山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。
と思っていたけど、もうそんな年齢じゃなくなってきた。

8月10日「散歩者」(上林暁)

2020-08-10 21:31:06 | 読書

暇つぶしに、上林暁の短編集を読むことにした。

その中の何を読もうかと探すが、特別惹かれる題名はなく、無難に「散歩者」というのを選んだ。私が散歩ばかりしているからだ。これは「花の精」の前に載っている作品である。

その内容は、著者は何かにつけて散歩をするのだそうで、その散歩のときに遭遇したことや見かけたことなどを、日常のことと共に綴っているのであった。

A駅からO駅までよく歩くというので、それは阿佐ヶ谷から荻窪だろうとすぐにわかった。上林暁は天沼1丁目に住んでいたそうで、それはほぼ阿佐ヶ谷と荻窪の間である。
ならば私もその辺を歩いてみようかな~、などと思いながら読んでいた。しかし、暑いからやっぱりやめておこう。

そのあたりの地域は、知らない場所ではない。作品の中には、額縁屋や時計屋が出てくるが、そんな店はあっただろうか?大昔のことだから、今はもう無いのだと思う。

ある夜、著者「私」が友人の家から帰る途中、氷屋から出てきた若い女がいた。姿はきれいだが、口を拭うしぐさに、どことなく下品な印象を受けたそうだ。その女は「私」の前を足早に歩いて行ったが、途中で急に歩みが遅くなり、後ろを歩いている私に追い越してもらいたいような様子であった。そして、「私」がもう少しで追いつきそうになったときに、女がそこにあったとてもみすぼらしい古ぼけた家に入っていったのだそうだ。女はきっと、そんな家に帰るところを見られたくなかったのであろう。とのことが書いてあった。

それを読んだ私も、つい先日のことを思い出した。それは仕事の帰り道だ。私の数メートル前を一人の女性が歩いていた。その人は、私よりちょっと若い程度の中年女性だった。私が後ろからついていくような感じだったので、その女性は背後の足音に気づいていたようだった。ほぼ同じ速度で歩いていた。他には誰もいない。私は、もしかしたら前の女性は速度を速めるのではないかと感じていた。

すると、女性は歩きながら振り返って私を見た。怪しい男性がつけているわけでないことが分かったはずだった。だが、なぜかその後、段々その女性の速度が遅くなり、距離が近づいていくのであった。そうしてついに追い越してしまった。

実はその前から、私はその女性はどこまで行くのだろうと思っていた。その道を通るのは、だいたいその道沿いに住んでいる人だからである。後ろを歩いていけば、その人がどこに行くのかが自然に見える。

でも、突然ゆっくりになったから抜かしてしまった。そうして、今度は私のほうが後ろの人はどこまでついて来るのだろうかと気になってしまった。振り返るのも変だが、少し進んだところで振り返ってみた。すると、その女性の姿はない。
たぶん、けっこう高級なオートロックマンションの中に入って行ったと思えた。

「散歩」を読んでいたら、つい最近の自分のそんな体験を思い出したのだった。

それからまた「散歩」の中には、小さな時計屋のことが書いてあった。その時計屋は、若い新婚夫婦がやっているが、妻は身だしなみを整えた、とてもきれいな人であった。店の中で夫の傍らに座って新聞を読んだり、ラジオを聴いたり、夫の仕事を眺めたりして、いつもそばにいる。著者「私」は、その姿を羨望の思いで見ていたそうだ。

ところが、それからしばらくして「私」が、時計を修理に持って行ったことがあった。すると中から所帯じみた女が出てきて、それは以前見た美しい妻とはまるで違う人だったそうだ。しかし、それが時計屋の妻で有ることは明らかだった。その女は、身だしなみを整えて店に座っているようなこともせず、エプロンをして忙しそうに奥のほうで働いているような地味な女であった。

最初の美しい妻とはうまくいかず離婚し、後妻とはうまくいっているのだそうだ。
結局のところ、仕事もしないで座っているだけの美しい妻より、そっちのほうがよかったという結論だろう。
若くて美しい妻をめとれば、世間ではいかにも幸福そうに見えるものだが、現実は意外にそんなものであろう、との話だ。

それを読んだら、私もある知人夫婦のことを思い出してしまった。この人たちは、数年前に結婚したのであるが、妻のほうはとてもきれいで、とにかく自分の姿や洋服や、家のインテリアなどを完璧な美しさに整えたい人間である。身だしなみ第一で、朝起きれば1時間かけて化粧をし、服もセンスの良いものでなければ着ない、家具や備品なども、質やデザインに徹底的にこだわるのである。

結婚前は、夫はこの美しくセンスの良い女性を妻にしたら、連れて歩いても自慢できて夢のような夫婦生活ができると思ったに違いなかった。女性は女性で、この夫が一流会社に勤めており、かなりの収入もあったので、将来は安泰だと思っていた。

