先日、医院が発行した処方箋を調剤薬局に持参し、薬を購入した。驚いたのはその明細書である。薬の代価はたったの280円だが、合計は2000円となっている(実際の支払額はこの30%、残りは保険からである)。内訳は内服薬調剤料が780円、調剤基本料410円、薬剤服用歴管理指導料(6月内・手帳なし)530円となっている。薬の仕入れは200円強であろうから、9倍ほどで販売していることになる。なるほど「薬九層倍」の伝統はいまだ健在であるようだ。
調剤といっても粉や液体の薬を定量したり混ぜたりするわけではない。PTPシートに包装されたものを必要数そろえるだけである。薬剤服用歴管理指導料なんてものもあるが、一部の人向けのサービスであろう。普通は用法・用量を書いて渡すだけで足りる。調剤薬局で受けるサービスとその対価がどう見ても釣り合っていないと思うのである。厚生労働省の資料 診療報酬(調剤技術料)の3ページに院内処方と院外処方の比較が載っている。これによると診療報酬の例として院内処方320円、院外処方3450円とある。院外は3130円高いとしながらも、この例では7種類の薬が投与されたと想定し、院外の方が安い後発薬の使用率が高いとして薬剤費が7280円安くなるとしている。つまり医薬分業は正しいと結論しているわけである。
ずいぶん苦しい言い訳である。後発薬による費用減を強調するために7種類もの投与を前提にしている。薬の種類が少なければ節減は少なくなり、調剤技術料のウエートは大きくなる。また院内処方での後発薬使用率を薬局並みの67%程度まで上げれば済むことである。その方法はあるだろう。医薬分業の意味は医師が儲けるために必要のない薬まで投与するのを防ぐのが大きな理由であった。しかしそんな医師は一部であろうし、やろうと思えば検査の拡大で収入を得ることもできる。また今は薬価と仕入れ価格の差(薬価差益)も以前よりずっと小さいとされる。
患者は医院に行き、薬局に行くという不便さに加えて、余分な費用を払うことになる。この問題を解説している医院のウェブページ「調剤報酬の比較について」にわかりやすく解説されている。調剤薬局も「かかりつけ薬局」と「院外調剤薬局(門前薬局)」との2種類があることを知った。調剤費も差があり、かかりつけ薬局の方が高い。複雑な仕組みだが、元々の制度に難点があるとそれを修正するために複雑化する傾向がある。
2010年代後半で調剤薬局は約57,000軒、これはコンビニエンスストアの約54,400軒を超えるそうである。これだけの店舗を患者と健康保険が支えているのである。近年の調剤薬局の年間売り上げ額は約7兆4千億円、大雑把だがこの25%程度が調剤費らしいので、調剤費の合計は2兆円弱となる。巨額である(ちょっと調べただけなので正確な数値ではない)。患者の負担と健康保険負担は大きいが、それに対する利益が釣り合っていないと思う。
実に残念なことであるが、この事実はほとんどメディアでは報じられない。また野党が問題にすることもない。このような問題を取り上げ、解決法を提案することこそ野党とメディアの役割であろう。野党はモリカケ問題で1年以上もの間、国会の機能を浪費したが、反省や謝罪はない。謝罪しないのは近隣のどこかの国と同じだが。
調剤といっても粉や液体の薬を定量したり混ぜたりするわけではない。PTPシートに包装されたものを必要数そろえるだけである。薬剤服用歴管理指導料なんてものもあるが、一部の人向けのサービスであろう。普通は用法・用量を書いて渡すだけで足りる。調剤薬局で受けるサービスとその対価がどう見ても釣り合っていないと思うのである。厚生労働省の資料 診療報酬(調剤技術料)の3ページに院内処方と院外処方の比較が載っている。これによると診療報酬の例として院内処方320円、院外処方3450円とある。院外は3130円高いとしながらも、この例では7種類の薬が投与されたと想定し、院外の方が安い後発薬の使用率が高いとして薬剤費が7280円安くなるとしている。つまり医薬分業は正しいと結論しているわけである。
ずいぶん苦しい言い訳である。後発薬による費用減を強調するために7種類もの投与を前提にしている。薬の種類が少なければ節減は少なくなり、調剤技術料のウエートは大きくなる。また院内処方での後発薬使用率を薬局並みの67%程度まで上げれば済むことである。その方法はあるだろう。医薬分業の意味は医師が儲けるために必要のない薬まで投与するのを防ぐのが大きな理由であった。しかしそんな医師は一部であろうし、やろうと思えば検査の拡大で収入を得ることもできる。また今は薬価と仕入れ価格の差(薬価差益)も以前よりずっと小さいとされる。
患者は医院に行き、薬局に行くという不便さに加えて、余分な費用を払うことになる。この問題を解説している医院のウェブページ「調剤報酬の比較について」にわかりやすく解説されている。調剤薬局も「かかりつけ薬局」と「院外調剤薬局(門前薬局)」との2種類があることを知った。調剤費も差があり、かかりつけ薬局の方が高い。複雑な仕組みだが、元々の制度に難点があるとそれを修正するために複雑化する傾向がある。
2010年代後半で調剤薬局は約57,000軒、これはコンビニエンスストアの約54,400軒を超えるそうである。これだけの店舗を患者と健康保険が支えているのである。近年の調剤薬局の年間売り上げ額は約7兆4千億円、大雑把だがこの25%程度が調剤費らしいので、調剤費の合計は2兆円弱となる。巨額である(ちょっと調べただけなので正確な数値ではない)。患者の負担と健康保険負担は大きいが、それに対する利益が釣り合っていないと思う。
実に残念なことであるが、この事実はほとんどメディアでは報じられない。また野党が問題にすることもない。このような問題を取り上げ、解決法を提案することこそ野党とメディアの役割であろう。野党はモリカケ問題で1年以上もの間、国会の機能を浪費したが、反省や謝罪はない。謝罪しないのは近隣のどこかの国と同じだが。