ドアの向こう

日々のメモ書き 

詩的風景

2008-06-29 | アートな時間

   
 木をみると… 多様なみどりを考える。 トーンの違う緑、 種類毎に変わる樹形、 色彩、勢いなど。  必ず浮かぶのがコローの絵だった。  
  
  梢のそよぎ、 葉のむこうに透ける雲、 奔放な枝にも法則、 その先の、かたちや色の変化。 陽にかがやく一枚一枚。 大まかなフォルム。 幹のリズム。 空や雲の質感。 淡く古めいている、 静かなコローの作品が浮かんだ。

  圧倒する自然をまえに、 野外スケッチはいつも萎縮して、 捉えきれないできた。 今、 コローがそっと教える。 緊張を崩す線や 枝のリズムを変えること。 遠景こそ大事。  黒の使いかた。 

  静かでていねいに描かれた絵は詩的。 小品にみる広やかなせかい。 道や川が 幹が くねりながら奥へ高みへといざなう、 木の間の桃源。 

  コロー 光と追憶の変奏曲  国立西洋美術館  (詳細)

  ヴィル=ダヴレーのカバスュ邸  ボーヴェ近くのヴォワザンリュー付近の村の入り口 

モルトフォンテーヌの想い出 青い服の婦人 エデ     

  筆致をなぞり、 描くように観る。 暗部のさまざまな色。 あたたかな黒味、 ピーチブラック?  (画像にカーソルをのせると作品名が出ます

 1章 初期の作品とイタリア
 2章 フランス各地の田園風景とアトリエでの制作(ヴィル=ダヴレーのカバスュ邸) (ボーヴェ近くのヴォワザンリュー付近の村の入り口)
 3章 フレーミングと空間、パノラマ風景と遠近法的風景  
 4章 樹木のカーテン、舞台の幕 (傾いだ木)
 5章 ミューズとニンフたち、そして音楽 (エデ、 青い服の婦人)(マンドリンを手に夢想する女)  
 6章 「想い出(スヴニール)と変奏」    思い出を大作に 煙るような風景。
 クリシェ・ヴェール   コローのガラス版画 10点。 線描画を観るよう。  


  コローから影響を受けた画家たちに、 ところどころで出会うのも新鮮。
  セザンヌ、モネ、シスレー、モンドリアン、ピサロ、ルノワール、 ゴーガン、アンドレ・ロート、アンドレ・ドラン、ブラック、ピカソ、マティス。 

         真珠の女 
  
  「真珠の女」  拡大画像  
    真珠… 木の葉の髪飾り(ベール?)が、 額に落とした影を見誤ったもの という。

  
 

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雨ごもり

2008-06-26 | こころ模様
こんにち葉

  梅雨寒の一日が暮れようとしています。  このところ冷たい飲みものに惹かれていましたが、 今日は温かいお茶を頂きました。

 やさしさと、 香りにつつまれてホッと。  
 

  友はこれをみつけて 閃いたのですって。 
 蛙の 雨ごもりのたのしみに…  
  お送りくださいまして ありがとうございました。 

  

  パッケージも、 かわいくて ほのぼのしてきます。 この辺りでは 蝸牛や蛙が見られなくて、  歌声も聴かないし…。  アライグマが現れて。 どうしたんでしょうね。 
 ヤマモモの切手もうれしかった。  ありがとう!             

   かたつぶり角ふりわけよ須磨明石       芭蕉
   やさしさは殻透くばかり蝸牛           誓子

 

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アロエ属

2008-06-23 | 自然や花など

  間違えていました。  お許しください。

  下の花は、 サボテンではなく、  アロエ属の綾錦 (Aloe aristata) と判明しました。 花サボテンの北極星さんのおかげです。 ありがとうございました。 

  同じ多肉植物のアロエとサボテン。 アロエと言えば肉厚のキダチアロエしか知らなかったので、 驚きました。

  綾錦は観賞用のアロエらしく。 斑入りと思えたのは夥しい数の、 白い棘のせいです。 とくに雨上がりなどは何とも幻想的で、 寂びたオレンジいろの花とともに惹かれます。 

