別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

夏やすみⅡ

2010-08-28 | こころ模様

図書館で  

   あとすこしで 夏やすみが終わる。
 
  朝刊に 高田敏子の詩が載っていた


      …  だがキミ! 夏休みよ
          もう一度 もどってこないかな
          忘れものをとりにさ    
                    

  もう宿題を与えられることはないのだけれど
   ほろ苦い ちょっと焦るような気持ちにひたされる
  からだに 染みついているから    

          -☆-


  絵を描く気にもなれず 青虫に話しかけていた
 自然に任せておいて 良かったの…
 
  あれほど生まれたのに  つぎつぎ
  ほかの命のため投げ出された 小さないのち

   ひとつくらいは…

  ユズの葉といっしょに 段ボールにかくまった
   まいあさ 新しい葉に変えて見守る

    あなたは きれいな蝶になれますように…

 
 夏の日は女役者のものごしのなまめかしさに似てさびしけれ
                              白秋

  終わりの感傷など 酷暑はおかまいなし
  図書館は忘れもの探しで賑わっている

 

  

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秋暑し

2010-08-24 | 自然や花など

    エノコログサ

    七草にもれて尾をふる猫じゃらし   風生

      狗の尾で  猫じゃらす…  
       暑い暑いと さわいでる

    

   藤の実を愁のごとく垂れにけり   風生

    花のようには もて囃されない  ただひっそりと
    莢の中には 白い碁石のような種があるらしい


                からだが重そうな 8・・・ ↓ 

   

      端近く蜂のぶらつく残暑かな     青畝 
 

     

   木槿の花から花へ  
       紅底にもぐっては 花粉まみれだ
                          
 
     ほそぼそと啼きはじめしはつヾれさせ    羽公

     

     夜間 蛍光灯に親しんで へやに入ってくるツヅレサセ 

         

    噂どおりに  明かりが好み
     つかまえて 草むらに放した

          リーリーリー ……と 秋の声


  今日もほんとうに暑かった。 
  夜になっても パソコンのまえは33℃

 

 

 

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このごろ

2010-08-23 | こころ模様

庭園美術館で

・幼虫はさなぎになる前に 卒然とすがたを消してしまった。 
 シジュウカラがまわりで騒いでいる。 外来のアメリカシロヒトリさえこのごろみかけない。 毛むくじゃらでも今や彼らのご馳走になっているらしい。
 蟷螂、腰のほそい蜂、野鳥…  みんな学習しているのだ。
 蝶は きょうも卵を産みつけていたけれど

・おとといの夜 蟋蟀が鳴いた。
 昼間のカネタタキも チンチンチンとにぎやかだ。 
 虫の音は いやおうなしに秋を誘う。

・本日、 暦は処暑。 予報は37度で 猛暑は止まない。

・ブラックベリーを熟れた順に摘んで、 洗って冷凍する。
  一本の木から500グラムを集めて ジャムを作った。
  加熱してから種が多いので裏ごしして、さらに煮詰める。 濃度を増したゼリーが鍋の中から跳ねたり飛んだり、 そこらじゅうを紅(クレナイ)に染めながら、 つききりで2時間くらいかかった。 
 秋は濃厚なチーズケーキを焼いて、 色美しいジャムを添えようと思う。  

・夕べ 丸い月に兎がよく見えた。 満月も近い。

 

 

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長寿です

2010-08-21 | こころ模様

      

 14日 97歳になる伯母を訪ねた。 介護施設で八月生まれの誕生会と夏祭りが行われる。 身内がいちどに現れたので伯母はとめどなく涙を流した。 硝子ごしに 泣きじゃくるようすがみえて困った。 記憶は確かで ひとりひとりに声をかけ礼を言う。 やわらかくなった白髪が室内の冷風に揺らいだ。 母によく似ている… 
 原風景がよみがえり 胸が熱い。 

