瓶詰め直後の試飲や春の試飲会などに続いて、五月には二回の試飲のお客さん、そして五月の試飲会などで、試飲本数もかなりの量をこなした。そのなかでも、五月始めに行ったものは、最も系統立てて企画したものであった。そのプログラムを総括しながら、ワインの試飲を語りたい。
この企画の発端は、土壌に関する疑問とプファルツ地方産のワインの特徴の確認があった。これらを明白にする辛口リースリングの試飲に絞ることが出来て、概ね所期の目的を達成したものと自負している。その客観的な成果は、緑家さんの感想をご覧頂きたい。
二つ目の隠されたテーマである「特徴」が、一つ目のテーマである「土壌」によって、どれほどに浮き彫りとされたかはなんとも言いがたいが、少なくともミッテルハールトと言う山並みを背にしたプファルツヴァインの中心領域産のワインを系統的に網羅することで、全体にこれを代えることは許される。
訪問した四件の醸造所やワイン酒場などは、その目的から少なくとも2006年産に関しては妥当な選択であった。最初に歓迎ワインとして試飲したバッサーマンのライタープァード地所のワインから、その周辺、さらに翌日該当地域の中で最も南側に位置する地所から始め、翌日へとかけて試飲するワインの地所も北上して行く。先ずは南端のビュルガーガルテンの下支えのある土壌、そして北へと向かいギメルディンゲンの地所マンデルガルテンに、その隣のビエンガルテンや次の町ケーニッヒバッハの地所を、またルッパーツブルク産にカルクの混入してくるダイデスハイムの地所等を交えながら試飲していく。さらに、その午後の昼食には、そのカルクの土壌から小さな隆起を越えて、フォルストの玄武岩が交じるペッヒシュタインまでのワインを試す。
その後は、フォルストの村を中心とした周りの殆ど地所のワインを試して行き、再び夕食にはギメルディンゲンを中心としたワインに切り代える。そして、翌日は、ヴァッヘンハイム・フォルスト間の地所を時計回りに大きな輪を描くようにして、ダイデスハイム・ルッパーツブルク産のワインへと戻りつつ範囲を拡げて行く。その後にニーダーキルヘン産のフォルストともダイデスハイムとも異なるワイン街道から少し離れた地域のワインを試し、夕食には南ワイン街道へと足を伸ばしもしくはワイン街道の北よりの地域でそこのワインを試すとした。
こうしたプログラムで、確認出来ることは、雑食砂岩ベースのワインの典型に、泥地によって水分が十分に養分をもった時、その土壌にカルク質が増えた時、玄武岩の混入量が高い時、珪素の多い砂地で養分があまり溜まっていない時のリースリングの味や香りにおける影響である。これはとりもなおさず、この地方のワインの特徴に結びついていて、その養分は蜂蜜のような花園の香りを現出させて、カルク質は切れの良いミネラル風味のワインを作り、玄武岩はその花園にベールをかけて充満させ、砂地はシャンペンのような湧き上がり感を創出する。
雑食砂岩基礎の特徴は、モーゼルのスレート土壌やナーへの火山性土壌のような多様性を生まないかもしれないが、くすみ気味の南国の果実や香水のようなワインの味の基礎となっている。そこに各々の土壌の特徴が加わるとしても良いだろう。
該当の中心領域は、南北略15キロ、東西2キロほどの地域に横たわっていて、歴史的にもその収穫量から一等地であり、ローマ人のワイン栽培も進んでいた。そして、細かな土壌の特徴のニュアンスを活かすエレガンスへと近代的なワイン醸造が向って、現在でもドイツで最も価値のあるワイン地所が存在する土地柄である。それ故に、特に辛口リースリングが抜きに出ているわけでも全くないが、品質の良い魅力的な辛口をラインガウと並んで産出し易いことには違いない。
実際に全プログラムを完璧に履行は出来なかったが、試飲に付随してワインの経年変化や等級を体験することが出来たのは幸運であった。
リースリングほど土壌の影響をその出来栄えに反映する葡萄は無いとするのが通説であり、今回もこれを余すことなく提示出来た。そこで芽生えてきた新たな関心とは別に、その時期や年度によっては全く異なる試飲企画のコンセプトをテーマとして定めることが可能であり、試飲は買い付けのための行動であると共に、新たな出会いの機会であることを痛感した。