Aloe 綾錦  

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青時雨

2008-06-23 | 自然や花など

かがよふ雫
 降りみ降らずみの 空模様
   雨のことばを 古語から拾った。 雨の表現も 味がある。 想像するのも 愉しいことだ。


 軒の糸水  聴きながし 
 降り暮らす  七変化  

 
 すべてのものに  しめじめと
  天水 (アマツミズ・テンスイ) 
    体内にも 浸みてくる

   
   小雨サアメ 小糠雨
            雨霧 … 

   
   突然の 鉄砲雨 
     大きな雨粒・・・

                       -☆-

        青時雨くもり鏡を拭いてをり        秀則  

   (くもり鏡だけでなく  曇り空も 清めていると思えた) 
                    
  雨上がり…  かがよふ雫に見とれ、 消えんとする珠、 みどりの滴り。
  木々に降る雨は、 しばらく溜まっている。  その下を通りかかると、 ばさっと落ちて。 青時雨に思わず頚をすくめている、 こころをかし。  

  思えば…     雨が好き、  こんなに書いた。   
 雨のつく字     青梅雨     虎が雨!     雨の音!   
 雨のいろ!     雨のたのしみ!!     雨の匂い

            束の間の  雨宿りを。    お急ぎでなければ… 

 

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どどめいろ

2008-06-21 | 自然や花など

  ショッピングセンターのベンチは、 桑の実を撒いたように汚れていた。  見上げれば、 熟して丸い実が成っている。 緑に映える赤い実だ。 
   「何ですか…」  通行人も寄ってくる。  いっしょに眺め、 胸を張り 
  「ああ…  ヤマモモです」  
   
  近くの公園にもあって、 10年くらい前に解ったのだから、 偉そうなことは言えないけれど、 案外知らない人が多い。 落ちてくるのは どどめ色。  故郷で、 熟した桑の実を 「どどめ」 と言った。 暗い紫色だ。

  くもり日の水浴は、 唇が 「どどめいろ」になって、 祖母が慌てて捕まえに来たっけ。 女の子はみんなスカートの裾をつまんで、 袋のようにして、 桑の実をあつめた。 新調のワンピースを、 どどめいろに染めて大騒ぎして。  

  どどめ…   なんと懐かしい。  

   ヤマモモ

              楊梅 ヤマモモ

       

            山桃の日蔭と知らで通りけり      普羅

 
      大きな木かげ   紅い雨・・・  道路も屋根も どどめいろ。

   伊邪那岐命イザナギノミコトが桃子三箇を取りて(古事記)…   黄泉醜女ヨモツシコメを退散させたとある。 桃は、 中国では邪気を祓い不老長寿を与えるとされる。       

   この小さな実が 礫になったとは

  

 

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悲劇と狂言

2008-06-18 | こころ模様

  誘われて国立能楽堂へ。 
  実験演劇プロジェクトによる「ハムレット」。 異色の舞台は シェイクスピア悲劇と狂言とオペラの競演。 アイルランドの民族打楽器バイロンが盛り上げる。 (舞台写真参照)

  ハムレット 善竹忠亮 (大蔵流狂言師)
  オフィーリア 土田聡子(二期会オペラ歌手・ソプラノ)
  ガートルード  善竹忠重
  クローディアス 善竹富太郎
  ポローニアス  善竹十郎
  レアティーズ 善竹大二郎
   旅芸人1・2・3   (ローマKyogen一座)  英・米・伊 出身。
  翻案・演出  関根 勝

  第1場~第14場   感想は…   まだ まとまりません。

能楽堂中庭の杉苔も美しい

  展示室では 「『源氏物語』と能」。
   『源氏物語』を題材にした能の世界をさまざまな資料をとおして紹介。 

  源氏物語が、 様々なかたちで愛されてきたことがわかる。 ( 自分宛のメモ)

 ・源氏物語絵巻二卷 (各帖より色紙、団扇、八角、雪輪型で仕切り、 源氏意匠を貼り混ぜてある)

  能による源氏物語  ・葵上(六条御息所の霊) ・野宮(六条御息所の霊) ・半蔀(夕顔の女) ・夕顔(夕顔の上) ・浮舟(シテ 浮舟)  ・須磨源氏(光源氏の霊) ・玉葛(玉葛の内侍) ・住吉詣(シテ 明石の上、ツレ 光源氏) ・源氏供養(紫式部の霊) 順不同

 ・源氏物語月次詞一巻
 ・掛袱紗 (紅葉賀の刺繍) ・黒地秋草蒔絵十種香箱及び源氏香図
    経典に ありがたい香 best10として
  栴檀、沈水香ジンスイコウ、蘇合香ソゴウコウ、薫陸香クンロッコウ、鬱金香、白膠香ビャッキョウコウ、青木香ショウモッコウ、零陵香レイリョウコウ、甘松香カンショウコウ、鶏舌香ケイゼッコウ など 
  ・絵本常磐草(享保16年刊) etc.

