デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会

現在のローマで見ることのできる建造物には、古代の遺跡の上に建てられたものも少なくない。
今も残るパンテオンの周辺にはポンペイウス劇場、ポンペイウス回廊、アルジェンティーナ聖域、アグリッパ浴場、サエプタ・ユリア、ハドリアヌス神殿、ドミティアヌス競技場、他さまざまな施設があった。
このなかに、サエプタ・ユリアというのがあるが、これはパンテオンのすぐ東どなりにあった、(ユリアという名のとおり)ユリウス家の名を冠している中庭を含む広大な列柱回廊のことである。カエサルが計画しアウグストゥス帝が完成させたのだが、これは投票などを行う選挙会場で長さ300メートル、幅120メートルもあった。
サエプタ・ユリアには、ミネルウァの神殿があった。ミネルウァは詩・医学・知恵・商業・製織・工芸・魔術・戦いを司るローマ神話の女神であり、ミネルウァ神殿はサエプタ・ユリアの中庭に建てられていた。
サエプタ・ユリアのミネルウァ神殿跡の上には現在サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会が建っている。キリスト教の教会なのにミネルヴァの名が残されているのは、もちろんミネルウァにちなんでいる。


青色の天井が目を引く

何か古代ローマの遺跡っぽいものが教会内部に用いられていないかどうか少し期待したが、中は三廊式の立派なゴシック式教会そのものであった。
しかし教会の天井を見上げるとともに、あぁ、ここはここでキリスト教会にあるべきものがきちんとあって、教会の雰囲気だけでなくキリスト教の信仰の歴史的な源というか大いなる精髄を目にすることのできる貴重な場所なんだな、と教会については不勉強ながらも感じ取ることができた。


ペルジーノ作「主イエス・キリスト」




アントニアッツォ・ロマーノ「受胎告知」


カメラの撮影機能のどの色合いで撮るか非常に迷った


カラファの礼拝堂のフィリッピーノ・リッピによるフレスコ画


「聖トマス・アクィナスの勝利」








上に紹介した礼拝堂の壁画・絵画については、ガイドブックやウィキペディア、他のミネルヴァ教会を紹介した良質なサイトに詳しいので私からは触れない。
ただ、どのように表現したらいいのか、この教会はしばらくじっと居たくなるところだったことは否めない。礼拝堂の絵や彫刻、聖人が描かれ金色の星が散りばめられた青色の天井が、ゴシック式教会の独特の薄暗さの中では心を落ちつかせる雰囲気をかもし出していて、訪れる人々も注意されるまでも無く自ら静かに見学しようとする姿勢になるかのようであった。
投票などを行なう選挙会場であったサエプタ・ユリアは、私が勝手に想像するところ、きっとワイワイガヤガヤとそれなりに騒がしく、ミネルウァ神殿にもその声が聞こえてきていた、とするならば、現在の教会はそれとは真逆?であるといえるのだろうか。尤もこれは帰国後に得た印象で、現地ではこの教会でぜひ見ておきたかったお墓の前で佇んで、それに思いを馳せていた時間の方が長かった気がする。

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