ワインの摘み取り体験や有料ワイン試飲会や博覧会への訪問、ワイン蔵見学や体験、季節料理とワイン食事会など、数多くの催し物や企画がある。そのなかでも、今回のものは、土壌と言う最も硬い地盤となる含蓄を築くものであって、この体験は甘口リースリングや他のドイツワインなどの判定においても重要な試金石となると思われる。
私の様に、やや並みの舌をもっているとしても、誰でも体験すればこうして深みへとはまって行くものなのである。
上の写真はある醸造家の裏庭にある岩石コレクションから、白いカルクと黒い玄武岩。
写真の南左端にムスバッハとその右上ギメルディンゲンの両町の間を縫うよう、ワイン地所ビュルガーガルテンやマンデルガルテンが手前に伸びる。そこから地図真ん中下方にあるダイデスハイムへとかけてケーニッヒスバッハの大きな斜面がゆったりと落ちる。落ち切った写真の下方がルッパーツベルクとなり、再び右上へとスロープが上るとダイデスハイムの地所となる。そこから一旦小さな谷を隔てて、広い大きなスロープが横たわり、写真右下ボール状マーキングのフォルストへと至る。写真で確認出来るようにそこは山裾が盆地状となっていて、秀でたミクロ気象が特徴となる。そこから写真右へと一旦小さな尾根を上ると地所ペッヒシュタインとなって砂地のゲリュンペルへと続いていく。
この企画の発端は、土壌に関する疑問とプファルツ地方産のワインの特徴の確認があった。これらを明白にする辛口リースリングの試飲に絞ることが出来て、概ね所期の目的を達成したものと自負している。その客観的な成果は、緑家さんの感想をご覧頂きたい。
二つ目の隠されたテーマである「特徴」が、一つ目のテーマである「土壌」によって、どれほどに浮き彫りとされたかはなんとも言いがたいが、少なくともミッテルハールトと言う山並みを背にしたプファルツヴァインの中心領域産のワインを系統的に網羅することで、全体にこれを代えることは許される。
訪問した四件の醸造所やワイン酒場などは、その目的から少なくとも2006年産に関しては妥当な選択であった。最初に歓迎ワインとして試飲したバッサーマンのライタープァード地所のワインから、その周辺、さらに翌日該当地域の中で最も南側に位置する地所から始め、翌日へとかけて試飲するワインの地所も北上して行く。先ずは南端のビュルガーガルテンの下支えのある土壌、そして北へと向かいギメルディンゲンの地所マンデルガルテンに、その隣のビエンガルテンや次の町ケーニッヒバッハの地所を、またルッパーツブルク産にカルクの混入してくるダイデスハイムの地所等を交えながら試飲していく。さらに、その午後の昼食には、そのカルクの土壌から小さな隆起を越えて、フォルストの玄武岩が交じるペッヒシュタインまでのワインを試す。
その後は、フォルストの村を中心とした周りの殆ど地所のワインを試して行き、再び夕食にはギメルディンゲンを中心としたワインに切り代える。そして、翌日は、ヴァッヘンハイム・フォルスト間の地所を時計回りに大きな輪を描くようにして、ダイデスハイム・ルッパーツブルク産のワインへと戻りつつ範囲を拡げて行く。その後にニーダーキルヘン産のフォルストともダイデスハイムとも異なるワイン街道から少し離れた地域のワインを試し、夕食には南ワイン街道へと足を伸ばしもしくはワイン街道の北よりの地域でそこのワインを試すとした。
こうしたプログラムで、確認出来ることは、雑食砂岩ベースのワインの典型に、泥地によって水分が十分に養分をもった時、その土壌にカルク質が増えた時、玄武岩の混入量が高い時、珪素の多い砂地で養分があまり溜まっていない時のリースリングの味や香りにおける影響である。これはとりもなおさず、この地方のワインの特徴に結びついていて、その養分は蜂蜜のような花園の香りを現出させて、カルク質は切れの良いミネラル風味のワインを作り、玄武岩はその花園にベールをかけて充満させ、砂地はシャンペンのような湧き上がり感を創出する。
雑食砂岩基礎の特徴は、モーゼルのスレート土壌やナーへの火山性土壌のような多様性を生まないかもしれないが、くすみ気味の南国の果実や香水のようなワインの味の基礎となっている。そこに各々の土壌の特徴が加わるとしても良いだろう。
該当の中心領域は、南北略15キロ、東西2キロほどの地域に横たわっていて、歴史的にもその収穫量から一等地であり、ローマ人のワイン栽培も進んでいた。そして、細かな土壌の特徴のニュアンスを活かすエレガンスへと近代的なワイン醸造が向って、現在でもドイツで最も価値のあるワイン地所が存在する土地柄である。それ故に、特に辛口リースリングが抜きに出ているわけでも全くないが、品質の良い魅力的な辛口をラインガウと並んで産出し易いことには違いない。
