
ガイドの日。 ハウスは12℃
粉のような雨が風に吹かれるさまは、 薄絹が靡き、 はためくよう。 沼や林が、白い息に包まれていた。 いつもの景色は浄化され、 洗練された淡い雰囲気で道造さんの好みかも知れない。 ういういしい瑞々しいことばが聞こえた。
パステルは やはらかし。 うれしかり、 ほのかなる 手ざはりは。
うれしかり、 パステルの 色あひは。 立原道造
これから濡れる万物を こころに留めておきたい。
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お客様は 3名。
午前の方は 犀星と道造の、 道造と犀星の娘さんとのエピソードなど。 「わざわざ遠くからいらしたのですから、 どうぞごゆっくり」 に応え、 楽しく2時間近く滞在された。 深いお話にガイドを忘れる。
昼から2時まで誰もみえず。 本を開いたり。 写真を撮り、 パンフレットを並べ替え、 詩人のことばを探す。 洗われる緑を眺め、 独り占めの時間。 時計のチクタク大きくて。 雨の日もすてき。
大學を目指す青年。 道造の夢、 感性。 建築など。 棚の初版本に惹かれるようだ。 装幀の見事さ。 画家のデザイン。 五葉と漱石のことなど 熱く話した。
帰りがけに 絵の友だちが来て
終日、 やはらかく やさしく 哀しい ことばが降った。