12月10日(土)、徳島市中前川町2丁目にある徳島県立文学書道館に「徳島県高校生書道席書創作コンクール」の表彰式に行ってきました。合わせて、入賞作も鑑賞してきました。このコンクールは今年初めて文学書道館が企画したもので、漢字・仮名・漢字仮名まじりの3部門で、最初に半切・半紙の自由作品での予選を経て、各部門15人程度に絞り、本選ではその場で、一人の力で創作作品を作るというものです。課題は本選当日に発表になり、5つほどの課題の中から一種を選び、字典は使用可能です。各部門2時間のタイムリミットの中で制作します。漢字・漢字仮名まじりは全紙、仮名は半紙サイズの料紙を使います。
通常の展覧会では既に出来上がった作品での評価になりますから、お手本を横に置いて真似して書くこともできますが、このような席書では一人の力だけで書かねばなりません。課題は当日にならないとわかりませんので、事前に同じ文での練習はできず、本当の実力が問われます。画期的な書道コンクールのシステムだと思います。今回、徳島県で初めて行われ、私もたまたま3人の審査員の一人に選ばれました。審査も厳正で、作品の高校名や苗字は一切知らされず作品だけ見て、3人の審査員の合議で決めます。審査員は本選の時に書いているところは一切見せられていませんし、審査当日は字典を片手に文字を確認しながら見ましたので、これで選ばれたのは本当に実力がある作品といえます。中には2~3部門に選ばれている実力者もいました。
書道字典を使ってもいいのですが、まだ高校生ですからたまに誤字もあり、せっかく上手に書いていても、誤字があった場合は上位の賞には入れませんでした。一字の一画だけ違った作品もあって、それはとても残念でしたが仕方ありません。でも県内の多くの作品の中からこの本選に選ばれて、額装展示されるだけでもすばらしいことだと思います。広い語彙力や文学・歴史・地理、文字学的な知識も要求されます。
さすがに県内えりすぐりの高校生の書道作品です。若者らしい、伸び伸びした線で、また斬新な構成の作品が多く、書風もいろいろでたいへん楽しめます。本当の書道コンクールというのはこうあるべきなのではないかと考えさせられます。右の写真は、漢字仮名まじり部門の大賞作品です。ユニークな構成で、字も堂々としていて、線が強く美しいですね。
徳島県と墨・筆屋さんが協賛してくださって、出品料も無料の上に賞品が豪華で驚きました。この展覧は12月18日(日)まで行われています。ぜひご覧下さい。
こんな書をつくる高校生がいると思うと、なんだか楽しくなってきます。
自分ひとりの力で、ここまで作りあげていく席書創作コンクールが、
もっと多く開催されて、本当の実力をもつ書家の卵たちを、たくさん発掘することができるように、願っています。