ドアの向こう

日々のメモ書き 

雨間のコンサート

2009-05-31 | こころ模様

大宮フィルハーモニー管弦楽団  

 よく降った。  降ったり止んだり、 ときにはスコールのような激しさで。

 大宮フィルハーモニー管弦楽団 
       第31回 定期演奏会    指揮:瀧澤 寛
 
   
 自転車で会場まで15分。 その間、 運良く降られず。 座席をとって、ふと見あげれば外はまさに土砂降りの景。 良かった!  今は濡れずにすんだ。 たっぷり2時間、 大ホールに身もこころも沈めて、新鮮な音に酔った。

  1 歌劇 「セヴィリアの理髪師」 序曲  G.ロッシーニ 
  2 ハイドンの主題による変奏曲 作品56a  J.ブラームス
  3 交響曲第8番 ト長調 作品88  A.ドヴォルザーク

  M君もNさんも真剣な眼差しで、 ヴィオラを丁寧に弾いている。 ふだんと違う顔つきもかがやいている。 楽しみながら練習を惜しまないのだろう。
  いつも思うけれど、 演奏家は気の遠くなるような努力をかさね、 技術を磨きぬいてステージに立っている、 訓練と言いたいほどの。 成果をたっぷり頂く、 立ち会いもうれしい。 
 音楽はいい。 天上から降ってくる叙情的な雰囲気も、 繰り返されるリズムも薫りも するっとしみ込んでくるから。 絵も浮かぶし、リフレッシュできる。 
  
 会場をでると雨が止んでいる。 かなり降ったようだが、 ほんに間のよいコンサートだ。 辺りは瑞々しく、 いきいきとして、 ペダルを漕げば涼風がついてくる。
  頭で セヴィリアの序曲が鳴っている。 素晴らしい演奏だった。 
 夫婦のヴィオラもすてき。
   
     アンコール: ドヴォルザーク スラヴ舞曲 8番 10番

   昨年のようす

 

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ハウスの周り

2009-05-30 | 別所沼だより

  水分をたっぷり含んだ森はなんと清々しい冷気に充ちているのでしょう。
 雨上がりの午後、 ヒアシンスハウスのガイドは、 月刊タウン紙 「武州路」の
ヒアシンス通信を書いていらっしゃるK子さん。 蛙が写す沼の写真も、 毎月厳選十枚のうち一点がエッセイの誌面を飾るのです。 
 お役にたっているらしいので嬉しくなりました。 

  2003年より月二回のペースで別所沼を観察、 一度に50~80枚は写して、ほとんど没。 たまには佳いのがあって歓喜しながらつづきました。  

  おや…  浮島に翡翠が きょうは3羽もいますね。 親子でしょうか。 初めてです。 水面すれすれに鳴きかわしながら飛んでいきました。 被写体まで10m以上、 もっとあるかしら 
  デジカメでは無理、 いつかきっと性能のよいカメラに変えて、 そんな一瞬をとらえてみたい、夢は広がります。 

 
  

  別所沼文芸の会は、 俳句、エッセイ、詩、短歌、評論、写真と分かれていて、 平成21年1月の会員62名中、写真はたったひとり。 ライバルがいない… とても愉快になりましたが責任重大です。 志願したわけではないのに、 いつの間にかこのようになっていました。

 

   こんな浅い水たまりのムクドリの水浴   姿は見えるでしょうか。
  
    オトギリソウ科  未央柳が満開です。  種類が多くて こんがらかった

  

 

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ふと…

2009-05-29 | こころ模様

   降り暮らし思いめぐらす日  ふと口ずさむ
     薔薇をつめば…    

               陽春二三月
   
           草與水同色
               攀條摘香花
               言是歡氣息

         きさらぎ弥生の春のさかり
         草と水との色はみどり
         枝をたわめて薔薇ソウビをつめば
         うれしき人が息の香ぞする

           孟珠 「薔薇をつめば」   佐藤春夫訳
                            
         
  

野茨 民家園で 

         木の國の五月なかばは
         椎の木のくらき下かげ
         うす濁るながれのほとり
         野うばらの花のひとむれ
         人知れず白くさくなり、 
                          ……


