昨日、教員免許状更新講習の一部で、書道の講習を行なったところ、30人の先生にご参加頂き、朝9時~夕方5時まで行ないました。夏休みの終了間際、残暑の厳しい中、参加の先生方は数日間の研修を受けなければならず、本当に大変だと思いました。この講習は昨年から担当しているのですが、書道専門の先生は数名で、ほとんどは小学校・支援学校の先生、また普段は他教科を教えていて書道の経験の少ない先生が多いので、書道に関する基本的な思想や構成・技術に関する話をし、実習を含めながら、かつて自分が教えてきた様々な指導法を紹介する、といったものです。自分よりも年上の先生方も多い中、なるべく2学期からの授業に生かせるようなことを伝え、少しでもお役に立ちたいと思い、「すぐに役立つ書道授業の思想と技術」 という講座名にしました。自分自身も、韓国・京都・広島・東京と立て続け移動した疲れを引きずりつつ行ない、最後には本当に体がくたくたになって帰宅しました。でも、終了後に先生方が最後に書いて下さったレポートを読むと、自分が思った以上に書道に対して良い印象を抱いて下さり、2学期から授業に書道を取り入れようと考えてくれている先生方が多かったことに驚きました。これを読んで疲れが一気に吹っ飛ぶ感じがしました。やはり人は常に 「愛のある言葉で救われる」 ものですね。
「書道は単にきれいな文字を書くためのノウハウを学ぶことだ。」 という誤解が相変わらずあります。しかし、書道教育は多くの名蹟を鑑賞し、書字行為を追究することで、文化全体に対する興味が増し、見るものすべてに対する観点が変わり、深い美意識・空間意識・歴史観・洞察力が身につくことこそ重要です。その結果として美しい文字が書けるようになるのです。そしてその能力は、他分野の芸術・建築・文章や、さらに人間の生き方にまで適用できるものです。この歴史的文芸が現代に残ったことは日本にとって幸運だと思っています。様々な面での行き詰まりを感じているこの国に、この書道という一見時代遅れのように見える文芸は、もしかしたら一つの解決策を提示するのではないかと、最近考えています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます