別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

秋深し

2009-11-29 | こころ模様

     東京国立博物館庭園   


         彼一語我一語秋深みかも     虚子  
          

         くらがりへ人の消えゆく冬隣    源義

         冬近し時雨の雲もこゝよりぞ    蕪村


      ゆく秋を惜しみ ひとは無口になる

        落ち葉をふむ音だけが こころに寄り添った

          遙かな むかしの音する庭園で

 
      
    
 

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菊戴

2009-11-26 | 自然や花など

           

            山梔子の実の色にある日の詰り    龍男

 暦が駆け足になった。 
 午後から瞬く間に夕方となり、 追いかけられて一日はなんと早い。 
 今年、クチナシに実がたくさんついた。 野鳥はあまり好まないらしく今のところ無傷だ。 鳥といえば…  短編のなかで菊戴が気になった。 花の冠も。  

  キクイタダキは野鳥の中でも 最も小柄な鳥。 主人公はこの野鳥を小鳥屋から求め飼育している。 上部はオリーブ色、下部は淡黄灰色、首も灰色がかって、翼に二条の白帯、風切の縁が黄色、頭の頂きに黒で囲った黄色…  黄菊の花弁をいただくよう… 丸い目がおどけて 動作も溌剌… 可憐ながら高雅な気品… 
  細やかな描写がつづく。  この鳥を知らない。
  

       ワシは偽物じゃ  

   きのうも シジュウカラやメジロでにぎわった。 動作も溌剌…
    ヒヨドリの囀りに 急かされている。 
   餌台にまだ見ぬ野鳥 キクイタダキが現れるのはいつのことだろう。 
     写真は シジュウカラの常連さん 

    さらに調べると 「松毟鳥マツムシリ」 とか 「松くぐり」ともいう、冬の季語。 松がないこの庭にいくら待っても来るわけがない、 全くマツドリなのだった。

 小鳥はまことに美しい寝方をしていた。 二羽の鳥は寄り添つて、それぞれの首を相手の體の羽毛のなかに突つこみ合ひ、ちやうど一つの毛絲の鞠のやうに圓くなつてゐた。   一羽づつを見分けることは出来なかつた …人間でも  こんなきれいな感じに眠つてゐるのが、 どこかの國に一組くらゐはゐてくれるだろうか… 
                              
川端康成 「禽獣」

  読んでいて 胸のなかがほんわりしてくる。 

                                    


     画像は フィールドガイド 日本の野鳥 高野伸二著 からいただき ました 


 

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別のところ

2009-11-22 | 別所沼だより

 降りみ降らずみの空模様 話し声もまばらな公園。 午後2時ころまでどなたも見えなかった。 ハウスは独りじめ。 しじまを秒針が脈打っている、 ヒーターの風は冷たい空気を顫わすだけ、 室温6℃外気とさほど変わりない。 
 しぐれが時折たずねては 木々をあざやかにしていった。

 写真は 別の所? そう言っていぶかる友へ… 
  きょうの別所・ 沼と詩人の家・ ヒアシンスハウスです  どうぞ ご覧ください。

淋しさの冬のともしび灯すらん 素十  

  まっすぐな色鉛筆

 しぐれが沼を鎮める

 ふたつあった噴水が今はひとつ 

  晴れると こんな具合です。  来訪者3名 
 千葉県から 建物が好きな男性。  散歩中の親子連れ。
 ガイドの日、 ソネット以上に詩的な彼のてがみを読んだ。 

 

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冬紅葉

2009-11-17 | こころ模様

  
        日おもてにあればはなやか冬紅葉  草城

    逆光をうける紅葉に いつもハッとする
    明度をあげて 透けるようでほんとうに美しい
         
             -☆-
  
    今日のユリノキも だいすき  
    冷たい雨がそぼ降るなかで 落ちつきはらった絢爛さ

     冬めいた風に 木の葉がクルクル舞い降りた
 
       

 

 

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エリカ

2009-11-14 | 自然や花など

     小さな花    蛇の目エリカ


      花は 直径 5ミリくらい ~ ~ ヘビの目って  こんな? 

