焼け付く陽の中を、バーデン・バーデンから帰ってきた。そこの古い城が建つ岩場で二日間に亘って、山岳協会支部のクライミングコースが催された。その城とエバーシュタインブルクの町の間の自然公園内に岩壁郡が横たわる。ここの病院は、高名な指揮者フルトヴェングラーが半世紀前に息を引き取ったとして知られている。夜は、シュヴェーベン側のムルク渓谷へと降りて、そこの山中の美しいキャンプ場で過ごした。横では子供が室外プールに飛び込む叫び声が響き、川の流れとともに涼しげであった。
その晩、三杯の(1,5L) ヴァイツェンビーアなどで水分補給しながらテラスで夕食を摂っていると、室内から突然声が上がった。タイマーで録画の準備をしてきたドイツ対チュニジアの試合で一点目を挙げた時だった。弱点を衝くだけでなく、一気呵成に襲い掛かるのはいつもの事なので、これはあまり実力を測る参考にはならない。本当の王者の自信は、決して弱者相手には築かれない。
泊まり組は男所帯であったが、何人かは食事前にシャワーを浴びる。しかし乾燥しており、その必要もなく、手に汗を握っても、殆んど体には汗を掻く事もなく運動出来るのは驚きであった。日焼け止めのクリームが肌の乾燥を防ぐ。キャンプ場横のスポーツ施設のレストランとはいえ、殆んどがキャンプ客である。それでも、菜食主義者の一人を除いて全員が襟付きの服に着替えてディナーに出かけた。それ程、皆が里では見せられぬ格好をしているという事でもある。
その後、バーデンの辛口リースリングを飲んだりしていると、隣の客が「プァルツの言葉は分からん」というのが耳に入る。なるほど、他の土地の人には難しい発音である。スイスドイツ語の方がアルマン語に含めれて遥かに素直で、他国語とミックスした単語を除くと解かり易い。テント場に戻って来てから、またわいわいとやったが、平均年齢も高いせいかあまり騒ぐ者もいないので苦情は出なかった。クラフィーアで「連談」した。そう静かに、ピアノ!しかし、このようなキャンプの月夜は、何十年ぶりだろう?
翌日は、流石にビールの炭酸で腹が張って動きは悪かったが、日陰を選って動いていたので息があがる事もなかった。前日以上の猛暑だったがやはり汗を掻かない。シャンペンを打ち上げに飲み、近所のカフェーでビールを飲んでも砂漠にこぼすようにすっと吸い込まれていく。全ては、滞りなく進展した。
夕刻6時30分前に戻って来てから、早速日本対ギリシャの試合を前半途中からTV観戦する。この暑さは、乾燥しているのでギリシャに近いのかもしれない。それでも地の利を生かせなかったようである。最も詰まらない試合と言われた日本対メキシコ戦とは全く違い、今回は魅せる試合であった。しかし日本のスター選手が、「精彩がなくなっても貯金通帳は増え続ける」、「ポップスター気取りでライヴ放送を持っている」だのと酷く批判される。そして彼がゴール前でPKの危険を冒して足を引っかけると不器用なプレーとして嫌悪感までが示される。些か厳しすぎるようにも響くが、コマーシャリズムの批判として、システムの破綻として、他人事でも放って置けないのだろう。それと反比例するように動きの良い注目の10番は、欧州では大分評価が定まってきたようである。
ブラジル対メキシコのブラジルの敗北に、名手にも誤りがあることを確認出来て面白い。水曜日には、真剣勝負を見れるだけでも楽しみである。辛口批評のニッツァー氏に言わせると、日本は「重要なところでのパスの精度が劣る」、「シュートでキーパーを恐れている」と技術面よりも経験や精神面での弱点を示唆する。前ワールドカップ時のフィニッシュ不足への「勉強する必要がある」、「鬩ぎ合いを更に経験しろ」からすると今回の「ジーコ監督の下で更に発展途上中」の評価は、明らかに変わって来ている。月並みなだが、スポーツにおける精神的な面を見ていくと、ある種の倫理観や美意識に繋がっていくので興味深い。
参照:花崗斑岩の摂理に向き合う[ 文学・思想 ] / 2005-06-21
その晩、三杯の(1,5L) ヴァイツェンビーアなどで水分補給しながらテラスで夕食を摂っていると、室内から突然声が上がった。タイマーで録画の準備をしてきたドイツ対チュニジアの試合で一点目を挙げた時だった。弱点を衝くだけでなく、一気呵成に襲い掛かるのはいつもの事なので、これはあまり実力を測る参考にはならない。本当の王者の自信は、決して弱者相手には築かれない。
泊まり組は男所帯であったが、何人かは食事前にシャワーを浴びる。しかし乾燥しており、その必要もなく、手に汗を握っても、殆んど体には汗を掻く事もなく運動出来るのは驚きであった。日焼け止めのクリームが肌の乾燥を防ぐ。キャンプ場横のスポーツ施設のレストランとはいえ、殆んどがキャンプ客である。それでも、菜食主義者の一人を除いて全員が襟付きの服に着替えてディナーに出かけた。それ程、皆が里では見せられぬ格好をしているという事でもある。
その後、バーデンの辛口リースリングを飲んだりしていると、隣の客が「プァルツの言葉は分からん」というのが耳に入る。なるほど、他の土地の人には難しい発音である。スイスドイツ語の方がアルマン語に含めれて遥かに素直で、他国語とミックスした単語を除くと解かり易い。テント場に戻って来てから、またわいわいとやったが、平均年齢も高いせいかあまり騒ぐ者もいないので苦情は出なかった。クラフィーアで「連談」した。そう静かに、ピアノ!しかし、このようなキャンプの月夜は、何十年ぶりだろう?
