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政府税調の答申を大きく報じない朝日の狙い?

2007-11-26 13:02:25 | Weblog
 11月21日、政府税制調査会による税制改正の答申内容が新聞に載った。今回の答申では年度答申と共に中長期の税制の方向性が示され、それには消費税率上げの必要性と共に、所得税の最高税率の引き上げや、相続税の強化など、従来の方向を180度転換する内容が含まれている。

 朝日新聞は1面左上に「所得・相続課税も強化」「消費税上げ明記」、9面に「税を問う」「個人増税 地ならし」と掲げひととおりの解説をしているが、全体として「増税」という負のイメージを強調しているように見える。また問題の重要性のわりに扱いが小さいという印象が強い。

 欧米の動向や新自由主義の影響と思われるが、この十数年、所得税の累進率、相続税率は下げられ続けてきた。累進課税の緩和は所得の再分配機能を低下させ、格差の拡大を助長することになり、相続税率の低下は資産の世代間移動を可能にして、機会均等を妨げてきた面がある(資産を受け継いだ者は有利なスタートラインに立てる)。

 今回の答申は現在までの税制の方向性を大転換するという点で大きい意味を持つ。新自由主義路線に修正を迫るという側面もある。朝日がそれに触れず、増税だけに目を向けるのはどうかと思う。日経は1面トップであったが、朝日の扱いは船場吉兆事件に比べると情けないほど小さい。

 この十数年来、所得税の累進率、相続税率は下げられ続けてきたと書いたが、そのときも十分な報道がされず、ほとんど議論は起きなかった。税制の変更は格差や機会均等という社会の基本的なあり方に密接な関係があるにもかかわらず。

 答申に示された方向転換の意味を十分伝えることによって、理解を深めて議論を興すのが新聞の役割だ。政府税調にしても苦労して打ち出した方向性を冷ややかに扱われたのでは気の毒だ。また答申内容のよい点が評価を受けることで、その影響力を増す。

 累進課税の強化は社民党の主張とも共通するが、社民党と同じ見解を持つことが多い朝日新聞はこの点、もう少し評価してもおかしくない。何か理由があるのだろうか。

 前回、高額所得層の所得税率が下げられたとき、大手メディアの高所得の方々はその恩恵を受けたと思われる。今回の答申が実行されると逆に増税になる可能性がある。日頃、格差をあれこれ言っている手前、表立って反対もできないので、そっとしておきたいお気持ちもわからないわけではありますが。


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