 

    球根の上下をまちがえたかもしれないよ…   大あわての管理人
    アネモネの若葉が出てきて ホッとする  

 

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時雨のてがみ

2009-11-14 | こころ模様
      

    生と死のはざまにただよう 「澄んだ詩句  美しく透明なソネット… 」

     詩人立原道造の 淡々しいことばがこころを捉えた  

             -☆-

     しぐれの淋しいささやきに 篭もり居をきめて
         :
         :
          :    
            
          :

     昼ころ  色のないハガキがとどく 
        
        「妻   T 子 去る四月 ・ ・ 日 永眠 」  ……   

      ……エ・イ・ミ・ン   目を  耳をうたがった

       あかるい春に  そそ吹くかぜのように いったともだち 
    
        なにも 知らなかった   
 
       ぼやけたつゆに たくさんの思い出がひかった
       
              職場でいろいろ教えてもらったこと  
        音楽や観劇… なにもかも影響を受けていましたね
        青春の2、3年 刺激しあった濃密な時間でした

        なんねんも会えなかったけれど 
        あなたは こころの手紙に生きつづけています     
       
         さようなら  ありがとうございました


       
          

       

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支那沓

2009-11-11 | こころ模様

        

          山路を歩いてゆくと
       今落ちたばかりの
       黄色い朴の葉が五六枚
       支那沓グツのやうに反りかへつて
       道に散乱してゐた
       ああこの艶アデヤカな色の目覚しさ
       まるで誰か貴い人達が
       沓をぬぎ捨てて
       素足で去つた
       夢のシインのあとのやうな静かさ

                    落葉   千家元麿

 
         -☆-

  ・今落ちたばかりの  
   貴人がぬぎ捨てた支那沓…   うまいな  
    夢のシイン  静けさは パステルで
     
       朴落葉いま銀となりうらがへる      青邨
        日を掬ひつつ朴の葉の落ち来たる    占魚

  ・九日ぶりの雨  片付けないで 読みふけった
   手紙の束 美術展のチラシなど段ボールにいっぱいだ

  ・そろそろチーズケーキ焼いて… 
    落ち葉のころになると かならずリクエストだね
       リッチなケーキと紅茶は美味しいけれど 



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小春点描

2009-11-08 | 自然や花など
玉の如き小春日和を授かりし      たかし
 あたゝかき十一月もすみにけり      草田男
 
 
 

          真昼  しずかな日向に  蜂の羽鳴りだけがきこえた

                 

       
     

                初冬の梢は ボルドーの香り  

 

     

        君には白がよく似合う    金ボタンで 勢揃い

 

                         

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月がいる

2009-11-05 | 自然や花など

     

          陽を受けて

     

          
         山茶花のこゝを書斎と定めたり     子規


         部屋の正面にあるわが家のサザンカ 
          ふと眼をあげると 真っ白な花がとびこんできた   
              
                           11月の花  山茶花が咲きはじめた
 
           灯を消せよ月見草には月のあり   林原耒井 ハヤシバラ ライセイ

      
               白いサザンカにも月が いそうだ

         

 

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ヒアシンスハウス夢まつり

2009-11-03 | 別所沼だより

  

   晴天に恵まれハウスの前は人だかりができていた。 ジャズにあわせ作品がどんどん出来あがってゆく。  表現豊かな奏者の ビートのきいた演奏に酔って、 明るくひびき合う美術家…。  大まかなデッサンはきまっているのでしょう。  観客もスイングしながら楽しんでいる。 沼風に載るリズム、 からだが自然に動いてしまう。 その過程も観賞するインスタレーション。 やがて増殖する生きもののような 芸術空間がうまれた。 タイトルは何としよう。 
    

  2時 別所沼会館へ移動する

  開会の挨拶に「魂と塊」の話があった。 ひとりひとりの思い… 魂が 集まってひとつの塊になる。 よく似たふたつの文字に鬼が住む。 詩人やハウスへの多くのつよい思いがかたまってカタチになった と。 そして夢まつり…

  以前 孤高の陶芸家について 「魂の塊」を書いたので 魂と塊はつよく響いた。 今は多くの人たちの思いが形になったのだ。 立原道造を愛するたくさんの魂が塊になって夢を繋いだ、 これから拡がってゆく。 

           -☆-

  良い映画を見ました。 以下は観賞メモです。 記憶違いはお許しください。

  ダム建設は現在も賛否両論あるなかでタイムリーな映画。 多くの示唆をくれた。 観なかった方には  先ず 予告編をご覧ください
   船、山にのぼる (風の楽団 音楽もすてき 音量調節してください) 
  
