所沢駅東口の朝

2005年11月10日 | 健康・病気
駅のロータリーを回り、バス停の外れに送迎車を停める。
時計を見ると8時27分。
いつも一番早いSくんが乗り込んでくる。
左前方を見ると、Kさんが車いすでくる。
私は運転席から急いで降り、車のスライドするドアを開け、
Kさんが乗車するのを支えてから、
車いすを送迎車のハッチバックドアを開け載せる。

後ろを振り返ると、ダウン症のAくんがのんびりくる。
背中にはふくらんだリュックを背負っている。
おしっこを漏らしたときにはきかえる
ズボンや下着が入っている。
とうぜん、お母さんが作った美味しそうな弁当もあるはずだ。
大好きなコーヒーのペットボトルもあるだろう。
目が合うと、ふくよかな笑顔で右手を上げる。
身体全体が太っていて、まるで大黒様が歩いているようだ。
37歳になる彼は、とても可愛いんです。

駅から吐き出されてくる人も駅に向かう人も、
みなつまらなそうな顔をしている。
だいたいが会社に行くとイヤなことが待っているのだろう。
初冬ということもあり、誰もそれなりの服装をしていた。
ひとり、やけに短いスカートをはいた女の子が
さっそうと歩いていた。
充分自分の容姿を自覚している顔をしている。
可愛いのは分かるが鼻につく。
それでもその女の子を目で追っている自分が情けない。

たばこに火をつける。
風のようすが冬というより、まだ秋だった。
足で踏みつけ携帯灰皿に吸い殻を入れたとき、
Mくんがトコトコきた。時間は8時40分になっていた。
車を出さなければならない。
今日もHくんはこない。昨日も休んでいる。
作業所にくればがんばって仕事をする人なつこいやつなのだが、
何かあるとすぐへこむ性格で、作業所をよく休む。

この歳になって私の人生観を複雑にさせた可愛いやつらを乗せ、
私は送迎車のエンジンをかける。
歩行者に気をつけながら、ゆっくり車を左折させた。
コメント
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