            ふといづこよりともなく
                        君が聲す

            百合の花の匂ひのごとく
                        君が聲す    
                          
                          佐藤春夫  「ためいき」 抜粋                     
  

                                                     
               -☆-  

    まえの自転車を追い越そうとしたら
       両脇に 無邪気に揺れる POMPON 
                    
    ポンポンは うしろ姿の胸に抱かれ  
       お母さんを挟むようにひろげる足
               小さなクツシタだけがのぞいてる

               -☆-    
   
     花梨の木のしたは  甘い匂いが流れてる
     彪模様の蝶が 集会をしていた     
  
                                                                                                         
                ふと 跳ねあがるものもいる


            
  多佳子忌  晶子忌(白桜忌)             
  

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葱の花

2009-05-27 | こころ模様

虫取撫子  

  夕暮れ 

  食事の用意も一段落して 

        ホッとする時間
      
  散歩にでると  すでに 

 夏の花が咲きそろっていた

   夾竹桃 十薬 あじさい…

 柿の実は 大半を地面に転がしている
  ジューンドロップを 踏まないようによけてゆく

 太陽が低い明かりを 差し入れて

令法リョウブだって

  

仄かな 甘い色は
 名前も知らないけれど
  蓼の仲間だろうか

  ホタルブクロも
   こんなに早かったのね

        気づかなかった   
 
 せめてみれば

   小さな喜びが たくさんある

  孤独には慣れているけど 気持ちの切り替えは 超ヘタ
 人との つきあいにも 勇気がいる

 行動しなければ  こころも踊らないのだ
    展覧会も見逃してばかりいる

ホタルブクロと酔仙翁

 
清川 妙著  おてんば八十八歳 喜び上手の生きかたノート を読んだ                               

  共に「歳月の船」に乗って… 
  すてきな出会いを羨ましく思う。  

先生も 生徒も幸せだが、
六十年以上もずっと続いてるなんてすごいことだ。

 エッセイに登場する方たちから たくさん学んだ。 みんな ていねいに生きている。

 
                    

 

 

  こんな風になれたらいいな…

  少しでも近づきたい

今は キョロキョロするだけで       
   背伸びばかりしている

   まだまだ 遠い
 ちょっと あはれで 寂しい蛙                                      匂いだけは 一人前らしい                                          
  

葱の花しろき日暮れの道長き     
              
               鴻村


酔仙翁は 別名 フランネル草
葉に、 フランネルのような白い綿毛が生えている

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話し相手

2009-05-26 | 自然や花など

          

    お福わけのモミジバゼラニウム  花も葉も張りきって

      アイビーゼラニウム? も      

                       

 
蜘蛛垂れて日の出を浴びぬ胸の前     楸邨

 
    レモンの葉をよぎる太鼓

     トン トン ダ ダ ダン   波が広がる 
  
      誰もいない庭は 花と虫だけ・・・
 

   

   蜜蜂の羽音…    猫は いつでも しのび足

          

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薪能の幻影

2009-05-23 | こころ模様

  前回は室内だったので、 ことし第28回を迎える大宮薪能を楽しみにしてきた。 宵闇を待っていそいそと氷川神社へ。 快晴。 昨日のような暴風もなく… 快適。 これがのちに大変なことになる。

 氷川の杜で 木々がざわざわと鳴った。 ねぐらを目指すカラスが何羽。 日没をじっと観察、 体感した。 上演中は撮影禁止、今のうちに舞台を写す。 しめ縄をつけて大樹が傘のようにこんもり覆う。 

 主催者挨拶に続き これからはじめます… の奉行宣儀。 
 素謡 「翁」 
 腹に響くようなシテと地謡の和声。 清澄な空気があたりを払った。 

  パンフレットによれば
 「翁」は能以前のことほぎの芸能であり、能の根元でもある。 ひたすらな天下泰平の祈り。
  最初に この謡が謡われるのは、 神に祈り、神に捧げるという日本の芸能の心を、現代に証アカシする大宮薪能の姿勢である

素謡   

 鳳笙 篳篥ヒチリキ  龍笛による 雅楽演奏。 
  火入れ式
 
 斎主、松明所役… 立烏帽子に小袖、沓など 装束も決まっている。 

         火入れ式 


  金春流  能  「羽衣」
 羽衣  

かの ポール・クローデル、 「羽衣」観能の印象を綴っている

 
すばらしい作品、 月の澄み切った冷気の中で演じられる… 天女はその聖なる衣を取り戻すと、頭の上に崇高なる袖を掲げて、 文字どおり天へ向かって雪と金色の柱となって昇って行くのを人は見るのである   「朝日の中の黒い鳥」より 

  (このころ 時折 小雨が… ) 

