ぱたぱた仙鳩ブログ

徳島から書道文化を発信します。

かぜまーる 風の駅さかもと書道展 デモステ

2017年02月25日 | 日記

2月25日(土)、表記の展覧会が2月19日から始まっています。この日は、かぜまーるの5名を連れてデモンストレーション(Demonstration)に出向きました。Demonstrationは、日本語直訳では「実演」ですが、「公開実験・実物宣伝」の意味合いも含んでいます。長いので略して「デモステ」と言われることもあります。坂本に行く途中に、「ビッグひな祭り」会場を短時間見学しました。

風の駅さかもとに到着しました。鴻本さんのお宅の昔のミカン貯蔵室が改造されて、「かぜまーる記念室」ともいうべき展示場になっていました。今後、ここに常設展示されることになるそうです。

作品は、東西北の三面の壁に、古民具などと共に展示されていました。額のように見えるのは、ミカンの貯蔵棚に板を貼り込んだものです。勝浦町は徳島県内で最も有名なミカン産地で、鴻本家でもかつてはたくさん出荷していたそうです。勝浦出身の歌人、新居伊佐男の短歌15首と、廃校になってしまった地元の坂本小学校校歌をかぜまーるが様々な構成で書き上げた作品です。

新居伊佐男(にいいさお)の略歴は私が書きました。北原白秋とも関連のある歌人で、農協組合長・実業家・議員としても活躍しました。すばらしい歌人でありながら、地元以外ではほとんど知られていないのですが、かぜまーるの作品と共に、現代によみがえります。文学と書道の合体です。

白秋の短歌雑誌「多磨」を調べました。https://kotobank.jp/word/%E5%A4%9A%E7%A3%A8-94264

「吾妹」は「わぎも」と読むのでしょう。万葉集などに出てきますが、男性が愛する女性を呼ぶときの古語です。山口県出身の歌人である生田蝶介の主宰した短歌雑誌のようです。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%94%B0%E8%9D%B6%E4%BB%8B

今はインターネットで、このような専門外の情報もすぐに調べることができます。

会場内の机の上に毛氈を敷いて、既に依頼されている色紙作品を4名の女子が書き始めました。依頼者の方々が側で揮毫場面を見学していました。

上勝町の遍路小屋、西山荘の方から、玉城・星川の2名が看板用の色紙を頼まれて書きました。額に入れて飾られるそうです。

宇良くんは、鴻本さんから桜の板の作品を書くように頼まれました。「あなたにいい風が吹きますように かぜまーる」です。風の駅さかもとのカフェ室内に飾るそうです。ちょうど脇町の中妻さんが遊びに来られていましたので、完成作品の前で一緒に撮影しました。部屋内に飾られているのは、書道文化学科の他の学生の作品群です。二人の後ろに左から、遠山さん、星川さん、緒方さん、久保田さん、山下さんの作品が見えます。

この日は様々な場所から、かぜまーるに書を書いてもらいたい人が10名ほど集まっておられました。下の写真はその一部の方と鴻本家前で記念撮影したものです。鴻本家内には、1年前に制作した「ひな祭り作品」がたくさん飾られています。最近、このような普通の生活空間の中に書を展示する実験を継続していて、大きな手応えを感じています。

鴻本家の床の間に飾られている「風」の軸作品は、1年前に玉城さんが書いたものです。かぜまーるを象徴する作品の一つです。かぜまーるは音楽で言えばジャズバンドのような存在でしょう。即興揮毫の中には卒意の面白さが溢れています。彼らが書道に新しい風を起こしつつあります。

一般の皆さんから、書を求められる学生が育っています。これに応えることで、地域も活性化しますし、彼らの力もどんどん伸びていきます。一挙両得です。