2000年
1点リードした九回2死。山崎慎が四球を出したところで、マウンドにウルソーが上がった。松井にストレートの四球を与え、高橋由には2-3まで追い詰められた。しかし最後は、空振り三振を奪いゲームセット。高橋由に投じたのは、すべて外角のスライダーだった。「高橋はいいバッターだけど抑える自信はあった。ストライクはヒットされそうなだから。外角だけを攻めたんだ」とウルソー。「最後は目をつぶって真ん中にスライダーを投げさせた」と振り返った捕手の西山ほど動揺はしていなかったとうそぶき、「左打者を抑えるのが仕事。チームに貢献できてうれしいよ」と、来日初セーブに胸を張った。ならば、松井、高橋由が打席に入る八回からウルソーを投入する手もあったはず。しかし、達川監督が選んだのは山崎慎だった。「左には左、と言うけど山崎慎は回の頭からの方がいいと思ったしね。継投が間違いだとは思ってない」故障者続出のチーム状態に、「調子の良い者から使っていく」と話している達川監督は、投手起用にも同じ方針を貫いた。セオリーだけにとらわれない継投で勝ち星を拾った広島は、追いすがる巨人を振り切って今季初の4連勝。「しのいで勝つ」という首位らしい戦いぶりが、板についてきた。