ドアの向こう

日々のメモ書き 

庭のお客

2006-06-28 | 夢見鳥

       

 赤い帽子と デザイナーの個性的 なコートで きめていた  と
 ピラカンサスの青い実が呟いた
 
 Vサインだ きっといいことあるね
 羽を広げ留まっているから 
            蛾だろうか
  調べて やっと分かったよ
  君の名は   
     ホタルガ 開張 45-60mm
  白い
サッシュも効いている

 
   蝶よ 白い本
 
    蝶よ 軽い本
 
    水平線を縫ひながら
 
      砂丘の上を舞ひのぼる
                三好達治 

 
    モンシロチョウ 
   なるほど…  本のようだし
      幸せをはこぶ手紙のようだ

 

 
  

  ゆらり ふわり 
  ジャコウアゲハでしょうか 
    ヒマラヤユキノシタの根元に
                 
休みました 
 

     もしそうなら… 
             名前のとおり 

       香気を放つはずです
 

  ホタルガには毒があるって。  ミュラー型擬態 について 
 詳しくはルピナスさんから


   

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ケアマネさん

2006-06-27 | 向き合う
 
 先月終わり、主はないが介護保険認定等結果通知書が届いた。 

 4月4日  退院。 自宅介護を始める。
 4月10日 介護認定調査  区の調査員が来ると起きあがって迎えた。ベッドから降り足の痛みを庇うように、つかまり立ちをしてみせた。
 自分で好きなものも食べられる。 認知症は全くないのだから 意識もはっきりしている。 我慢強い彼女は、いいところを見てもらうつもりらしい。 

 ときおり笑顔をみせていた… (ここを書いて鼻の奥がツーンとしてきた。 思い出し、あふれるものがとまらない。 まだ泣く涙がある… 
ほんとうに 母はもういないのだと実感する)


 様態は日に日に悪化。 ケアマネージャーの要請により、申請から1ヶ月後の5月9日再調査が行われた。 酸素吸入をし、食事も摂れなくなっている。 進行は意外にはやく、遅れがちな認定では追いつかないのだ。ケアマネさんの選択は正解、ありがたいと思った。 

 当初、市が指定する居宅介護支援事業所をえらぶ段階で 「ケアマネージャーはお決まりですか?」 と必ず聞かれた。
 「いえ、まだ…」 何度かそう答えた。
 直面するまで、市報や介護保険のパンフレットをきちんと読まないツケがきた。 いざというとき役立たない。 存在は知っていても具体的に 有能なケアマネさんをわかるはずがない。 どうやって知ればいいのか! 

 リストの片っ端から電話して、たまたま見つけたクリニック。 偶然の出会いとしか言いようがない。 担当になったケアマネさんはほれぼれするような仕事ぶりであった。 息子くらいの若さでお子さんが3人もいる。
 医療はもちろん、指導力にも優れ、いろいろ教えてもらった。 納得するまではっきり答えてくれる。

 弟が来るとさらに疑問をぶつける。 科学的根拠を知りたがる、論理的な説明を求める。 申し訳なく思うくらいしつこい。
 すべては母のためだった。
 それでも 「こちらも勉強になります。 調べてみます」 などと、いつも冷静でにこやかだ。 仕事にすこぶる強いが、色白で兎のように愛くるしいひとである。

          -☆-

 訪問看護師は、在宅療養ノートに所見や種々のデータを記録していく。
 おかげで往診の医師や看護師・入浴サービスのスタッフなど、顔ぶれが変わっても患者の情報を共有しケアに活かせるのだ。
 自宅にあっても何ら遜色がないと納得する。  

 日替わりで7,8人の看護師を知ったが、当然ながら皆さんスペシャリスト。 クリニックと看護ステーションのみごとな連携。 徹底した教育がなされているのを感じた。 そのことは家族にとっても心強く、安心に繋がっていった。

 自宅介護、いまやビジネスとしても注目される分野だ。 しかし、そのほとんどが認知症の患者に対応し、ガンなどの深刻な病状に対処できるものではない。 調べるうちによくわかってきた。
 訪問看護を謳っていても、提携した開業医の指示でなされるに過ぎない。その医師も、癌の専門知識を持たないということもある。 医療と看護、必ずしも一体ではないのだ。

