2月9日(木)~14日(火)、徳島駅近くの四国大学交流プラザ3階で、四国大学書道文化学科4年生による卒業制作展が開かれています。昨日から受付のお手伝いに行っています。今日・明日も午前中だけ行きます。
卒業生20名による作品、64点が所狭しと展示されています。各自の卒業論文のテーマに関連した作品と、自由な創作作品で、様々な書風や形式があって楽しめる展覧会です。教員も、小さな色紙作品で参加しています。
右の写真は、ゼミ生の石川瑶子さんの作品で、江戸末期の大阪の文人、十時梅厓の書いた折帖の臨書作品です。書いてある文の内容は唐の詩人杜甫が作った飲中八仙歌です。彼女は卒業論文として十時梅厓を取り上げ、この書帖は四国大学図書館に所蔵されている珍品です。董其昌の書風を取り入れた、スマートでおしゃれな作品です。石川さんもよく勉強して、この書風をしっかりマスターし表現しています。以下に梅厓の略歴を書いておきます。
十時梅厓 (とときばいがい) 寛延2~文化元 (1749~1804) 56歳
大坂の生まれ。名は業・賜、字は季長・子羽、通称は半蔵。別号に清夢軒・顧亭。儒学を伊藤東所に、書を大谷永庵・趙陶斎に学ぶ。詩文・篆刻にも優れ、画は皆川淇園・池大雅らの影響を受けた。趙陶斎の斡旋で伊勢長島藩主の増山雪斎に仕えた。寛政2年に長崎に遊び、費晴湖ら清国の文人たちと交流し、書画を学んだ。晩年は大坂に戻り、木村蒹葭堂・細合半斎・頼春水・篠崎三島・上田秋成・岡田米山人・太田南畝など、多くの文人たちと書画を楽しんだ。
さらに下の作品は田中綾乃さんの創作作品、「龍」です。絵のように見えるのは、中国の3300年前の漢字で甲骨文と言われる古いスタイルで、龍の文字の原型です。亀の甲羅や牛の大腿骨などに彫りこんだ1cm位の文字を
もとに書いています。墨の飛び散りやかすれが見事です。さらに左に、自分で考えた詩を書き入れています。
書道作品も、最終的には書く中身の文章まで自分で考えて、文字の形や表現も自分で考えて書いた時に、初めて本当の創作作品となります。彼女も卒業作品ですので、気合いを入れてすべて創作にしています。たいへん迫力があるし、バランスもいいですね。
これらはほんの一部で、このほかにも色を使った作品や、紙を加工して書いた仮名作品や、布に藍染めをした作品などもあり、バラエティーに富んでおり、楽しめる展示です。
時間は9:00~17:00で、最終日の14日(火)は16:00までです。
交流プラザは駐車場はありませんが近所に多くの駐車場があります。また、徳島駅からは徒歩5分です。
ぜひお出かけください。
臨書作品も、品が感じられて、長く眺めていたいと思う作品です。大学生の皆さんのいきいきした作品を見ると、大きな元気を頂ける気がします。