駅のロータリーを回り、バス停の外れに送迎車を停める。
時計を見ると8時27分。
いつも一番早いSくんが乗り込んでくる。
左前方を見ると、Kさんが車いすでくる。
私は運転席から急いで降り、車のスライドするドアを開け、
Kさんが乗車するのを支えてから、
車いすを送迎車のハッチバックドアを開け載せる。
後ろを振り返ると、ダウン症のAくんがのんびりくる。
背中にはふくらんだリュックを背負っている。
おしっこを漏らしたときにはきかえる
ズボンや下着が入っている。
とうぜん、お母さんが作った美味しそうな弁当もあるはずだ。
大好きなコーヒーのペットボトルもあるだろう。
目が合うと、ふくよかな笑顔で右手を上げる。
身体全体が太っていて、まるで大黒様が歩いているようだ。
37歳になる彼は、とても可愛いんです。
駅から吐き出されてくる人も駅に向かう人も、
みなつまらなそうな顔をしている。
だいたいが会社に行くとイヤなことが待っているのだろう。
初冬ということもあり、誰もそれなりの服装をしていた。
ひとり、やけに短いスカートをはいた女の子が
さっそうと歩いていた。
充分自分の容姿を自覚している顔をしている。
可愛いのは分かるが鼻につく。
それでもその女の子を目で追っている自分が情けない。
たばこに火をつける。
風のようすが冬というより、まだ秋だった。
足で踏みつけ携帯灰皿に吸い殻を入れたとき、
Mくんがトコトコきた。時間は8時40分になっていた。
車を出さなければならない。
今日もHくんはこない。昨日も休んでいる。
作業所にくればがんばって仕事をする人なつこいやつなのだが、
何かあるとすぐへこむ性格で、作業所をよく休む。
この歳になって私の人生観を複雑にさせた可愛いやつらを乗せ、
私は送迎車のエンジンをかける。
歩行者に気をつけながら、ゆっくり車を左折させた。
時計を見ると8時27分。
いつも一番早いSくんが乗り込んでくる。
左前方を見ると、Kさんが車いすでくる。
私は運転席から急いで降り、車のスライドするドアを開け、
Kさんが乗車するのを支えてから、
車いすを送迎車のハッチバックドアを開け載せる。
後ろを振り返ると、ダウン症のAくんがのんびりくる。
背中にはふくらんだリュックを背負っている。
おしっこを漏らしたときにはきかえる
ズボンや下着が入っている。
とうぜん、お母さんが作った美味しそうな弁当もあるはずだ。
大好きなコーヒーのペットボトルもあるだろう。
目が合うと、ふくよかな笑顔で右手を上げる。
身体全体が太っていて、まるで大黒様が歩いているようだ。
37歳になる彼は、とても可愛いんです。
駅から吐き出されてくる人も駅に向かう人も、
みなつまらなそうな顔をしている。
だいたいが会社に行くとイヤなことが待っているのだろう。
初冬ということもあり、誰もそれなりの服装をしていた。
ひとり、やけに短いスカートをはいた女の子が
さっそうと歩いていた。
充分自分の容姿を自覚している顔をしている。
可愛いのは分かるが鼻につく。
それでもその女の子を目で追っている自分が情けない。
たばこに火をつける。
風のようすが冬というより、まだ秋だった。
足で踏みつけ携帯灰皿に吸い殻を入れたとき、
Mくんがトコトコきた。時間は8時40分になっていた。
車を出さなければならない。
今日もHくんはこない。昨日も休んでいる。
作業所にくればがんばって仕事をする人なつこいやつなのだが、
何かあるとすぐへこむ性格で、作業所をよく休む。
この歳になって私の人生観を複雑にさせた可愛いやつらを乗せ、
私は送迎車のエンジンをかける。
歩行者に気をつけながら、ゆっくり車を左折させた。