純白の花は 遠くからも目を惹く。 日比谷公園のユッカランが盛りだった。 春秋、二度咲き。 花は夜咲く と「花おりおり」。 うつむく花が鈴なりに積み重なって重そうだ。 花柱は倒れているのもあった。
乳白色の開花は、 今し方鑑賞したばかりの京焼かな、 美濃か、それとも肥前窯か。
東洋の白いやきもの --純なる世界 出光美術館
その最後にあった 「日本の白いやきもの」のうちのひとつ、 「白磁如意頭文輪花杯」 (江戸時代前期)が気に入り。 調べて解ったのが、 如意頭とは 仏具の「如意」。 頭部にみられるトランプのスペードに似ている形状がやきものの文様につかわれる如意頭文。 縁のやわらかな曲線と面はまるで花びら、 透けるようにうすい器が花を思わせた。
陶器質の白磁、磁器質の白磁 のちがい。
始めのころは 白い粘土や 白くない粘土に白土を塗って透明な釉薬をかけて作っていた。
やはり磁器質の白磁、 より白く硬質で美しい。 青白磁も知った。 白磁の透明釉は無色透明であるが、 文様の凹凸に釉薬がたまり厚くなると、青はより深く、 浅い部分では淡くなる。 ゆえに 影青(いんちん)とも。
皇帝の白磁。 青味の残らない白磁を甜白(てんはく)といい 宮廷の祭器は景徳鎮で製作されるようになった。
白磁暗花蓮唐草文僧帽形水注 中国 明「永楽年製」 銘
以前 上海博物館で同形、 無地のを見ている。 やはり明永楽の表記があった。
やがて庶民向けに 素地の表面に白土を塗ることで安価な品を大量生産される。
ひっそりとした白、 青みのある白、 混じりけのない純白、 黄みのある白、 貝殻を砕いた胡粉色… 黒や赤にもあるような、 少しずつニュアンスの違う白。 生成りの白さがすき。 それは乳白色に近い。 温もりのある白だ。
最近は 白い器をよく使う、 キャンバスに見立れば盛りつけは自在だ。