 このクリニックに突き当たるのは、宝くじは大げさだが、それほど幸運なことだったとおもえる。 なにより患者への尊敬の眼ざしがある、きちんとした応対に好感をもった。

 ひとから聞かれたら、迷わず彼女を推すつもりでいる。すばらしいケアマネさんに出会ったことを喜んだ。
    
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ろばの耳

2006-06-22 | イーゼルのうた

 
 ルピナスさんからいただいた詩    

        びわは
        やさしい きのみだから
        だっこ しあって うれている
        うすい 虹ある
        ろばさんの
        おみみみたいな 葉のかげに

        びわは
        しずかな きのみだから
        お日に ぬるんで うれている
        ママと いただく
        やぎさんの
        おちちよりかも まだ あまく  
                 まどみちお「せんねん まんねん」より
 

 濃いみどり。 大きく厚みもあり 毛に覆われて まるでロバの耳です。 詩人の比喩が心にのこりました。 歌いながら描きました。
 つよく押すとつぶれそうな独特の茎も 葉が落ちた節々も とてもおもしろい。葉の数が多すぎるので整理した。

 触れればポロポロころがる程に 熟したびわの実。 7月までもたないと、一気に終える。しかたなし… 来年もまた  10F 3時間 
  枇杷の花 と  ビワの葉 
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さてしもあるべきならねば

2006-06-20 | こころ模様

          紫蘇ジュースをつくりながらおもう 
           あのこのゆめは 小説家か 絵かきさん  

             もうひとり

          お医者さんになって おばあちゃんを助けてあげる 
              制服がよく似合う少女だ
 
            小さな友が やってくる夏  
              人生は ベストチョイスでいこう
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雨のたのしみ

2006-06-18 | 自然や花など
 
          雨はふるふる 城ヶ島の磯に
            利休鼠の 雨がふる

           雨は真珠か 夜明けの霧か
            それともわたしの 忍び泣き

           舟はゆくゆく 通り矢のはなを
            濡れて帆上げた ぬしの舟
           ええ 舟は櫓でやる 櫓は唄でやる
            唄は船頭さんの 心意気

           雨はふるふる 日はうす曇る
            舟はゆくゆく 帆がかすむ  
                     北原白秋 城ヶ島の雨

                -☆-

 利休ねずみのあめがふる 
   消えない線香花火  サボテンの花
    
        ありとあるものの梅雨降る雨の中      素逝
        梅雨続く鈍き痛みの続くごと        瓜人

 「あたらさん」 暮らしの手帖別冊 vol.3 を読んだ 
   古典にみるあたらさん 第二回・平家物語より 
    魂の恋、千手センジュ   清川 妙   
 しみじみと心にしみた。 
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こころ踊る

2006-06-15 | イーゼルのうた
 
    仲間と4ヶ月ぶりで絵を描いた 

          水彩にした 

       お喋りばかりで 完成しない 

           それでも やはり楽しい  

                            来週は油彩で
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ふらここ

2006-06-14 | こころ模様

           わが庭の松のしづ枝に
           むなしただふらここ二つ
           
           うちかけてしばしあそびし
           あまの子のすがたは見えず 

           たれびとの窓とや見まし
           そよ風のふきかよふのみ

           さるすべり花ちるところ
           ふらここの二つかかれり   三好達治 


 漢字検定のなかに鞦韆があった。 しゅうせん、ぶらんこ ぶらここ、ふらここ。擬態語 ぶらり、ぶらん、などからできた語か とあった。 
鞦シュウ(訓読み しりがい・しりがき 牛馬の尻につけて、車の轅(ながえ)を固定させる紐)

 ふらここ、なんとなくなつかしく やわらかな響きである 
 母の押すふらここが いつまでも揺れている とおい記憶を呼びさます

 ふらここ 春の季語とは知らなかった。 古来シナでは 春の戯れとした。 ふらここ、ふらんど、ゆさはり 半仙戯ハンセンギ

    鞦韆に抱き乗せて沓に接吻す    虚子
    鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし    鷹女
    鞦韆やひとときレモンいろの空   小坡

 親戚がきて さっそく頭の体操になった。 読めない字が少なくて さすがの読書家でした。
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阿弥陀堂だより