ところが、この女性、もともと家事をするなんていう意識がまるでなく、夫のために食事を作り洗濯をするという所帯じみた現実が苦痛になってしまった。夫のほうでは、妻が家事もろくにしない一方で、かなりの贅沢をして出費がかさむので、不満がでてきた。妻に言わせると、夫は帰宅すればひっくり返って何もせず、酒ばかりのんでいるそうだ。こんな男に尽くす気はますます無くなる。そんなことでぎくしゃくして、ついには離婚に至ったそうである。

この夫婦は、SNSでは、絵にかいたような旅行風景や外食風景を公開していて、他人からは羨望のまなざしで見られていたが、それは、うわべの幸福らしさに過ぎなかった。
この夫は、不細工なセンスもないただの女と再婚したら、うまくやっていけるかもしれない。

今も昔も、人の本質は同じだなあと思う。

そうして、驚いたのは、この作品の最後に「(昭和15年8月10日)」と書いてあったことだ。8月10日は今日じゃないか。

私はよくぞっとすることがあるのだが、著作物を読んでいて、こういう偶然が多々あるのである。
昭和15年って今からちょうど80年前のことだった。上林暁はこれを今日書いたんだ。

私はよく、作者の魂を感じる。
それは、私が選んで読んだのではなく、これを読むように導かれたらしいのだ。

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近況

2020-08-10 11:22:04 | 日記2020

今日は、山の日なんだそうだ。
テレビでは、世間は8月8日から大型お盆休みが始まったということで決めつけているが、そんな長い休みの人がどんだけいるのか?普通、お盆は13日から16日までで、それを全部繋げちゃう人なんか少ないと思う。

それに、私の会社には、元々「お盆休み」ってもんはない。銀行や官公庁だって、お盆休業はしないのだから、お盆を一斉に休みにしてしまう職場ってそんなにたくさんあるもんじゃないと思う。

それで、私の職場では、あくまで個人が勝手に有給休暇を使って夏休みをとるわけなんだけど、そうなったら何もこの猛暑の時期に取ることはない。暑くてどこにも行けないし、さらに新型コロナ感染拡大で東京の人間は都外には行けない。だからって都内は危険だからどこへも行けないのだ。

そんなわけで、カレンダー通りの休日だが、それでも今日は山の日なんだから休みである。
じゃあ、どこに行こうかな?と考えたが、人と濃厚接触にならないところは屋外である。屋外は暑い。
涼しい屋内には、人が多い。じゃあ、行くところはないじゃないか。

車の運転もしないといけないけど、行くところがないのだから、猛暑の中をただ走り回ってもしょうがない。じゃあ、家で読書でもするかなと思って、机に向かって座ったら、いきなり眠くなって、また布団の上に倒れこんで寝てしまった。

スマホの電話着信メロディーで目を覚ましたが、出る気にもならず、うとうとしている。
やっと起き上がり時計を見ると11時半だった。

なんと・・こんなに長く寝ていたとは思わなかった。午前中はもうおしまいだ。昼ご飯の時間だ。
夫が7時前に仕事に行くので、6時頃起きるから、どうしても眠くなってしまう。それも、前夜に夜更かしをしていたり、寝付けなかったりして3~4時間くらいしか寝ていないからだろう。

有給休暇の話に戻るが、私は年間15日しか有給休暇がない。それはパートタイマーで週4日の勤務だからである。勤務年数は長いので、以前週5日働いていたときは、20日付与されていた。
そして、ほとんど使わないので、どんどん貯まっていって年間40日も残っているのが普通だった。
2年以上前の有給は消えてしまうので、消えないように使って常に30日以上を残しているような感じにしていた。

その後、娘の出産のときにまとまった休みを取り、そこで数日消化した。それでも、まだ余裕があった。

状況が変わったのは、昨年末で、変な風邪をひいて一気に数日使ってしまった。
そして、今度は今年の3月だ。また風邪をひき、熱は出なかったが新型コロナの可能性を否定できないため、念のために仕事を数日休んだ。これで有休残数はかなり減ってしまったのである。

その後、今度は在宅ワークになった。在宅ワークになると家でできる仕事が少ないことがあった。
そういう場合は、職場に出かけていくが、それも急ぐ仕事ではなく、出勤は危険ということで、半日休などを取って調整することが多くなった。

ちょうど歯医者に行く必要もあり、普通なら勤務時間後に通うところを、有休をとって通院したりした。

そうしたら、有休をほぼ使い果たしたのである。

私は1月に入社しているので、7月に有給休暇が付与されたが、それが15日である。
これはほぼ月に1回の休みがとれるということで、祝日のない月などに回したいところだ。ちなみに今年はスポーツの日が7月に移動されたので、10月に祝日がないから、10月に有休をとって息抜きをしたい。

そうなると、夏休みを一気に3日以上も取るなんてことは考えられない。
風邪をひいたときなどにそなえ、使わずに残しておくべきだとも思える。

まあ、そもそも週4日勤務なので、休んでばかりいるんだから、疲れることもないけど、
長期間のんびりする休みを取ってみたい気はする。

長期休暇は、この15年間、取ったことはないし、夫とも休日が合わないので、旅行に行けない。
今はどうせコロナの関係で、旅行なんか行けたもんじゃないし、外食さえできない。

全く、息抜きも気晴らしもできない状況。

しょうがないねえ。

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