 ひとは一夜の舞に酔う… タイトル通り 篝火のもと浮かびあがる天人は、 紫の羽衣をまとって富士の高嶺の彼方へ消えてゆく。  幽玄のときを心に刻んだ。 かがり火が揺れ三保の松原を想像する。 
   (雷鳴がする… 不安をよそに)  天女の舞はつづく。 

  一曲終わるころ本降りとなった。 アナウンスは熊谷
気象台によると大雨注意報発令で後は中止…と告げている。
 
なんと 恨めしい…  傘の用意もなく、 ずぶぬれで帰る。  楽しみだったが仕方がない。 雨には勝てない薪能、 今宵幻影のなかを彷徨う。 
 以下に 見逃した作品
弱法師
 大蔵流 狂言 「真奪シンパイ」           
 
中世に大流行した花道の立花。 立花の真が主題。 どんなおかしさ、 悲哀が待っていたのか。 笑えなくて残念! 

 観世流 能 「弱法師ヨロボシ」
 世阿弥の嫡男観世元雅作の弱法師についても下調べをした。 俊徳丸のストーリーを浄瑠璃や歌舞伎に拾った。 

 真奪シンパイ  
      
 シンパイは 心配になった。 
 

アナウンスを待つ皆さん

  和装の方も多くて…       (演目の写真 パンフレットより)

 解説 武蔵野女子大学教授  増田正造
     アフリカをのぞいて世界各地に存在する羽衣伝説について。 
     バリ島の芸能と能のつながりなど。 後日談もおもしろい

 

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緑ばかり

2009-05-21 | イーゼルのうた
  

   8F   2回目 
 7日経って 緑がずいぶんと変わった。 土手のクローバーは刈り取られ、 白い花がアクセントだったと残念だ。 垣に華やぎを添えていた赤っぽい新芽は シラカシと判明した。 一面伸びきって黄緑になったが絵はそのまま、 最初の感動をだいじにしよう。

 オナガが行ったり来たり、 グェーイ グェ-イと気炎を揚げる。 山桑の実が熟れて野鳥を集め、 池には蓮や睡蓮がある。 
 蓮は茎をしっかり立ちあげて、 巻葉をひらいて風に揺らす。 となりでは睡蓮が大小の丸葉を浮かべてモネの池になっている。 臙脂色のパイピングに葉のエメラルドグリーン、 その対比もすてきだった。 枯れて茎の折れているのも風情がある。 あれもこれも取り込みたくなるが、 うるさくなるので止めにした。

  昼食後は、 向かいの植物園に寄った。 
 ユリノキにも花が咲いて、 栴檀のこまかい花が緑の風にそよいでいる。 大樹のてっぺんに焦点を合わせても花はまったく写らないのだ。 温室のパフィオ( パフィオペジラム)は地味な配色でも凝ったつくり。  艶やかな蘭よりも断然好きだ。 人形が履くスリッパのようで愉しい。 
 

パフィオ ソヨゴ 

  ↑ソヨゴ (風にそよぎザワザワと音を立てる)の花

  ↑ 布きれの縁をほどいたような蘭   
     最近もこんなスタイルの服が流行っていた。   

 

  ↑ 涼しげな蘭   小さくて 花径は 2㎝ほど  

 

 

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暮れがた美人

2009-05-19 | 自然や花など

 

        はなびらの垂れて静かや花菖蒲    虚子

  黄昏どき、 黄菖蒲がにわかに色めき立ってくる。 

    庭の一隅で 昼間はさほど目立たない花も
       薄暮に  私は ここ… と にぎやかだ 
     

  

   ブラックベリーは 青い実をつけて 
       花の大きさにも驚く   思ったより大きい。

 
  小さなヒオウギも 浮かびあがらせる暮れがた…

                 -☆-

  5月17日 善光寺。 
  雨がそぼ降る ほの暗い庭園で 白く美しいかんばせに惹かれた 
    紅色の雄しべをのぞかせて 

  

  匂うような綿帽子に 雨の雫…  うつむく姿も うるわしき花 大山蓮華
       拡大写真

  夜目 遠目… 笠の内   もとより 美しい花たち。 黄色い牡丹もあざやかだ。

 

 

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シーン

2009-05-18 | 道すがら
 

  北安曇郡小谷村 白馬乗鞍高原 
  
  18日早朝  陽をうけるホテルに ブラマンクの絵をみるようだ。 
  遠くの山々はまだ雪をのこしている。 この裏側、 つまり南面がゲレンデ。 夕べは、 仔牛や草を食むサフォーク(顔が黒い羊)の姿があった。 冷たい雨が体を濡らしても小屋に入らず夜を明かしたようだ。 リフトも、 ひと待ち顔に立っている。

