眼を凝らせば、 地味な色がふらりと揺れる。 絶対安静、 ぐるぐる巻き。
蓑虫 いとあはれなり。 鬼の生みたりければ 親に似てこれも恐しき心あらむとて、 親のあやしき衣ひき着せて (枕草子)
蓑虫。 ちちろ虫。 秋の季語
鬼は蓑笠を着ていると伝わり 「鬼の子」 「鬼の捨子」とも。
呑気に過ごすと思ったが、 親鬼の粗末な着物をきせられて、 雌は一生この中で暮らす。 ほんとに気の毒。 この中で蛹になり、 羽化できるのは雄だけ。
「そのうち 秋風が吹くときになったら迎えに来ます。 待っていなさい」 と、 どこかへ逃げていったのも知らずに、 季節になれば 「父よ 父よ」 とはかなげに鳴く。
蓑虫のあたゝまりゐる夕日かな 石鼎
蓑虫の父よと鳴きて母もなし 虚子
実際は 鳴かない。 ああ 蓑虫じゃなくて良かった。
散歩中に、偶然見つけました。ゆっくり眼を凝らせばまだあるのかも知れません。boa!さんはお忙しいので。
花衣や竹蓑など、いぜんは沢山見られました。財布やバッグに、丈夫ですね。豊かなコメントありがとうございます。
”みのむしの音を聞きにこよ草の庵” が庵開きのお祝いに送られた芭蕉の句と聞きました。
蓑虫は「「ちちよ、ちちよ」と泣くものと思っていましたが・・・・
蓑虫庵の庭に「古池や蛙とびこむ水の音」の句碑を見たことぐらいしか覚えていない遠い思い出です。
最近は蓑虫の少しユーモラスな、枯れ葉衣を綴りあわせた姿を見かけることが少なくなりましたね。以前は桜や梅には沢山下がっていて、蓑虫の衣で財布ができそうなほどでしたが。