Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

典型的なザウマーゲン

2005-12-27 | 料理
クリスマス用に本物のザウマーゲンを買った。何処かのお店では食べた事がある「本物」だが、直接買うのは初めてである。元々名物としてあったものだが、時の首相ヘルムート・コール博士が世界の首脳をワイン街道に招いた折にこれを何時も振舞ったのでプライム・ミニスター・ステーキと呼ばれるようになった。

ゴルバチョフ大統領、イェルチン大統領、サッチャー首相、メージャー首相、カルロス王など、ダイデスハイムでの昼食として振舞われた。このザウマーゲンは、歩いて鼻の先で作られているのだが、門前に肉屋があったので余計にこれを買う機会は無かった。その肉屋の閉店の影響もあり、最近は小売販売に力を入れている事を知り、如何しても本物を試したくなったのである。

さて、驚いたのはその種類の豊富さで、5種類以上のザウマーゲンがある。その中から栗の入ったミニザウマーゲンを、本物ザウマーゲンと共に購入する。その栗の味は以前に食べた事もあったが、またこれは格別であった。フライパンに引っ付き難いのも素晴らしく、通常のザウマーゲンと比べて調理しやすくて、大変上品である。

「本物ザウマーゲン」は、何よりも本物の豚の胃の皮が付いているのが嬉しい。これが食べられるレストランは、知る限り一軒しかない事を考えると、家で何時もこれを食せるとなると大喜びである。その焼けた胃の皮が何ともスルメのようで味わいがある。更に、これが焼けるに従って縮んでくるので、中に入っているジャガイモも壊れずに、肉もふやける事無くフライパンに引っ付き難い。と言う事は、肉汁を失う事が無くて美味しさを逃さないのみならず、安易に調理出来るので大変素晴らしい。

床屋でこの事を話すと、人数が集まれば胃袋毎購入して、ソーセージのように胃袋のままお湯に浸けて食すれば良いと聞いた。そのようなパーティーをした事が無いので、機会があれば是非これをしてみたいと、また楽しみが増えた。油に掛けるのと違って、香辛料と肉等の中味の味を暖めただけで純粋に食べれるので、大変なデリカテッセンに違いない。どのようなリースリングワインを開けたら良いのだろうかと考えるだけで嬉しい。

ホームページをみると台湾の業者が買いつけをしていて、そこでもこのザウマーゲンを売っているようだ。そう言えば、数年前に中国人風の背広のグループを天窓から見かけていて、その目撃時刻からして何の商用だろうかと不思議に思った事がある。

マーガレット・サッチャー首相は、このザウマーゲンが余り口に合わなかったらしく、ヒースローへの帰路の飛行機の中で一連のコール首相の歓待を評して、筆頭秘書官に溢したらしい - “So typical German“ 。



参照:
利のある円錐形状 [ 料理 ] / 2006-01-26
昔は良かったな [ 生活・暦 ] / 2005-06-18
公共堆肥から養分摂取 [ 女 ] / 2005-01-11

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4 コメント

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Unknown (うさ)
2005-12-28 06:32:10
こんにちは、pfaelzerweinさん。



料理だから、堂々来ちゃいました。

最近のワイン話にも、フラフラしそうでしたが。



またしても、私にとっては未知の食べ物。

なんだろう?どんな味がするんだろう?興味津々であります。

しかも、「栗の入った…というのが格別!」というのを聞いて、栗大好きのうさは、「どうぞ、私にも、ヒ、ひとくち。。。」



でも。どうして、胃の皮が縮むとジャガイモが壊れなくなるのでしょう?

中に入っているのですよね?

…あれやこれや勝手に想像しつつ、また、私の手帳には食べなくてはいけないものが増えたのでした。。。



ところで。

政治家の名が通った人の好みには?がつくこともあるんだな、ということも思いました。

意外とエグイものも好きな私ですが、シラク大統領の大好物という、子牛の頭。

初めて食べたお店の調理法によるのかもしれませんが、もうコリゴリです。
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そこに秘伝がある (pfaelzerwein)
2005-12-28 07:57:21
「どうして、胃の皮が縮むとジャガイモが壊れなくなるのでしょう」-



うん、いい質問ですね。形状は胃袋に詰めた巾着型です。其れを端から、ハンバーグ状に切って皮ごと切り売りします。つまり厚さ2-3CMで胃袋の大きさのスライスになります。そのスライスの縁が皮になります。これを火に掛けると、縮み上がって皮のワッカがリングの中の肉やジャガイモを締め付けます。これが無いとジャガイモは表面に顔を出ていると如何しても脱落しやすいのです。



名物料理はエグイのと紙一重ですよ。其れを美味く作ったものを探すのは結構大変です。そこに秘伝があるからこそなかなか真似出来ない。



牛の頭は、こちらで知った豚の脳に近いものなのでしょうか?牛の脳は、BSEが危ないですけど。



http://blog.goo.ne.jp/pfaelzerwein/e/4dddfda78e3d9073d76a1881f04f1b28



其れとも頭の丸焼?



http://blog.goo.ne.jp/pfaelzerwein/e/a020943b5becc88786ec6e0e2ac22ad0





「初トライ、ホット・ビール」を拝見。シロップの入ったビールは結構あるのですが、どうなんでしょう。
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再び。。。 (うさ)
2005-12-30 06:03:38
こんにちは、pfaelzerweinさん。



なるほど、なるほど。納得です。

よくわかりました。美味しさが凝縮しそうですね!



…仔牛の頭の続きです。

「うわ~ぁ!」って思った印象が強く、他のことを忘れたくらいです。(2年以上前の話ですが、写真を撮っておくべきでしたね。でも、そちらの豚の脳とは違うと思います。)



食感が何とも私好みじゃなかったんだと思います。

そのゼラチン質と肉との混合状態が…何とも。

ただ、それにあわせたワイン(そこは、お料理に合わせたグラスワインをお店が選んで出すワインレストランでした。)が大変美味しかったのも思い出深いです。

…お料理は残すけどワインはもう1杯同じのを、と言ってしまいまったのを覚えています。



話が変わりますが、食感で駄目だったのが、所謂牛タンです。

日本の牛タンは大好物なので、喜び勇んで、とあるカフェで頼んだところ…

皮(?)がついていて、毛が生えていて(?)「うぎゃぁ~!」という感じでした。

それ以来こちらではオーダーしてません。

きちんとしたものは、やっぱり美味しいものらしいのですが。



…私が試したホットビールは、そんなお洒落なものではなく、苦味が少し利いていて素朴でした。
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舌に苔の生すまで (pfaelzerwein)
2005-12-30 07:45:05
ゼラチン質と肉との混合状態は、豚で言うとプレス・コップとかズルツェとかここで何度も紹介した煮凝りものになります。



牛の場合は、ドイツの黄色みが入ったソーセージの材料になります。今は危険なので余り出なくなったと思います。BSE危険食品に選ばれていました。



タンは、確かに皮が付いていますね。こちらで一番多いのは、煮込んでホースラディッシュソースにつけます。筋があるので良く煮込んで柔らかくなっているのが大切です。舌に毛ですか?カンジダかなんかじゃないんですか。「舌に苔の生すまで」って聞いた事無いですしね。
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