   色んな物が沈む…  風景だけじゃない  思い出も沈むのだ 

  とても重い、 住民にとって マイナスになるところを 少しでもプラスに。
  楽しい 面白いに変わっていったところ  
印象的でこころを打つ。


    

  ↑ 写真 カタログから
  村人がくらした土地に組み立てられてゆく船 長さ60m、幅12m、高さ3m

  長い建設反対の闘争期間を経て…
  「灰塚アースワークプロジェクト」  この広域の自然と文化を結びつける
  村祭り  神楽  樹齢600年のムクの木 「えみき爺さん」の移植大作戦など
 
こころに残る。  ダムの底に丸太1500本でつくる船 水没するダムと山にあがる船  モーター船に曳航されダムの中程に進む船のシーン  水位を下げると山のてっぺんに着地。
  村人の思い出の木 野の花 もう帰れない。 全てを呑み込んで静かな湖面…
映画は壮大なドラマを淡々と写していく。  熱意が心を動かした。 かかわる人たちのきもちが 徐々に近づいていく。 12年の軌跡… 
 温かいものがジンワリ届いた。 船のことも知らなかった。
   
  上映後ゲストトーク   興味ふかく楽しみだった
    本田孝義(映画監督)  池田 修(PHスタジオ代表)

 ・いくつかの疑問が 映画完成とともに解けて 見えてきた  
 ・都市とアート、 地方と現代アート、 周辺とアートの関わりなど 
 地域の見え方も変わる。 作品の反射がもたらすもの      

  最後に ヒアシンスハウスについて 
  本田監督… ハウスを外から見るとこじんまりとして品がある。建物があるだけでは意味を成さない。多くの出入りがあってハウスが活きてゆく…
   池田氏…  ハウスから おじいさんの(立原道造1914年生)知恵と力をいただいた。 (大日本)帝国時代の設計で 歴史的建造物。 BankART1929にも通じる
 
                  
-☆-

   合唱:La Mer    指揮 大竹教子  (11月21日全国大会出場予定) 
    
   五つの心象より
   原題無題 「風は かすかに」  詩 立原道造 作曲 小林秀雄

      風は かすかに 日に ひかり
     かがやきて 鐘の
     かなしい歌を まねする
     朝ぼらけ 風は 私の肩をゆく

   清々しい すてきな歌声が心に沁みた。 
  沼のほとりに佇む詩人…  かすかな風は 雑木林をぬけて

                  -☆-

  満月の夜道をいそぐ  頭のなかにくり返すメロディーは ツーンと哀しく
   ダムのこと  ハウスのこと   詩人のこと…  
    
     風はかすかに  日にひかり…  
       かがやきて 鐘の 
         かなしい歌を まねする  かなしい歌を まねする…


子どもワークショップ
線で立体! 竹とんぼ教室など賑わった        

  
さまざまな美のかたち 表現があった。 
   造形  詩  演奏  ヒアシンスハウス  映像  コーラス ・・・
  芸術の秋   盛んな一日が終わる。  

        

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草叢で

2009-11-02 | 夢見鳥

   秋の終わり  蝶がとぶ。 ツマグロヒョウモン、 黄蝶・・・など
  日向のくさむらで眼を凝らすとたくさんのシジミチョウが。
   暑いほどの陽射しをうけて飛びまわっていた。 (10月31日)
  そのほとんどが 裏はグレーに黒の斑点。 枯葉色も多いけれど、 表は鮮やか、 ブルーがかったグレーなど。 開閉のたびに瑠璃が見える、 ラピスラズリのひかりが誘う。 


  物の葉やあそぶ蜆蝶シジミはすずしくてみなあはれなり風に逸ソれゆく  白秋

 
   
 ムラサキシジミ   ベニシジミ  
   
  ↑ 愛らしい…   ツバメシジミだろうか


  こちらはツバメシジミに似てい

ても 雰囲気が違う。 前翅がとがっている  シルビアシジミ ?  きれいな蝶結び

  翅が破れて 季節がおわる

 
 11月になって 急に寒くなった   草叢で 彼らはどうしているでしょう 

 

    

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