別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

兎の目

2010-12-29 | こころ模様

 
    万両は兎の眼もち赤きかな   千代女 

  
  雪兎の目には赤い南天を、 葉は耳にして。 これは万両でもおなじだろうか。 今年、 家の千両もクチナシも実がつかなかった。  やはり剪定のしすぎ、 猛暑も災いした。 残念だった。
  
  万両のほうは陰で数本に増えていた。 千両よりは幾分渋い赤で光っている。 ようやく咲いた水仙にあわせて活けた。 
  
  去年の千両  

         -☆-

  数へ日の大安選び退院す        源  義
  数え日のひと日を雨にやすらぎぬ   てい子
  

 あと幾日と数えながら 気ぜわしい毎日です。 
 みなさま 今年もお出でいただきありがとうございました。
  おかげさまで楽しゅうございました。
 
  来る年も どうぞよろしくお願いいたします。

                         沼蛙


 

 

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サイカチの実

2010-12-26 | 自然や花など

  公園を通ると根元にりっぱな莢が落ちていた。 これがサイカチか…
  種は見あたらないが 多分そうだろうと思う 

  … 火星が出てゐる

   木枯らしが皀角子(サイカチ)の實をからから鳴らす。
   犬がさかって狂奔する。
   落葉をふんで
   薮を出れば
   崖。
          高村光太郎 火星が出てゐる より抜粋


  木枯らしが厳しい、 サイカチの実も寒さに震える。


 いつのまに黄なる火となりちりにけむ青さいかちの小さき葉のゆめ          
                     北原白秋 「桐の花」
 

     小さき葉の夢、  白秋の感傷… 
 

    また いただいた詩には


   田中冬二 「秋の夜」

  もう うすさむいし
    ・
    ・
  莢の木のあたり 女の咳がきこえる
  障子をあけてみれば
  誰のかげもなく
  ひっそりとして
  巻煙草をつつむうすいぎん紙のような
  秋の夜が ひろびろとねてゐる

  さいかちという音が詩心を起こさせるのかもしれません。
風に吹かれて莢がカチカチ擦れ合う光景もなぜか懐かしい と ルピナスさんちで京さんが。


  残りの莢は 梢でカラカラと鳴っているだろうか
   見あげてみても蛙の耳まで届かなかった。  
  

   青いサイカチ

 

 


 

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ピーヨ

2010-12-23 | 自然や花など

  先ほどより ピーヨ ピーョと騒がしいので外を見ると ちらほらロウバイが咲き出している。

  親を呼ぶのか青味のある灰色も若々しく、 幼鳥のようだった。 

 

    
   蕾があるよ~  みんなお出でよぅ… 
  鋭く叫んでみても だーれも来やしない 
    これからは ひとりで生きてゆくんだよ……
 

  

 
  ヒヨドリは 花も蕾も大好きで 手当たり次第むしり取ってしまう。

 

 

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赤と白と

2010-12-21 | 別所沼だより

   曇り日の別所に カモメが来ていた
   去年はあまり見なかったが 白の賑わいも思い出す
 

   赤い帽子の幼子が ハウスの周りでかくれんぼ
  ほほえみ浮かべて ベンチの皆さんも鴎のようですね  


     

  
 裸になった銀杏  大地を刺す針のような メタセコイア 
  かたわらのピラカンサスが こころを和ませる

  赤い実の好きなオナガやモズはいないらしい

 風に揺れる 水辺のモビール
   ひっかかった枯葉がバランスをとった
  

   釣りびとも減った
    肌さむい一日  去年の日記を読みかえす

 

 

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すき間

2010-12-20 | こころ模様

    負け惜しみかも知れないけど

   完全 完璧をあまり好まない

  少しの隙が必要だ 

   
  庭園よりも雑木林

   車のハンドルに遊びがあるように

    ほんのわずか  それている



     … 隙だらけの 蛙が

   
          -☆-       

  20日  画家  岸田劉生 忌日
        俳人  原 石鼎  忌日


    蓑虫のあたゝまりゐる夕日かな      
    夏の蝶こぼるゝ如く風の中     
    鮎の背に一抹の朱のありしごとし
    春雷やうす日来てゐる蓬原

 
  どれも石鼎の句  ゆったりとしたいい
絵がうかんでくる

            


