1998年
ウオーミングアップでまず周囲を驚かせた。軽く投げたにもかかわらず、受けた西口ブルペン捕手は赤くなった左手を握りながら「145㌔は出てたと思うよ」と証言した。これを見た後だけに、風岡は恐る恐る打席に入った。フリー打撃の軽いムードなど、どこにもなかった。この風岡と続く星野を相手に合計65球。速球、シュート、スライダー、カーブと持ち球はすべて投じた。見逃しストライク6球、空振り1球、ボール28球、ファウル12球と、結果だけを見れば決して絶賛されるものではない。だが、球の速さと重さは十分に実証された。「確かに速いし重いです。みんなから球が荒れてくるゾって脅されてたんですが、荒れてこなかった」(風岡)「打ちづらい。威圧感がありますよ。コントロールもよさそうですね」(星野)安芸キャンプ中に両アキレス腱を痛め、大幅に調整が遅れた。明らかな投げ込み不足から、開幕不安説もささやかれた。そんな矢先、本人が「打者に投げたい」と志願してきた。折しも、第七の助っ人獲得のため、小林、三宅両渉外担当が渡米した日にだ。ド迫力のフリー初登板は、リベラの自衛本能が働いたからなのか。もちろん、この日の姿で序の口。「打たせようと思って投げただけ。力いっぱいじゃないよ。自分のボールを怖いと思ってくれたあありがたいけどね」調整不足の上に手加減してこれだ。暖かくなって完全に体が仕上がってくれば、より球威は増してくることを期待させてくれるフリー初登板。首脳陣が実戦登板のメドとするのは、十日後の十五日。この間、二軍で投げ込みと走り込みを行い、独自の調整を続ける予定だ。幸い、アキレスけんの状態も良好。「気持ちよかったよ。もう一回打撃投手をして実戦に投げられればいいね」ふさぎがちだった顔に一瞬笑みが漏れた。猛虎の怪人にようやく春が訪れようとしている。
(ウエートトレを終えると静かに安芸ドームの通路へ)
ー初めての投球だが。
「別にいつも通りだよ。感じはよかった。心構えも変わりはないしね」
ーブルペンでの投球がいつになるか分からないと言っていたが、今日になったのは?
「初日から投げるつもりだったよ。キャンプに来たのだから投げるには違いない」
ーこんなに囲まれるのは初めて?
「イエス。こんなに人がいると、やはり気を使ってしまうよ」
ー球種はどんなものを。
「直球にスライダーやシンカー、チェンジアップです。一日目にしてはいい出来だった。でも、ブルペンでいい球投げても仕方ない。感触をつかむだけだよ」
三日ぶりのブルペンでは変化球中心の投球だった。スプリットは低めに落ち、スライダーもキレは十分。初めて受けた矢野輝も「十分に三振は取れます。あの速球なら高めでもいけるし、落ちる球でもバットは振るはず」と証言。が、それ以上に最大の武器があった。「デカイ体にあの顔ですよ。打者にとってすごく近く感じるし、万一(150㌔の速球が)顔にでもきたら、と本能的に思ってしまうし(リベラが)にらむと、それだけで間違いなくびびってしまう」と断言。ウイニングショットは顔という球種のようだ。
ウオーミングアップでまず周囲を驚かせた。軽く投げたにもかかわらず、受けた西口ブルペン捕手は赤くなった左手を握りながら「145㌔は出てたと思うよ」と証言した。これを見た後だけに、風岡は恐る恐る打席に入った。フリー打撃の軽いムードなど、どこにもなかった。この風岡と続く星野を相手に合計65球。速球、シュート、スライダー、カーブと持ち球はすべて投じた。見逃しストライク6球、空振り1球、ボール28球、ファウル12球と、結果だけを見れば決して絶賛されるものではない。だが、球の速さと重さは十分に実証された。「確かに速いし重いです。みんなから球が荒れてくるゾって脅されてたんですが、荒れてこなかった」(風岡)「打ちづらい。威圧感がありますよ。コントロールもよさそうですね」(星野)安芸キャンプ中に両アキレス腱を痛め、大幅に調整が遅れた。明らかな投げ込み不足から、開幕不安説もささやかれた。そんな矢先、本人が「打者に投げたい」と志願してきた。折しも、第七の助っ人獲得のため、小林、三宅両渉外担当が渡米した日にだ。ド迫力のフリー初登板は、リベラの自衛本能が働いたからなのか。もちろん、この日の姿で序の口。「打たせようと思って投げただけ。力いっぱいじゃないよ。自分のボールを怖いと思ってくれたあありがたいけどね」調整不足の上に手加減してこれだ。暖かくなって完全に体が仕上がってくれば、より球威は増してくることを期待させてくれるフリー初登板。首脳陣が実戦登板のメドとするのは、十日後の十五日。この間、二軍で投げ込みと走り込みを行い、独自の調整を続ける予定だ。幸い、アキレスけんの状態も良好。「気持ちよかったよ。もう一回打撃投手をして実戦に投げられればいいね」ふさぎがちだった顔に一瞬笑みが漏れた。猛虎の怪人にようやく春が訪れようとしている。
(ウエートトレを終えると静かに安芸ドームの通路へ)
ー初めての投球だが。
「別にいつも通りだよ。感じはよかった。心構えも変わりはないしね」
ーブルペンでの投球がいつになるか分からないと言っていたが、今日になったのは?
「初日から投げるつもりだったよ。キャンプに来たのだから投げるには違いない」
ーこんなに囲まれるのは初めて?
「イエス。こんなに人がいると、やはり気を使ってしまうよ」
ー球種はどんなものを。
「直球にスライダーやシンカー、チェンジアップです。一日目にしてはいい出来だった。でも、ブルペンでいい球投げても仕方ない。感触をつかむだけだよ」
三日ぶりのブルペンでは変化球中心の投球だった。スプリットは低めに落ち、スライダーもキレは十分。初めて受けた矢野輝も「十分に三振は取れます。あの速球なら高めでもいけるし、落ちる球でもバットは振るはず」と証言。が、それ以上に最大の武器があった。「デカイ体にあの顔ですよ。打者にとってすごく近く感じるし、万一(150㌔の速球が)顔にでもきたら、と本能的に思ってしまうし(リベラが)にらむと、それだけで間違いなくびびってしまう」と断言。ウイニングショットは顔という球種のようだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます