もうかれこれ40年以上も前のことになります。
私は東京にあこがれて、地方から東京の大学を受験しました。
自宅から始発電車に乗ると、なんとか試験会場に到着するくらいの距離だったので、都内に宿泊はせず、日帰りで試験を受けて帰りました。
第一志望の大学の試験会場は本当に東京といえる場所です。東京都千代田区にキャンパスがありました。
その大学と短大を受験しましたが、見事に不合格となりました。
その後、滑り止めの短大を受けました。こちらは、品川区にありました。
そして、この短大に入学し、卒業しました。
アパートは、短大から徒歩5分の住宅街にあり、1階4畳半・トイレ共同、お風呂は銭湯というところでした。短大2年間とOL2年間の計4年を過ごしました。周囲はチマチマした住宅街で近くに商店街がありました。
第一志望の大学に入れなかったのは、本当に残念だった、もっと勉強しておけばよかったと思って、この年まで生きてきました。
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ところで、本当に最近気づいたのですが、その東京のど真ん中にあった第一志望の大学ですが、1・2年生は八王子キャンパスだったのです。
それって、確か受験するときから知っていたはずなんですよ。ところが、とにかく合格することだけを考えていて、その八王子という場所がどこにあるのかってことを、全く考えていなかったのですね。
近年になって、初めて車で東京都内を色々走り回るようになったのですが、八王子ってすごく遠いじゃないですか。東京都の果てです。
電車で行っても、新宿から京王線に乗って、なんか山を越えて行くみたいな、とにかく東京というひとかたまりの生活圏とはまるで違う地域なんですね。
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だから、もし第一志望の大学に合格していたら、いったいどうなっていたんだろうと今になってぞっとします。
親だって地元からは一歩も出たことのない人間です。品川の短大に行くことになり、短大近くの不動産屋に駆け込んで学校のそばの安いアパートを見つけ、そこで賃貸契約してくれました。
そして、当時は宅急便なんか無かったので、国鉄で実家から布団なんかを送ってきたように思います。
それから、現地でカラーボックスや櫓こたつなどを購入しました。
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これがもし、第一志望の大学だったらどうしたでしょう。
入試は千代田区に行ったとして、実際に学ぶのは八王子です。いったいどうやって八王子に行くんですかね?実家は静岡県なのですが、その場合は八王子にはどうやっていくのかなあ?
当時は学園都市のような感じで八王子が開発されていたのだったと思います。都心に入りきれない多くの大学が、近郊地域に新キャンパスを増設していた時代でした。
私は、いまだにその大学の八王子の所在地は知らず、行き方もわかりません。
八王子でアパートをみつけたとして、そこで1・2年暮らしたら、今度は3・4年で千代田区にまたアパートを探さなくてはならなかったわけです。しかも、その大学から徒歩5分なんてところに学生向けのアパートなんかなかったように思うのです。そうすると、ちょっと離れた地域をみつけて、そこでアパートを探して電車などで通うことになったかもしれませんが、田舎者にはどのあたりの地域を選べばよいかも皆目わからなかったと思うのです。
だから、今になると東京というところに土地勘がない私一家にとっては、第一志望の大学が不合格だったことは、ラッキーだったんじゃないかなと思うのです。
田舎者の親に、私の住まい探しなんて面倒なことをさせなくて済んだし、自分自身も右も左もわからない子どもだったので、受かったら大変だったのではないかと思うのでした。
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そして、入学した短大には、たまたま高校のクラスメートも合格していて、近くのアパートに住んでいたので、寂しい思いをすることはありませんでした。
その友達と一緒に、新しい友達も自然に作ることができて、環境が変わったことのストレスや不安はほとんどなく過ごすことができました。
偏差値の高い大学には行けなかったけど、勉強したい内容の短大だったし、ラッキーだったなと思いました。
東京の大学に進学するっていっても、八王子市や千代田区では全然場所が違いますし、その点、品川区は適度な場所だったと思います。学生時代は渋谷や新宿によく出て遊んでいました。
そうして、結局40年以上も東京と言われるところに住み続けることになりました。