  ここに来る途中、 遙かに白馬ジャンプ台の緑色の斜面を望んだ。 長野オリンピックで沸いたのだった。   

  善光寺に詣で乗鞍から上高地へ向かうスケジュールも、 5月14日落石事故のため県道上高地公園線は全面通行禁止。 変更して高山へむかう。 三度目の高山。 

 

   安曇野

  雪山を背に 田植えの最中

  車窓から 常念岳もみえる

 

 


 

  乗鞍山頂 畳平 2702m。 手前の石段から魔王岳(2764m)まで15分。
気温-2℃。  強風にさらされ、 指先が凍える。 久々の感覚。 

魔王岳2764m 

 

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五月の貴公子

2009-05-16 | こころ模様

        

       若草の上を歩いてゐるとき、
       わたしの靴は白い足あとをのこしてゆく、
       ほそいすてつき の銀が草でみがかれ、
       まるめてぬいだ手ぶくろが宙でをどつて居る、
       ああすつぱりといつさいの憂愁をなげだして、
       わたしは柔和の羊になりたい、
       しっとりとした貴女アナタのくびに手をかけて、
       あたらしいあやめおしろいのにほひをかいで居たい、
       若草の上をあるいてゐるとき、
       わたしは五月の貴公子である。

                萩原朔太郎  月に吠える 「五月の貴公子」

 

                -☆-


  若き詩人は おしゃれな貴公子… 
  五月  緑のかぜが匂うさわやかな明るい光りのきせつ 
  蚕豆のみどりに  夏が始まる 

        

   

   青葉曇りに   薔薇の花咲く
            ドイツ生まれの  ウェスターランド

 

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酸っぱい話

2009-05-15 | こころ模様

  
  弟のところは 薔薇も多いが 柑橘の爽やかな香りがしていた。 夏みかんや、 檸檬の木が何本かあって花盛りだった。 
 少年サッカーの応援に、 レモンのスライスは欠かせなかったこと、 蜂蜜漬けを毎回届けたなど と話し、 これまた爽やかな汗の臭いごと思い出した。 日焼けした顔が真剣だった。
  
  夏みかんはジャムにして  レモンは、 まるごと囓るのだという。 学生の頃はスポーツ万能だった義妹までのたまふから、 聞いただけで口の中が酸っぱくなるし、 身の細る思いがした。  酸に弱いのだ。 
  

             -☆-

  いつもはジャムをつくるけど  はじめて作ったのがこれ!   

  アクを抜いて、 皮と同量の砂糖で煮詰め、 互いがくっつかないようにバラバラにして冷ます。 乾きかけたら グラニュー糖をまぶして

    夏みかんピールの出来あがり。

      

    ほろ苦さと甘酸っぱさで   これなら 大好きさ…

 

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つつましい花

2009-05-15 | 自然や花など

  高いところなので うまく写りませんが、 色はベージュ、 紐のようにさがっているのがコナラの花。  遠慮深く、 控えめです。

 

  

  ↑ これは栗の木   丸いのが雌花   紐のような雄花     
    

 

        栗の花 紙縒コヨリの如し雨雫   杉田久女

   
間もなく細かな花が咲いて あたりは甘い香り

 

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新緑を描く

2009-05-14 | イーゼルのうた

 

         夏に螢を放した民家園で スケッチをした  

             きもちよく 乾いた空気   
               つむじ風に キャンバスも飛ばされそう 

         さまざまな グリーン ぐりーん  グリーン
          茅葺き屋根と 垣のベ二カナメモチ  新芽もアクセントになる 
      
                      ちいさな橋  のっぽなメタセコイア  

             一回目   8F

 

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母の懐

2009-05-11 | こころ模様

  
 小さな駅に下り立つと、 なつかしい潮の香に気づいた。 浦風が生温かい湿った空気を送ってくる。 母の命日に、 姉弟連れ立って墓参りをした。
  
 片瀬山から、 はるかに海が望めるはず…  残念、 きょうは靄っている。 家並みの彼方は天幕を張ったようで、 すっきりしない。   左手に江ノ島。 眼下の家々が入り江にかかえられるように、 じっとしていた。 湾は、 両腕を伸ばして三浦と伊東あたりが掌だ。 

