「Hi! ホクセン・リバーズ・ブロンコ・ダンです。緑の風が
心地よぉく鼻をくすぐります・・・」
ブロンコ・ダン=我が家では、ラグビーと呼んでいる。トイ・マンチェスター・テリア、うちにきて十七年になる。とても賢い。人だと思いこんでるラグビーと、限りなく犬に近づいた私達のおかしな暮らしだ。
噂をすると「ぼくの話しね?」と目が言っている。また、かぞくの応援に出かけたはずのグランドで、不惑のオジサマ方と全速力でかけまわり、毎週ゲームを愉しんだ。走るすがたは、まるでサラブレッドのよう。大好きだよ。
すらっとした長い足、人のまつ毛くらいの毛は、黒いビロードのようにかがやく。だいぶ耳や目が悪くなったが、声の大きな、威厳あるガードマンぶりだ。歯は全部そろっている。
ほかの兄弟達は元気だろうか?
彼はシャンプーのあと生乾きで大騒ぎする。いつもの儀式だ。
家中走り回りソファーの上でゴロン! 背中をこすりつけたり、手脚をぐっと伸ばし水泳のように掻いては拭ってしまう。
この生まじめ君に、居間は乗っ取られてしまった。
ちかごろ家族の靴下がないと眠れない。油断するといつの間にかくわえてる。
その自慢げなことといったら…
ひとの視線を意識したような首筋に「どう?この早わざ」って書いてあるような… 追いかけないと不満げで、取り返そうにも威嚇され(あらら、昼間の人格はどこよ)絶対に返さない。
人はあきれながらこの芝居に、毎夜つきあっている。
ラグビーと暮らし、うれしく思うのは、家族の動物にたいする見方が変わり、思いやりもふかく、心にゆとりも生まれたこと。親犬と一か月でわかれ、教わらないのに犬としての暮らしが、厳然とあることにも感動した。
以前見つけたエリック・サティの「犬のためのしまりのない前奏曲」 「犬のためのぶよぶよした本当の前奏曲」。可笑しいね、
でも、ちょっと聞いてみたい。
ラグビーのおかげで笑いが絶えない。心から感謝しておりますよ。
ちょっとお疲れ 今日のうしろ姿