 

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2008-06-17 | こころ模様

  真ひるの庭をのぞいていたら  蝶がせっせと蜜を吸っている。 
  母が訪ねてくれたような 気になった。
    その写真を3枚繋いで栞を作った。  きょうの日記に挟んでおく。      

               -☆-

  お世話になった方が旅立った。 こちらに移り住んでから、 70年のお付きあいになる。 うちの両親と、 あちらのご夫妻と、 いまごろ昔話をしてるのだろう。

 

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黒部の思い出

2008-06-17 | 道すがら

    立山トンネル トロリーバス

    黒部湖から

 

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雨間の白

2008-06-13 | 自然や花など

     

   薔薇展で撮した 「アイスバーク」  別名  シュネービッチェン  白雪姫。

    シャーベットの色
  

 

 

   雨にさわり、雨を感じる―― そう、大いなる自然の世界とからだで繋がるその感覚こそ、 生きている実感であり、 生きる支えとなるものだ。    星野道夫

  白くけむるこまやかな雨、  静かな音が聴こえる。  


 

 

  「泰山木の木の下で」 を観た。

 演劇に夢中だった二〇代。 どんな木か、
 花も知らず… 
 
  たくましく生きていた主人公の姿だけを覚えている。 あらすじは勿論、 完成された舞台の、あらゆる表現に感動した。
 
 演じる人、 照明、 音響、 裏方・・・ 

  
  大きな厚ぼったい葉に、 梅雨晴れが映える。  駐車場をみおろす大木。

 

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骨董品

2008-06-09 | こころ模様

  4日、 骨董市を覗く。  さいたま新都心スーパーアリーナに 200店も出ていた。 欲しいものもなく、ぶらぶら歩き。 見ているだけで幸せだ。
 「こういったの家にも、あったのよ」 と懐かしんだ。

  骨董アンティークフェアー。 家具や調度。 古民具、 飾りもの、アクセサリ、人形、 琺瑯  世界中のありとあらゆるものが並んでいた。 レトロでモダンなアートの世界だ。 用途を変えて、 インテリアにでも何でもお好きなように。

    象牙細工      

 看板、のれん、刀剣類、 壺。 椅子。 着物。 古裂。 ブリキの物。 がらくた。硝子器 古美術 絵画 時計etc. 使い古されて、 何ともいい味が出ている。 今にして思えば 蔵書票(エクスリブリス)らしきものも。

   百人一首のお皿のまえ、 のこり5枚だけであった。 一辺が10㎝くらい。左から

  中納言家持 鵲の わたせる橋に  おく霜の  白きを見れば  夜ぞふけにける   (3500)

  在原業平  ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは   (1800)

  俊恵法師  夜もすがら 物思ふころは  明けやらで  閨ネヤのひまさへ つれなかりけり (1200)

  藤原実方朝臣 かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを 
    
(縁が欠けて1200)

  猿丸大夫  奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき  (3500)

    100枚揃っていたのでしょうね。

  奥の 古伊万里 5p 35000    黄瀬戸小皿 1枚 1200  (単位:円)

   

  さいたま新都心駅

  うちに帰れば、大皿や、琺瑯が剥げて地が出ている容器(同じようなのが売っていた) 着物も筥迫も待っているのだった。 
  片づかない、片付けられない症候群です。

  

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ほっとする

2008-06-07 | 自然や花など

              

         あっ rugbyクン!   こんな所にいたの…
                                  別所沼弁財天 
 

  
 
  畑の角に 千茅(チガヤ)だろうか  ふわっと銀色の穂。 やさしい風がなでていく
  あなたのために 手を休めないで摘んできたツバナよ  これを食べて もう少し太ってね… 
     これは この花なの?