翌日は、流石にビールの炭酸で腹が張って動きは悪かったが、日陰を選って動いていたので息があがる事もなかった。前日以上の猛暑だったがやはり汗を掻かない。シャンペンを打ち上げに飲み、近所のカフェーでビールを飲んでも砂漠にこぼすようにすっと吸い込まれていく。全ては、滞りなく進展した。
夕刻6時30分前に戻って来てから、早速日本対ギリシャの試合を前半途中からTV観戦する。この暑さは、乾燥しているのでギリシャに近いのかもしれない。それでも地の利を生かせなかったようである。最も詰まらない試合と言われた日本対メキシコ戦とは全く違い、今回は魅せる試合であった。しかし日本のスター選手が、「精彩がなくなっても貯金通帳は増え続ける」、「ポップスター気取りでライヴ放送を持っている」だのと酷く批判される。そして彼がゴール前でPKの危険を冒して足を引っかけると不器用なプレーとして嫌悪感までが示される。些か厳しすぎるようにも響くが、コマーシャリズムの批判として、システムの破綻として、他人事でも放って置けないのだろう。それと反比例するように動きの良い注目の10番は、欧州では大分評価が定まってきたようである。
ブラジル対メキシコのブラジルの敗北に、名手にも誤りがあることを確認出来て面白い。水曜日には、真剣勝負を見れるだけでも楽しみである。辛口批評のニッツァー氏に言わせると、日本は「重要なところでのパスの精度が劣る」、「シュートでキーパーを恐れている」と技術面よりも経験や精神面での弱点を示唆する。前ワールドカップ時のフィニッシュ不足への「勉強する必要がある」、「鬩ぎ合いを更に経験しろ」からすると今回の「ジーコ監督の下で更に発展途上中」の評価は、明らかに変わって来ている。月並みなだが、スポーツにおける精神的な面を見ていくと、ある種の倫理観や美意識に繋がっていくので興味深い。
参照:花崗斑岩の摂理に向き合う[ 文学・思想 ] / 2005-06-21
ジュネバーをチビチビやりながらの応援で、ブラジルの試合が始まったときにはすでに半分夢のなか。ほとんど試合を見ずに寝てしまいました。
ずっと前に若い日本チームがブラジルを破ったことがありました。何の大会だったでしょうか。アメリカで開かれた。あのときのゴールキーパーは川口でした。その再現がなるか。水曜日が楽しみです。
都筑さん、はじめまして。日本がブラジルを破ったそのゲームは、1996年のアトランタオリンピックでのものでした。川口もそれ以来浮沈はありましたが、今度の真剣勝負でも神がかり的なセービングを期待したいと思っています。
ブラジルは、動き良すぎで新ルールのオフサイドに引っかかる事が多そうです。ブラジル戦は、当時TV観戦した覚えがあります。望岳人の情報のようです。
望 岳人さん、実は中田選手のスター性と言うのは私は直接知らないのです。あるとすればドーバ当時のチームの情けない姿をTV観戦したイメージぐらいです。彼は、欧州では妙に名前が出過ぎて(当時の高い契約金額ゆえでしょうか?)、厳しい批判に曝されるようです。その背後の経済構造は誰もが分かっているのですが、今回は辛らつなコメントが絶えません。マスコミの扱いが些か感情的な方向へと傾いているので注目しました。個人的な感情とは考えられないので、「サッカーメディア」インサイダーしか分からない理由があるのでしょう。
川口選手は小柄でも良くキープしてますね。今回は場所取りが素晴らしかったと賞賛されれました。メキシコ戦での一点は小さいからだと解説されていました。カーン選手が落ちて来たのと違い、全盛期なのでしょうか。情報有り難うございました。