  細く並んだ塔婆のあいだから、 革のように伸された運動場が見渡せる。 小学生は授業中で、 表はひっそりとしている。 遠くの夥しい建物が、次々におもちゃの積木を投げいれたよう。 
 点々と、 緑の塊を追いながら寺の大屋根を越える。 煉瓦色のマンションもひとっ飛びして森の帯が霞んでいるのを眺め、 海沿いの通りをぬけて、 あっという間に沖に出る。 ここに来れば、 だれでも鳥になれるのだ。

  パノラマのなかで小さく霞んでいる富士山も、 冬はあたりに威風をはらい真正面に鎮座する。 母も、 きっと見ている。
 出かけてきてよかった。 斜面のふところで暑い陽射しをうけながら、 心のうちが清々しい。  
                 
                      -☆-

 マルハナバチを呼びよせて、 檸檬の花がまっ盛り。  
 マーヤが、 夏日に萎れた白い花のように寝ている。 こちらに気づくと、 薄目をあけ頭もあげようとしたが、 すぐに諦めた。 人間なら100歳を超える。 
 立派だね マーヤ…  目やにをつけていても、 なんだか神々しい。
 義妹をはげまし、 家族を元気にさせる。 猫ながら、 たいせつな門番だ。
  よろしく頼むね  マーヤ!  命ある限り… と応えたようだ。
   その眼をみれば、 やはりそう言っている。


    

 

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アンゴラ兎

2009-05-09 | 別所沼だより

                                  
      月の光のこぼれるやうに おまへの頬に
      溢れた 涙の大きな粒が すぢを曳いたとて
      私は どうして それをささへよう!
      おまへは 私を だまらせた……

      《星よ おまへはかがやかしい
      《花よ おまへは美しかつた
      《小鳥よ おまへは優しかつた
      ……私は語つた おまへの耳に 幾たびも

      だが たつた一度も 言ひはしなかつた
      《私は おまへを 愛してゐる と
      《おまへは 私を 愛してゐるか と

      はじめての薔薇が ひらくやうに
      泣きやめた おまへの頬に 笑ひがうかんだとて
      私の心を どこにおかう?

                          爽やかな五月に  立原道造

  写真: 窓辺に飾られているもの。  
    今月は鉄の彫刻 
     中田志津惠さんの 「一切有情」 「時の余白」 など 楽しい作品。 

                 -☆-
 
 爽やかな ひかりのなかに ソネットが響く。 それは、 やさしく哀しく漂った。
 半年ぶりの当番は、 まず今月からガイドになられたIさんに、 新鮮な気持ちでお教えした。 旗は ロープが盗まれて揚げることができない。  
 
 ・県立浦和第一女子高校アナウンス愛好会(一九年度、 県の高校放送コンクール オーディオピクチャー部門 優秀賞) の生徒さんからインタビューをうける。(説明が違っていたらごめんなさい)
 ハウスにビデオカメラが入って、 道造さんも楽しんだかしら。
 高校生が、 若々しい瞳をひからせて挨拶されたのも印象的

 ・今朝の東京新聞に 「市民の心 潤すオアシス」として別所沼公園とヒアシンスハウスが紹介された。と 切り抜き持参でいらしたご婦人。  拡大写真。 その行動力を讃え感謝します。 教えてくださってありがとうございました。
・ご家族おそろいの やまもと たく先生に久しぶりでお会いしました。 夏目漱石論がたのしみです。 
・建築士の方は、 感嘆しきり! 
・ネザーランド・ドワーフを肩に乗せて立ち寄る方。 グレーのやわらかな毛並み、 丸いからだ、 短い耳。 ピーターラビットでお馴染みの姿。 なついた兎をみながら、 手紙の一節がうかんだ。
 
  … 別所沼のふじや、アンゴラ兎は元気ですか。 桜草の野原へはいらっしゃいますか。 浦和の町も、もう夏ですか…
 (一九三六年六月一四日(日)神保光太郎宛  立原道造)
  

                 -☆-

  来室三四名  二六℃  窓を開け放して、 気持ちのよい風が吹きぬけた。
  連絡に来られたYさん、 おなじ頃大病をして休んでいたTさん、ガイドが四人もそろって、 にぎやかで楽しい日でした。

  奈良のH様
  4月11日の書きこみを拝見しました。 ほんとうにありがとうございました。
  春の別所を楽しまれたようで 少しホッとします。 お会いできなくてほんとうに残念でした。 どうぞ またお出かけくださいね。 来年こそ かないますように…

     

 

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