 
 我が君に 戯奴ワケは恋ふらし 賜りたる 茅花ツバナを食ハめど いや痩せに痩す   大伴家持

   太りそうもない ほっとする花ですね。

 

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謎のギララア

2008-06-07 | こころ模様

  本棚に、 古い雑誌が並んでたな。 字が読めるようになって ギララア ギララア…  
  ギララアって なあに、   いつも いつも不思議の種。 
    ギララア  ギララア  遊んでいても ギララアが やってきた。
 
  これこそが、 短歌雑誌 「アララギ」 でした。 理解したのは高校に入ってから。 
    「誌上のユートピア」 の帰りに、 セピア色の冊子に載っている短歌と美術を思い出した。



   1942年10月号 表紙 (写真左)

  これは、マネエの描いた Henri Rochfort 氏 の肖像で、西暦 一八八一年のサロンに出品し、現在は、獨逸ハムブルクの美術館にある。
 
 この人はどういふ人であるか只今審か(ツマビラカ)にすることが出来ぬが、或は音楽家ででもあらうか。 顎鬚のところだの、眉から眼にかけ、印象派風にこまかく描いてゐて頭のはたらいたものである。
 
 このアララギの表紙に、随分肖像畫を出したが、皆それぞれの特色があつた。 併し
今月はマネエでなければ出来ない、或は印象派畫家でなければ出来ないものを示さうとおもつてこれを選んだ…(茂吉)

  創作はジャンルを超えて。 文学性を豊かにする絵画のはたらき…  生新な作品の鑑賞は、 感性を一層磨きあげたにちがいない。
 
1908年(明治41)創刊。 伊藤左千夫、島木赤彦、斎藤茂吉、土屋文明らが中心となった。  

    
     

   目次 拡大    教科書で習った人が たくさんみえる。


 

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Utopia of Images

2008-06-05 | アートな時間
 神坂雪佳    百々世草から  原画

  ◎ 京都の浅井忠神坂雪佳  
  アール・ヌーヴォーに感化され、 図案の革新を夢見た浅井。 独特の機知に富む 近代の琳派を生んだ雪佳。 出版という視点からみたとき、 ふたりはみごとな競演を奏でていた。 

   ・京都 ・木版 ・芸艸堂(ウンソウドウ) が ふたりを繋ぐ
 
 浅井 忠   「黙語図案集」 「黙語日本画集」 「木魚遺響」  神坂雪佳  「滑稽図案」 ヌー坊主式:落選、びっくり! 鼻車、 よく嗅ぎ分ける   「海路」 モダンな波紋  渦巻き   「百々世草」 (狛児) 蝸牛に見入る小犬  ほのぼの、ユーモア、のどかな絵。 「春の田圃」 「樵夫」 構図の面白さ  「蓬莱山図」 遙かな距離感。 仙境。  

 

   

                

  「とうか会」 1907年9月10日 芸艸堂  
  (画像上)第壱図:浅井 忠  (下)第弐図:神坂雪佳   図録から 

誌上のユートピア… 小さな空間に、惜しみなく注がれる創意工夫。 色彩にも心がおどった。  
    ブラボー!  
  まだまだ尽きないけれど、 これにて おしまい。 

     

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画文交歓

2008-06-04 | アートな時間

    誌上のユートピア  つづき。
  「絵画の領分 芳賀 徹」 から、 さまざまに繋がっていく。 大著を先ず読むべきだった。 前にも読んだけれど、ほとんど忘れていた。
  実際に観たばかりなので、 感動も新たに実感が湧く。 更に、 よく見えてくる。 

  「漾虚集ヨウキョシュウ」 漱石の短編集、 

  「漱石・五葉の協同工房のアール・ヌーヴォー好みを、「癖ヘキ」といってもいいほど露骨に、尖鋭に示した…  収録の七編、  … それぞれ独立の小室ギャラリへの扉と窓のよう…   ( 絵画の領分 漱石のブックデザイン)」

  これはもう 「へき」 と言われるほど凝った装丁で 値段も高かったという。 
 
  
「不折、五葉二氏の好意によって此集も幸に余の思ふ様な体裁に出来上がつたのは、余の深く得とする所である (漱石)」  と 作家も大満足!

  
 
 
  写真は 図録よりお借りしました。 藍の布表紙、タイトルは篆書で。 (右から) 倫敦塔 ・ カーライル博物館 ・ 琴のそら音 ・ 幻影の盾 ・ 一夜 ・ 薤露行カイロコウ ・ 趣味の遺伝。 
  七編それぞれに橋口五葉による扉絵と題名入りの小さな絵が入っている。 実物をもういちど見たい。 挿画 中村不折。 扉や目次の意匠にこめられた作意など、 芳賀先生のお話は尽きません。