  21日 満月  皆既月食 
  22日 冬至   
  冬至湯用に柚子をたくさんいただいて ユズ味噌もできた。 
  冬至蒟蒻に合うだろう

    残る日の柚子湯がわけばすぐ失せぬ  秋桜子

  
   
そろそろ 走らないとね…

 

 

   

 

         

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れもん

2010-12-17 | こころ模様

  大きな檸檬を貰った

  おなじみの、 紡錘形レモンの4個分くらいはありそう。 重さが550gもある。 まだ7個も成っているそうだ。 大風が吹くとクロムイエローの塊がゆさゆさ揺れる。 若木が華奢な枝で必死にこらえる姿が浮かんだ。 品種は ポンテローザ(原産 インド)らしいが どうだろう。

  クロムイエロー   レモンイエロー

  爽やかな香り 確かな重さ 光と影と レモン色がさまざまな表情を見せる
   雉の羽、 カップ、 レモン、 トルソーなどならべ油彩を描いている

  レモンイエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたような檸檬の冷たさを快く感じた
 
  
その匂いを何度も嗅いでいた私は、 丸善の棚へ黄金色に輝く爆弾をしかけて 何喰わぬ顔をして外に出る… 

            -☆-

  視ること、それはもうなにかなのだ。
  自分の魂の一部分或いは全部がそれに乗り移ることなのだ 
                    梶井基次郎 

 
  奇妙なたくらみを ひだまりで夢のように聴きながら絵筆をはこぶ。
来年もつづける、 そう 乗り移るまで… 

 

 

 

 

 

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米子の灯

2010-12-15 | こころ模様

小泉八雲旧居 

  志賀直哉 「城の崎にて」の一節を、 授業で習った高校生の頃からずっと心に仕舞っておいた。 話は怪我をした私が養生のため、ひとり但馬の城崎温泉へ出かけ蜂の死骸や傷つけられた鼠や、いもりの命を通して、生と死をみつめる。 動物たちの細やかな描写にも惹かれた。
 とくに 大山に昇った彼が眼下に
 「米子の灯も見え、遠く夜見ヶ浜の突先にある境港の灯も見えた」とあるのを、 自身の遠い体験のように記憶していた。

         -☆-

  蛙は小学2年の夏、 訳あって母の故郷へ越した。 そこで村の子に教わって残酷なことをくり返したと思う。  まずそれを地面にたたきつけ気絶したところを足の指一本だけ勢いよく裂くのだ。 逆さになったカエルは皮がずるっと一枚、 裏返すように簡単に脱げたというより、剥けた。 これでザリガニを釣るのだ。 
 最初はこわくて気味悪くて、 そのうち慣れてひとりでもやった。 城崎の私はヤモリに石をぶつけ…  さまざま葛藤する。 

        小泉八雲直筆のカエル


   幼い思い出にかさなった。 あのときの蛙さん ごめんなさい。 

           -☆-
 
 動物の背のような感じがする山だとか…  美保の関の白い灯台など、 まだ見ぬ山陰の風景をこころに思い、描いていた。 

 ようやく12日、 夜の車窓から麓の方に米子の灯が漆黒のなかチラチラとかがやくのを見たのだ。 朝になってホテルの7階から目のまえの大山も仰いだ。  

     

  ↓ 小泉八雲旧居(松江)

  

  急ぎの旅は 空路岡山へ  足立美術館 松江 出雲大社 三井野原~出雲坂根までローカル列車  帝釈峡  蒜山高原など   

 

   

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ギフト

2010-12-09 | こころ模様

   イメージは

 冬の朝、氷や雪で薄化粧した花たちが、冷たい空気のなかで花開く…… 

 とあった。  バラ、スプレーバラ、 カーネーション、 小花をつけたブルーレース、 黒い実はティナス、 霜が降ったようなダスティミラーとユーカリ、ヒムロスギのみどり、 プラチナゴールドの松かさ… クリスマスバージョンだ。 橇の音が聞こえそう。

  あずけていた我が絵も 「しばらくそちらで楽しんで」と友のやさしい気づかいで戻ってきた。 すてきな額に納まってなんだかりっぱに見える。 久々に逢う我がむすめ、 うれしいことにあちらのお宅で とても喜ばれていたらしい。  
 

     

  写真は 部屋中が映りこんで紛らわしくなった
   やはり衣裳がものをいう。 むすめもとびきり良くみえる

 