 18日  美術館のあと ホームにいる105歳の義母を見舞った。  「このひと よく働くの…」  介護職員をしきりと誉めて、 いつも感謝を忘れない。 私は不思議そうに見つめられたけれど。 やがてニッコリ、 無心の微笑みをもらった。

  きょうまで 一歩一歩  一目ずつ紡いできたのですね
  その姿は 神々しく見えました
  
           -☆- 

 20日   階下で呼ぶ声
 「TVに あの子がでてる。 はやく来てご覧よ・・」

 

     ツガルさん画像NHKHPから          

  野毛山動物園の人気者、 推定34歳(国内最高齢)のラクダの 「ツガルさん」。 ツガルさんを愛情ふかく世話する若手の飼育係… 

 首都圏 小さな旅 
 「ツガルさんに会いたい ~神奈川県 横浜市~」 
  横浜市民が人生で三度訪れるという野毛山動物園の人気者、国内最高齢のラクダのツガルさん。愛情深い飼育係。足繁く訪ねてくる家族。ツガルさんに寄り添う人々に出会う旅。  NHK番組HPから


 再放送だった。 途中からで残念。 もういちどやらないかな~

            -☆-

 ツガルさんは青森から来たのね。 大きな瞳とながい睫毛… 飼育員さんの愛情と 一生懸命生きるラクダさんに感動した。 動物が好きですきでたまらない  ボーイッシュな女の子、 ずっとまえ、 おばあちゃんの白寿の祝いで会ったよね。 仕事、 大変だけど たのしそうだね。

  長生きしてね!  みんなも、 ツガルさんも。

             

 

 

 

 

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降りまして

2010-08-17 | 自然や花など

  

 ゆうべ 初雪がみごとに降って 積もったらしい
  しばらく 消えませんように…

       

     

  みなさんが丹精して 遊歩道に咲かせた初雪草  
   
   葉に気を取られて 見えなかったのですが
   よくみれば 小さな花もまん中に   (灯台草科)

    
    ねむれざる瞼の裏に雪降らす     加藤楸邨
 
    蟷螂の死のまみどりに雪が降る   飯田龍太

  

   

      雪の山門  平林寺  (撮影 原槙春夫) 
 

  すこしでも涼しく お過ごしください
   熱中症に お気をつけて… 

   こちらは相変わらず 38℃や36℃などつづいています

 

 

 

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祈りの日

2010-08-15 | 別所沼だより

  それは或る昼だつた。 暑く灼けた日であつた。空には何か見知らないめづらしいもの心を誘ふものがあつた。 私はいつものやうに水辺の草に身を横たへて高い空に眼をやつてゐた

  私を蔽オホふ影をつくつてゐる樹木の葉たちのこまかいそよぎにもかたまりかけては消えてゆく雲の営みにも心はとまらなかった…
           
              「不思議な川辺で」   立原道造


             -☆-

トンボが見えますかガイドの日 
  思いだしたように吹く風を感じながらお客さまを待った。 朝から襲う猛暑。

 まずはトンボがやってきてガラス戸の縁にとまる。 銀色の翅を小刻みにふるわせて熱気を振り払うようにした。 
 小さな命に不快感などないのかしらと思えるほど元気。  ミーンミーンがきこえ、 ジー ジーやオーシーツクツクも混じる。 盛大でにぎやかな合唱を耳に、沼や梢はどぎつい光りにさらされて、 ぼーっとしている。  

 走り終えたばかりの男性が近づいて 流れる汗も拭わずに聞いてくださる。 川越から何度もいらしたというかたなど午前は男性が三人。 

 日ざかりに女性がつづく。
 立原道造を卒論に選んだ学生さん 一時間ほど熱心に見ていかれた。 資料は見つかったでしょうか
 追分までご一緒したKさんのなつかしい笑顔にも会えた。 あの日、 同人誌の集いに飛びこんで 村はずれの歌 や 美しい村 に遊んだ。 絵日記に残したおかげで記憶も鮮明だ。 