実際に全プログラムを完璧に履行は出来なかったが、試飲に付随してワインの経年変化や等級を体験することが出来たのは幸運であった。
リースリングほど土壌の影響をその出来栄えに反映する葡萄は無いとするのが通説であり、今回もこれを余すことなく提示出来た。そこで芽生えてきた新たな関心とは別に、その時期や年度によっては全く異なる試飲企画のコンセプトをテーマとして定めることが可能であり、試飲は買い付けのための行動であると共に、新たな出会いの機会であることを痛感した。
ワインの摘み取り体験や有料ワイン試飲会や博覧会への訪問、ワイン蔵見学や体験、季節料理とワイン食事会など、数多くの催し物や企画がある。そのなかでも、今回のものは、土壌と言う最も硬い地盤となる含蓄を築くものであって、この体験は甘口リースリングや他のドイツワインなどの判定においても重要な試金石となると思われる。
私の様に、やや並みの舌をもっているとしても、誰でも体験すればこうして深みへとはまって行くものなのである。
上の写真はある醸造家の裏庭にある岩石コレクションから、白いカルクと黒い玄武岩。
写真の南左端にムスバッハとその右上ギメルディンゲンの両町の間を縫うよう、ワイン地所ビュルガーガルテンやマンデルガルテンが手前に伸びる。そこから地図真ん中下方にあるダイデスハイムへとかけてケーニッヒスバッハの大きな斜面がゆったりと落ちる。落ち切った写真の下方がルッパーツベルクとなり、再び右上へとスロープが上るとダイデスハイムの地所となる。そこから一旦小さな谷を隔てて、広い大きなスロープが横たわり、写真右下ボール状マーキングのフォルストへと至る。写真で確認出来るようにそこは山裾が盆地状となっていて、秀でたミクロ気象が特徴となる。そこから写真右へと一旦小さな尾根を上ると地所ペッヒシュタインとなって砂地のゲリュンペルへと続いていく。
これを参考にしつつ買って帰ったワインを1本1本実践してみたいと思います。試したところでは
雑食砂岩ベースのワインの典型→Herrgottsacker,Reiterpfad,Goldbaechel
泥地によって水分が十分に養分をもった時→Mandelgarten,Hohenmorgen,Langenmorgen,
土壌にカルク質が増えた時→Altenburg,Kalkofen
玄武岩の混入量が高い時→Ungeheuer,Pechstein
珪素の多い砂地で養分があまり溜まっていない時→Geruempel
という感じに分類されるんでしょうか?
特級のKirchenstueckやJesuitengarten,Kieselberg, Idigなどの畑はどのあたりに分類されるのでしょうか?上記添削ならびにご教示願います。
雑食砂岩ベースをある種の苦味(ライタープファード)のようなものは私自身今回解りました。これは純な南ワイン街道と比較で明白になると思います。
ALTENBURGは、ペトロ味や特殊なものが交じっていて売り方によっては高く売れるかなとも思いました。典型的な味の切れも一部としてあるかもしれません。カルクとしてウンゲホイヤーもヘアゴットザッカーも挙がります。
しかしUNGEHEUERやFREUNDENSTUECKにも玄武岩の特徴が出ているかもしれませんね。
キーセルベルクは名の通り砂利状で水を通し易い。だから、蜂蜜香とは正反対であっさり系です。近辺のラインヘーレやグラインヒューベルなどもカルク成分も交えながら同じ傾向ですね。それに比べて、イーディックは、カルク泥となってます。黄色の果物味。やはりミネラル風味なのでしょうか?イェーズイガルテンは、カルクは殆ど感じませんし、キルヘンシュテュックよりも大分単純です、寧ろ蜂蜜系。
分類はこじ付けとなってもいけませんので、上の俯瞰図から基本に戻ってみてみましょう。
http://blog.goo.ne.jp/pfaelzerwein/e/3676637b4515ad1706f70bffc0b4f211
グーグルアースを見ても解りますが、バサルトの場所が、バーゼルからのフォーゲゼンからの脈が一番ライン平野に突き出ている所で、そこが最も複雑に様々な層が錯綜しています。
あと、歩いてみると良く解るのですが、ミクロ気象がかなり違っています。