 

 

 

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落葉日

2010-12-08 | 別所沼だより

 

  雨に濡れたメタセコイアがあたためられ清々しい匂いを放った。 ヒノキチオールかしら、 針葉樹特有のさわやかな香りで森林浴。 
 
 ラクヨウビというのがあるらしい。 観測対象とする銀杏や楓の標本木のうち、 およそ80パーセントが落葉したと見えた日をいう。 風の有無は問わないとあった。 見あげながら別所の落葉日も近いだろうと思う。 

 落葉をふむと軽い音がする。 広葉のカラカラに乾いたのや小枝やドングリなどくだける音。 絨毯の上の逍遙もおもしろい。     

  それにしても 朽ち葉は面を覆いはじめている。

 

 

   水面の吹きだまりを  鴨がよけてとおった 

 

    静さに耐えずして降る落葉かな    虚子

  風に吹かれ絶え間なく降った

 

  いよいよ冬がはじまった

  木立が目立ってきた
  これから 自然のささやきに浸るのもたのしい。  

 

 

 

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花の家

2010-12-04 | 自然や花など

ウインターコスモス

  遊歩道に面する家は、 通りにもコンテナを出していて苗を育てている。 惹かれる花がたくさんあって散歩は急いでも長くなる。 今はウインターコスモスに藤袴、 ほそい花びらの淡い色のネリネなど。 シバの女王に逢ったのもこの場所。 
  センスの良い花々を眺めては、 どんな方がお住まいなのだろうと思いをめぐらせた。 
        

         

  花の宿はあちらこちらあって、 きょうはこの道、 つぎは東の方角などと楽しんで歩く。 季節ごとにオールドローズやニゲラなど品のよい彩りで、 美しくかよわげな品種ばかり植える家。 きっと風に揺れるさまを愛していて、 と 趣や価値ある選別に拍手を贈る。 
 主のしずかな気配も感じられて、それはたのしく嬉しい。

 
  

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ははそ

2010-12-02 | 自然や花など
       

   公園内、 茶室のそばの柞(ハハソ)の黄葉 
  「ははそ」とはクヌギやコナラの総称である。

 写真は クヌギの葉より丸味を帯びているので、 コナラかも知れない。 モミジや銀杏の明るさに対抗して落ちついた美しさだ。 柑子色  鬱金色 刈安色 山吹 樺色 黄土色 金茶  代赭色… など混ぜたような渋い色。 この、 こっくりした色が大好き。

 

        

  雑木林の、もっとも美しい季節が二回ある。 若緑のふきだすころの春と、橙黄色にもえる深秋だ。 そういえば、 万物すべて、生まれる時と、滅びる時に、 その美の極致を発揮するのではなかろうか。(足田輝一) 

   黄土色  刈安  代赭色       

    黄土色   刈安色   代赭色

               -☆-

 

     

  葉を落とした公園の皀莢  実があらわになった。 
  莢がふたつそろって 風にゆらゆら。
    

  公園を見晴らすモミジバフウは、威風堂々。 掌も大きい。

    をりとりてはらりとおもきすゝきかな  蛇笏

  風にもつれる細い薄の  思いがけない重さよ 
  尾花、 芒、 真赭 まそほ(マスオ)の芒。
 
 花すすき月の光にまがはまし深きまそほの色に染めずは  山家集

  真赭の芒、穂がつやつやと赤味を帯びている大きな芒。
 
 いかにせん結ぶ木の実を待たずして秋のははそに落つる山風 (海道記)

  12月にはいっても 暖かい日が続いている。
  しばらくは 薄や柞などの朝な朝なの変化を楽しもう。 

         

        遊歩道のクヌギ

 

 

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しはす

2010-12-01 | こころ模様

プリンセチア売上の一部はピンクリボン運動に寄付される

 

   12月は  赤が似合う  小さなポインセチアを買った
     濃緑の葉に金粉がすこし  
     暮らしにふさわしい希望がついている

   雪だよりが遠くにきこえる日  
     蝦蟇は 2年目の検査を受けた

              -☆-

   庭のコリウスが元気で 硝子越しの背景をよくした 
    

     

   あっという間に12月 今年は何をしたかなあ
    日記のおかげで そのとき生きていたと解る 

 

 

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