an empty page

空白のページを埋めるように、日々のできごとあれこれつづります。

教室の悪魔/山脇由貴子

2007-01-09 23:14:44 | 本・映画・テレビ

昨年暮れ頃からいじめによる自殺が相次ぎ、
テレビニュースなどでも話題になっています。

報道が過熱していたとき、私もチラチラとニュース番組を
見ておりました。

いろんな識者がいろんなことをいったり、タレントが
「私もいじめにあったけど、それをバネにして今は
がんばってる!」的な発言などもあり、それぞれに
一理ありましたが、ど~しても私的に「何か」が
腑に落ちない。

このもやもやしたものは何だろう……と思っていたら
12月末のある日、新聞広告に出ていた一冊の本に目が
釘付けになりました。

それが、

教室の悪魔 見えない「いじめ」を解決するために

です。

ここに私が本当に知りたかったことが書いてあるに
ちがいない! と直感し、さっそく購入して読んでみました。

著者の山脇由貴子さんは東京都児童相談センターの
心理司。

最初この本のタイトルを見たとき「『悪魔』なんてずいぶん
ぶっそうな言葉を使っているな~」なんて思いましたが、
実際に読んでそれも納得。いじめの認識がガラッと
変わりました。

自分が子どもだった時代と、ここまで様変わりをしているとは。
まさに「進化するいじめ」。

自分が子どものときの昔話を引き合いに出すのはどうかとも
思うのですが、今と比べるとやはりそれほど深刻では
なかったように思う。

いじめは確かにありましたが、今ほど陰惨ではなかったし、
いじめる子、いじめられる子、それ以外の大多数は
傍観者で、傍観者の中には陰でそっといじめられている子に
声をかけたりして、フォローしている子どももいました。

それが今は傍観者という立場すらなく、ひとり対クラス全員という
構図になっている。

そして、いじめられている子は、親に知られたくないと必死で
いじめられていることを隠す。

いじめる側は、そのことを知っていて、巧妙にバレないように
いじめをエスカレートさせていく。

この本を読んで、なるほどこういう風にして子どもたちが
追い詰められて、最悪、自殺というパターンになるのかと
やっとわかりました。

読んでいて、背筋が凍りつくようないじめの数々。

自分が子を持つ親であれば、子どもをそんな目に合わせたく
ないし、同様に(たとえ主犯でなくても)加害者側にさせたくないと
思う。

著者は、「いじめは子どもたちだけでは解決できない。今こそ、
大人が立ち上がらなければならない」と主張する。

本には「いじめに気づくチェックリスト」の掲載もあり。
薄めの本なので、読書になれている人なら30分もあれば
読むことができます。

子どもを持つお母さんたちはもちろんのこと、あらゆる人に
とにかく読んで欲しい一冊。


[追記] 2007.01.17 20:05

いじめ相談のリンク先です。いじめに悩む方の
何らかの参考になれば幸いです。

■北海道教育委員会いじめ問題:
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/oky/02ijime/ijime

■いじめから子供を守ろう!ネットワーク(市民団体):
http://mamoro.blog86.fc2.com/


[追記2] 2007.01.26 0:24

読売onlineで以下のニュースが出ていました

「いじめの調査に協力するな」北海道教組が支部に通達

学校が解決してくれる、公の機関だから大丈夫という
ことでは必ずしもないようです。

************************************************
■今日の小ネタコーナー 1■
この本の中に、コンパスの針で背中をつつかれる
といういじめの例が出ていました。いじめが発覚
しないように、時には手加減をしながら加害者が
コンパスで刺すわけですが、被害者が「手加減を
してくれてありがとう」といじめている側にお礼を
言うというのが衝撃的でした。本当は相手のことが
憎くてしかたのないはずなのに(フツウはそれが正常な
反応である)、いじめられているのにお礼をいうという、
倒錯した感情がそこにはある。これは親に
虐待されている子どもの心理に極めて近いものが
あるのではなかろうか。現代のいじめは、そこまで
精神的なダメージを与えうるものだと知って
ショックでした。

■今日の小ネタコーナー 2■
この本にはいじめ解決に向けてのアプローチの
しかたも載っています。子どもがいじめにあったと
親が知ったとき、加害者、そして学校に対する
憤りが出るのは当然なんですが、クラス・学校
単位でいじめ隠蔽がされるケースも多々あるよう
です。そうなると被害者と被害者の家族 VS 
学校全体(時には教育委員会も含む)となり、
こうなると数の論理からいってもこの戦い
(いじめ解決)は被害者側が不利ということになる。
この辺は知恵を使って、外部の応援・アドバイスを
得るなど、慎重に対応を進めたいものです。



人気blogランキング(地域・北海道)

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする