噛みつき評論 ブログ版

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語るに落ちる

2009-09-07 09:34:16 | Weblog
 以下は09年8月10日、毎日新聞大阪夕刊の「憂楽帳」に載った麻生幸次郎記者の記事からの引用です。

 『16年前、カンボジアの国連平和維持活動(PKO)中に襲われた文民警察官が亡くなった。出身地の支局記者だった私は、彼の親族に会った。「父の死を感じているみたいで、急に黙り込むんです」。突然訪問した私にその人は、「無邪気」と報じられていた幼い遺児2人の悲しみを切々と語った。一種の特ダネだ。

 しかし、戻った支局に電話があった。「影響も考えず、ついしゃべってしまった。記事にしないでください」と、それこそ切々と訴えられた。再取材と説得を試みたが、二度と遺族の門戸は開かなかった』

 たしかに、遺児の悲しみが大々的に報じられればPKO活動は少なからぬ影響を受けていたと思われます。当時は自衛隊の派遣に対して社会党などの反対が強かった時期であり、自衛隊派遣に逆風を送ることが麻生記者の思惑であったのでしょう。

 遺児の悲しみを特ダネ記事にして、政治に利用しようとする新聞記者と、きわどいところで踏みとどまり、利用されることを避けた賢明なご親族、という図式が浮かびます。交通事故などの死と違って、特ダネとするのは政治利用の価値が高いからです。

 皮肉なことにこの記事はその意図とは裏腹に、新聞の姿勢を暴露したものになりました。遺児の悲しみを利用して、国民の感情を煽り、特定の政治的な目的を実現する、あるいは特定の政党の利益を図る、という姿勢です。不偏不党とか中立公正とかいう言葉が空しく聞こえます。

 それにしてもこのような記事を平然と書く記者の無邪気さにはちょっと驚きます。あるいは、このような手口はどこの新聞社でもごくごくあたりまえのことなので、「常識」として気にもされなかったのでしょうか。

 今度の選挙における自民党の大敗にはマスコミのこのような努力が少なからず寄与したことでしょう。むろん自民党の身から出た錆によるところも大きいと思われますが。


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2 コメント

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Unknown (フラット)
2009-09-08 09:25:09
左系新聞が好きそうなネタですね。
東南アジアへの過去の謝罪をというのならば文民による国際貢献は「是」だと思うのですが、当時の政治情勢からみて自衛隊派遣への布石であると深読みすれば「非」なのでしょう。ましてや彼らは自国民の外国での死に非常に敏感です。完全なる安全など国内でだって達成されていないのにサマワに派遣される自衛官(防衛省・外務省へ転嫁されるかたちで)にすらそれを求めようとする。

バブル期のゆたかな財政状況は様々な方面からの国家への要求を可能としてきました。マスコミは市民派を気取った文化人や言論者と結託して左傾化をより深めていき、世論を動かし立法にまでも影響を及ぼすようになりました。なにしろ政治家自体がポピュリズムによる人気取りに走りだした時期ですから(政権交代等を経ることにより)、そうした意味でも受け皿ができていたのしょう。
しかし今回は環境やら福祉やらを云々していたころとは訳が違います。与党のすげ替えに一役買うどころか完全に介入しているとしか思えない偏向報道が実にえげつない。
一般的な有権者のうちどれほどの人が民主党の主要後援団体に日教組がいることを知っているでしょうか?愛国的な教育を完全否定し、反動的で組織としてサボタージュを主導し、子供よりも教職員の人権を尊重するような団体がこれからの日本の教育政策に著しく関与していくなど……マスコミが知らないなんてことは断じてあり得ないでしょうから意図的に報道していなかったとしか考えられません。
国防、外交政策にしてもアジア寄りといえば聞こえはいいですが、彼らの言うアジアとは主として中国です。経済的には関係強化はやむを得ないところですが、軍事面においてもアメリカ寄りからシフトしかねないニュアンスがそこかしこに感じ取れます。しかもそうした考えの主体をなす小沢・岡田の両氏がそれぞれ党と政府の要職に就くとは……連立にはあの社民党も列んでいますしね。

先行きの不安は増すばかりです。マスコミは国民に対してもっと客観的判断材料と選択の結果の冷静なシュミレートなど、良質な情報を提供すべきでした。
次の参院選までには民主党に対する国民審判はある程度固まっているでしょうが、マスコミによる世論誘導がまたしても行われる可能性を考えると……やはり不安です。

第三勢力どころか最早第一勢力化している彼ら。それでいてスポンサーへの迎合を捨てられない体質が更に事態を複雑化させているように思います。本当になんとかならないもんですかねぇ。
いや、長文になってしまいました。すいません。
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Unknown (okada)
2009-09-10 11:21:38
興味深いコメント、ありがとうございます。

左派のマスコミは、イラクに派遣された自衛隊に死者が出ることを心待ちにしていたといわれています。一国の重要政策が偶発的なことで変更されることのおかしさは問題にされません。

日教組の問題もおっしゃる通りで、あまり知られていないと思います。輿石氏など日教組の代表です。このような問題を知らせる役割を果たしていた右派系月刊誌も休刊や部数減で、影響力を落としています。

この国を滅ぼすものがあるとすれば、その候補の筆頭はマスコミだと私は考えています。

民主党については仲間割れの可能性があると思います。これから見物するとしましょう。
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