 (漾…  水面がかすかに揺れる、ゆれ動く、漂う、浮かぶ などの意)
  写真右上の エクスリブリスは 「蔵書票」。 日本では大切な本に蔵書印を押すが、 ヨーロッパでは版画家に頼んで、自分の名前入りの紙片を作ってもらう。 これも立派な美術品です。 蔵書票の美術館を見つけました。  作品の一部がこちらで拝見できます。
  漱石の装丁  過去記事

              -☆-

  展示品、 どれもが魅了する。 一冊一冊、 小さなせかいに深淵なドラマ。 雨夜のたのしみに。 アーティストたちが ひたすら注いだ情熱を、 辿るのもおもしろい。
  「明星」1904年11月 誌面:藤島武二((装飾用)) モノクロ。  
  

   みだれ髪   巻頭の辞
 
  この書の体裁は悉(コトゴト)く 藤島武二先生の意匠になれり 表紙画みだれ髪の輪郭は 恋愛の矢のハートを射たるにて  矢の根より吹き出でたる花は 詩を意味せるなり  
                           与謝野晶子
 

 展示には無かったのですが。 
  以前に撮した写真です、カバーがかかって見にくいですね。 
   

   

   つづきは  浅井と雪佳。  例によって  画像に助けて貰います。
 

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誌上のユートピア

2008-06-01 | アートな時間

   誌上のユートピア  -近代日本の絵画と美術雑誌 1889-1915- 
                                    うらわ美術館

藤島武二・造花 外周り「ココリコ」アドルフ・コサールのデザイン  誌面そのものが美術作品  まばゆいほどの作品を観て、 納得である。
  表紙にこめる濃密な描写。 木版など。 デザインのモダンさ。  画家が精魂込めてつくる贅沢な表紙、 裏表紙、箱まで。 
 とても素晴らしいものばかり、 ため息混じりでショーケースに張り付いた。
  同時代の絵画も展示され、 誌面のグラフィック的な発想が、油彩画にもよい影響を及ぼしたことがわかる。

  細緻な挿画、 近くばかり見たあとで、ときどき大きな油彩画に戻る。 眼を休めることになった。 

 ピアズリーの「サロメ」、 ウイリアム・モリスの美しい本も。 豊かなひとときに大満足。 もう一度来よう。

  風刺雑誌「ココリコ」、 アルフォンス・ミュシャの石版など 限りなく…

               -☆-

 (パンフレットより) 19世紀末のヨーロッパでは、印刷技術のめざましい発展を背景に、『パン』や『ユーゲント』、『ヴェル・サクルム』など、誌面そのものが「美術作品」と呼ぶにふさわしい美術雑誌が次々と刊行されました。日本でもこのような動きに刺激され、また連動するように、20世紀にかけて多くの美術雑誌が生まれています。

 明治浪漫主義の文学と美術を代表する 明星
 創作版画運動の端緒を切り開いた 方寸ホウスン
 抽象的な表現の追及がみられる 月映ツクハエ  
 
白馬会創立10周年記念の機関誌 光風 
   
 文藝界 ホトトギス など展示

  美術雑誌は美術と文学の交流の場としてまた自由な実験の場として大きく花開き、新たな表現の獲得にも繋がった。

  青木繁、 藤島武二、 恩地孝四郎ら すぐれた芸術家たちは、 印刷芸術の華やかな誌面と交感しながら、どのように「ユートピア(理想郷)」を求め、実現していったか。 

  「方寸」第3巻第2号表紙 (芝居の馬)石版、「平旦」第2号表紙(やなぎのかげ)、絵はがきなど。 彼の 平福百穂 で喜ぶ。

  
   
    チラシ拡大

  絵画にくらべ小さな口絵、 狭い誌面に注がれた情熱と労力は大きなキャンバスに劣らない。 それ以上なのだ。 細やかな神経による手仕事。 
  それは 子供服の縫製にかける手間に似て。  成人用とおなじ工程、 小さいだけで、 労力はさほど変わらない。 小さいから軽い、楽だとはならない。

  京都の浅井忠神坂雪佳  西欧で学んだデッサンを基に図案の革新を夢見た浅井。 独特の機知に富む冴えた近代の琳派を生んだ雪佳、 出版にスポットをあててみると、ふたりはみごとな競演を奏でた。 

 小出楢重から原田良吉宛  絵はがき。  アート・ディレクターとしての北原白秋。
 夏目漱石 橋口五葉 中村不折装幀 もある。 

  展覧が いかに すばらしかったか。 内容豊かであったか、 引用するのみ。

     3回に分けて   まとまらないメモです。

 

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