木をみると… 多様なみどりを考える。 トーンの違う緑、 種類毎に変わる樹形、 色彩、勢いなど。 必ず浮かぶのがコローの絵だった。
梢のそよぎ、 葉のむこうに透ける雲、 奔放な枝にも法則、 その先の、かたちや色の変化。 陽にかがやく一枚一枚。 大まかなフォルム。 幹のリズム。 空や雲の質感。 淡く古めいている、 静かなコローの作品が浮かんだ。
圧倒する自然をまえに、 野外スケッチはいつも萎縮して、 捉えきれないできた。 今、 コローがそっと教える。 緊張を崩す線や 枝のリズムを変えること。 遠景こそ大事。 黒の使いかた。
静かでていねいに描かれた絵は詩的。 小品にみる広やかなせかい。 道や川が 幹が くねりながら奥へ高みへといざなう、 木の間の桃源。
コロー 光と追憶の変奏曲 国立西洋美術館 (詳細)
筆致をなぞり、 描くように観る。 暗部のさまざまな色。 あたたかな黒味、 ピーチブラック? (画像にカーソルをのせると作品名が出ます
1章 初期の作品とイタリア
2章 フランス各地の田園風景とアトリエでの制作(ヴィル=ダヴレーのカバスュ邸) (ボーヴェ近くのヴォワザンリュー付近の村の入り口)
3章 フレーミングと空間、パノラマ風景と遠近法的風景
4章 樹木のカーテン、舞台の幕 (傾いだ木)
5章 ミューズとニンフたち、そして音楽 (エデ、 青い服の婦人)(マンドリンを手に夢想する女)
6章 「想い出(スヴニール)と変奏」 思い出を大作に 煙るような風景。
クリシェ・ヴェール コローのガラス版画 10点。 線描画を観るよう。
コローから影響を受けた画家たちに、 ところどころで出会うのも新鮮。
セザンヌ、モネ、シスレー、モンドリアン、ピサロ、ルノワール、 ゴーガン、アンドレ・ロート、アンドレ・ドラン、ブラック、ピカソ、マティス。
「真珠の女」 拡大画像
真珠… 木の葉の髪飾り(ベール?)が、 額に落とした影を見誤ったもの という。