2006-06-10 | こころ模様

 さいたま芸術劇場で映画を見ました。 
「遠くを見ることなんか忘れていました」 ヒロインのせりふです。目先ばかり気にしているところへ、「心を開いて!」 と言われた気がしました。

ものがたりは   以下パンフレットより抜粋
 売れない作家・孝夫と、妻で有能な医者・美智子は、東京を離れて孝夫の故郷、信州に移り住む。それは、美智子が原因不明のパニック障害になり、都会での生活に耐えられなくなったためだ。
 ふたりは死者が祭られた阿弥陀堂に住む96歳の老婆・おうめを訪ねる。そこで喋ることが出来ない難病とたたかう少女・小百合と出会う。少女はおうめ婆さんから聞いた話をもとにコラムを書いていた。それは村の広報誌に「阿弥陀堂だより」として連載されている。

「雪が降ると山と里の境がなくなり、どこも白一色になります。山の奥にあるご先祖様たちの住むあの世と、里のこの世の境がなくなって、どちらがどちらだかわからなくなるのが冬です」

 やがて美智子は無医村だった村で診療所を開き、医者としての自信と責任をすこしずつ取り戻していく…。
 心を病んだ妻の回復を静かに見守る夫の姿を通して、現代人が忘れかけた日本の原風景、信州の大自然と、そこに暮らす人々とのふれあいを描いている。

 気になるセリフが随所にあった  「姿は(その人の)心を映すのです」

 奥信濃の懐かしくもうつくしい四季の変化は 「春、夏、秋、冬、人の一生に似ている」 「今をよく生きることが よく死ぬこと」と教わります。

 「天上大風」 良寛

ロシアの詩人 プーシキンの一節も こころに響きます
 「日々の命の営みが、時にあなたを欺いたとて、悲しみを、また、憤りを抱いてはいけない。
 悲しい日には心を穏やかに保ちなさい。きっと再び喜びの日が訪れるから。
 心はいつも行く末の中に生きる。今あるものは、すずろに寂しい思いを呼ぶ。
 人の世のなべてのものは束の間に流れ去る。流れ去るものは、やがて懐かしいものとなる」

 とにかく自然の美しさを堪能し 人の一生と、やがて命を終えること。しみじみと母を思い、重ねました。 そして 主人公といっしょに生きる喜びを感じることができました。
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まばたき

2006-06-10 | こころ模様
 
 さらにノートには、気に入りの一首をメモしていた。

 その女瞬(マバタキ)の数いと多く秋の灯火(トモシビ)見るここちすれ
  吉井勇
 
女性の瞬きを、秋の遠く瞬く、漁り火か人家の明かりに重ねてみる。こまやかな動作をとらえた吉井の眼、すてき! 彼女の横顔も見える。 

まばたき(まぶたを閉じたり開いたりすること「目(マ)叩(ハタ)き」の意)
またたく(遠くの光が強まったり弱まったりする「目(マ)叩(タタ)き」の意)
 ハタくとまばたき タタけばまたたく おもしろいね。

かの吉井勇歌集では

その女まばたきの数いと多く秋の灯を見るここちこそすれ  
  昨日まで(紅灯行より)

言うまでもなく前出のうたが好き。なめらかだ。後者は「秋の灯を」と「を」で留めて、「ここちこそ」で気持ちを強め……

あぁ、時間切れ! きょうは時の記念日。月下の門は推せず…
 今はタタかずか… つづきをよろしくお願いします。

写真:豪華なまばたき こんなにあっちゃ多すぎる、この歌にはちらほらが似合う 2003.2香港
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郷愁

2006-06-07 | こころ模様

  伯母がきました   従姉妹と いとこの子ども孫もいっしょです

 ゆるやかな話しぶり のんびりおおらか なんともなつかしいハチミツの

 匂いがしました

  いつもゆるやかでほっとします  ひさびさに故郷を感じました

            -☆-

 蝶のやうな私の郷愁!……。 蝶はいくつか籬マガキを越え、午後の街角に海を見る……。 私は壁に海を聴く……。 私は本を閉ぢる。 私は壁に凭モタれる。隣りの部屋で二時が打つ。「海、遠い海よ! と私は紙にしたためる。 ――海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がゐる。 そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある。」   
      「郷愁」  三好達治 
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