったかのように報道していますが、辞任は恐らく国に不利益をもたらすでしょう。辞任の記者会見を見ましたが、邪心ある人物には見えず、辞めなければならないほどの理由があるとは思えません。最大の理由はご本人の言葉通り、国会の審議に影響を与え、国政の停滞を招いてはいけないからなのでしょう。

 国政の停滞をもたらすとは、野党が甘利氏への追求に終始して他の法案の審議が止ることです。それは国会のもっとも重要な機能が失われることであり、その結果、最終的に不利益を受けるのは国民です。国会のための巨額の経費も無駄になります。甘利氏の閣僚辞任後も野党はまだ追求すると言っていますが、それは国民の利益を無視し、自党の利益だけを考えているように見えます。

 国会の時間をさらに費やして、議員辞職まで追い込んだところで、どれ程の意味があるのか、理解出来ません。しかしメディアが味方になって政治とカネの問題だと大騒ぎしてくれれば、与党のイメージを損ない、野党に有利に働きます。つまり審議拒否などの戦略はメディアの支持があってこそのものです。

 2009年の民主党政権誕生の前、自民党議員の事務所経費についての疑惑が浮上しました。疑惑の人物は絆創膏を顔に貼っただけでも騒がれる程、事務所経費はメディアの注目を浴びました。あの鳩山民主党政権の誕生はその結果であるとも言えます。メディアはまだ懲りずに民主党政権を望んでいるのでしょうか。

 野党とメディアが一緒になって国政を遅滞させることはストで電車を止めるのと同様、国民の利益を損なう行為でもあります。本来の野党の役割である法案の審議や対案の提出をおろそかにしては困るわけです。それが野党の長年の体質かもしれませんが。

 国鉄のストは国民の強い批判を浴びたせいか、以後、輸送機関のストは減ってきました。与党の不祥事があると野党は審議拒否することが当然の慣習のようになっていますが、迷惑を蒙るのは国民であり、国民の批判を浴びるということになるべきです。ストのように被害が見えにくいことが理解を難しくしているのですが、それにつけ込んでいるのが左派メディアなのでしょう。

 叩けば多少の埃が出るが有能な政治家と清潔だが無能な政治家、どちらが国民のためになるかと問われれば、私はためらいなく前者と答えます。メディアには重箱の隅をつつくような、甘利氏の違法疑惑を厳しく批判する論調ばかりが目につきますが、いささか形式的過ぎるように思います。