デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
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ギャルリ・コルベール(2)
ひとりよがりな回想
/
2013-02-22 00:29:05
ロトンドの天井
ギャルリ・コルベールのロトンドは美しい。これはパサージュが誕生したときから称賛されていた。
ギャルリ・コルベールは
ギャルリ・ヴィヴィエンヌ
に並行する形でつくられているパサージュであった。ギャルリ・コルベールは「お隣」の成功に刺激されて、1826年に建設されたのである。
建設の母体となったのはアダン株式会社という会社でたずさわった建築家はビヨーである。「ギャルリ・コルベール」の名称は、この地所に建っていた建物がルイ14世の財務長官だったコルベール所有だったことが由来であるという。
「お隣」への対抗意識から建てられたゆえ、より美しく洗練され高級感を漂わせているギャルリ・コルベールであるが、誕生した頃は高級ブティックがテナントに入っていた。
しかし、ギャルリ・コルベールへは「お隣」ほどには人が押し寄せなかった。それはパサージュがあまりにも整い過ぎ、消費者が頭を低くして通るような雰囲気であったり、ギャルリ・ヴィヴィエンヌが自分たちのパサージュの方に客足が向くよう動線を捻じ曲げてしまったことに理由があるという。
見事なロトンド。でも人は…。
ファザードをかざる壁面装飾はポンペイ様式。ローマ時代の美学を再現していたという。
ギャルリ・コルベールも「お隣」に対抗するため一軒の店を犠牲にして支脈を開通させたりしたがそれも功を奏さず、1832年に支脈の角にジェオラマという新型の見世物を置くことにした。
だが、一時はジェオラマで人を集めたもののブームが去ると、やがて撤去され、その跡には家具付きホテルが二階に付属するカフェが入った。しかし、そこはパレ・ロワイヤルに出没する娼婦たちのたまり場となった。
ギャルリ・コルベール二六番地。「そこでは、表向きは手袋屋の、気さくな美人が一際目立っているのだったが、彼女は若さといえば、重視するのは自分の若さだけだった。彼女が一番贔屓にしている男たちに装身具を買ってくれるように迫るのであり、これで一財産期待していたのである。……この額に入った若い美人はラプソリュ〔絶対〕と呼ばれていたが、哲学が彼女を捜し求めようとしても、駆け回るだけですっかり時を無駄にしたことだろう。実は手袋を売っていたのは彼女の女中で、彼女と付き合うには手袋が必要というわけだった。」■人形たち■娼婦たち■ルヴーフ『パリの古い家』Ⅳ、<パリ、一八七五年>、七〇ページ。 [A1a,5]
「群衆は、おたがいの姿が見えないパサージュ・ヴィヴィエンヌにはひしめきあっているが、おたがいがおそらくよく見え過ぎるためか、パサージュ・コルベールのほうはお見限りだ。いつだったか、パサージュ内の円形の建物を毎晩中二階のガラス窓からかすかに漏れてくる響きのよい音楽で満たして、群衆を呼び戻そうとしたことがあった。ところが、群衆は入口に鼻先を突っこむだけで、内部にまで入ろうとはしなかった。この新機軸には、自分たちの旧態依然たる習慣や娯楽に対する陰謀が隠されているのではないかと疑ったのである。」『百と一の書』Ⅹ、パリ、一八三三年、五八ページ。一五年前にも同じように、W・ヴェルトハイム百貨店を救おうという試みがなされ、そして、その試みも徒労に終わった。この百貨店を貫いている大きなパサージュで、何回かコンサートが催されたのである。 [H1,2]
ロトンドに置かれているヴィーナス像
パサージュ・コルベール。「このパサージュを照明する大型燭台はサヴァンナの真ん中にあるココヤシの木に似ている。」■ガス■『百と一の書』Ⅹ、五七ページ、パリ、一八三三年(アメデ・ケルメル「パリのパサージュ」) [M3,6]
パサージュ・コルベールの照明。「規則正しく並んだクリスタル・ガラスでできた丸い火の玉の列がすばらしい。そこから、強烈だが心地よい光りが発してくるのだ。宇宙空間を放浪しに出かけようと出発の合図を待っている戦闘隊形の彗星もこんなふうなのではないか。」『百と一の書』Ⅹ、五七ページ。都市の星界へのこのような変貌を、グランヴィルの『もう一つの世界』と比較せよ。■ガス■ [M3,7]
このヴィーナス像がある場所にはかつてココナツの樹を模したブロンズの彫刻が置かれ、その上部にクリスタル円球のガス灯がいくつか取り付けられていた。(後ろの壁に見える白い灯りがココナツの樹の上に「実っている」ようなイメージ)
その「ココナツの樹」がとなりのギャルリ・ヴィヴィエンヌを激しく嫉妬させたという。ギャルリ・ヴィヴィエンヌのメルクリウス像は「ココナツの樹」と比べるといかにも見劣りしたようである。
ちなみに、現在ギャルリ・コルベールのロトンドに置かれているヴィーナス像は1822年に製作されたものだ。
L.Ranteuil Rome 1822 とあるように読める。
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