 沼をながめ かすかな風を感じ それでも36℃。 団扇が手離せない。 旗は とうとう翻らなかった。 
  来訪者 五名

             -☆-

木かげをゆく親子

  祈りの日、 酷暑に灼ける日は こころも熱い日
   いつまでも忘れません。 

  さう、 かの時代のおびただしき死のひとつでありしよ 父も
                            金子貞夫

 日本人や中国人をはじめ、多くのひとが戦争で命を奪われた。それを思えば、 父はその一人に過ぎなかったのかも知れない。 でも、家族にとってはかけがえのない命だった。 
        「響け 戦争遺児の歌  朝日新聞」
  

  

 

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夢の色して

2010-08-13 | こころ模様

  今朝 うちで生まれた蝉
  土耳古石を嵌めたような頭部や翅も 乾いたばかり
   精緻な細工  透ける翅…

     蝉生る夢の色して幹のぼる     青邨


  目のまえで 第一声をあげた
   みーん みーん 大音量が鳴りひびく 

  一匹でも あっぱれだ

   森では烈しい蝉しぐれに襲われるけれど
    ところによっては 幸せの象徴らしい     

  

 
 
  あをあをと盆会の虫のうす翅かな  蛇笏 
  一束の地の迎火に照らさるる    多佳子
   

      

 

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夭夭

2010-08-12 | こころ模様


  午後から絵。 仲間たちは油彩で前回のつづきを
  私はクレヨンで  柔らかなうぶ毛を表そう

   抱けば熟れていて夭夭の桃肩に昴   金子兜太

  夭夭(ヨウヨウ)…  若々しく瑞々しい恋人。 肩越しに スバル・・・
  
  ほど遠い絵のなかに
 甘い香りがした

            -☆-

  台風4号通過。 静かな部屋のガラス戸がときおりガタガタとなった。 捨てられない母のシャツ。 身幅をつめ裾を裁ってできる長方形を縫いちぢめて ジャボのように胸元につけた。 大きな半袖は細く小さめに、 若づくり…  脇線いがいは切りっぱなしのお手軽洋裁だ。 あんがい似合ってる。

       

  あっという間に 豹になった

 

 

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初秋

2010-08-09 | 自然や花など

 

   すこし降って 思いなしか涼しい 
    近くにあるような  ずっと先のような秋

   濃緑をしたがえて コリウスの紅クレナイが冴える

     今日のさいたま  30℃

 

      

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自由研究

2010-08-07 | 夢見鳥

     カラスアゲハ

  この蝶は カメラを向けると
   こちらをチラと見たのです

  自慢の美しい翔を どうぞ写して…

   堂々として

   ひとがいるなんて ぜんぜん気にならないようで  

 

   

 いかがです  
 この姿勢では 顔(頭部)は横向きになるはずですが 上の写真と比べてみても こちらを向いているのは明らかです

            -☆-

  庭の レモンやキンカンの木にアゲハの幼虫がたくさんいる

     

 でも ここまで成長するのはまれで 天敵が多い

 きのうも たいへんなショックを受けた。 目の前で カマキリが幼虫をムシャムシャ…  振り払っても振り払っても その映像ばかりが現れる。

 夕方 腰のくびれた蜂もやってきて葉裏や枝のすき間を飛びまわり、 丹念にチェック。 見ていると1㎝から3㎝くらいまで育った白黒のフンのような幼虫を抱きかかえ素早くさらっていく。 それを何遍もくり返した。 野鳥から逃れたはずなのに、 蜂は執拗でなすすべもない。 
 成虫になれるのはほんの一握り  厳しいな 
 

      

       仮面ライダー 登場! といいたいが
   
     虫たちの旺盛さに 身をひきしめる蛙です


   立秋の紺落ち付くや伊予絣     漱石
   草花を画(エガ)く日課や秋に入る   子規
   美しきもののさみしさよ秋来り    鷹女



  立秋は名ばかりで 酷しい残暑がつづく
   猛烈、 凄惨な日常で 
    句から 平穏さと涼味をいただきます

 

         

 

 

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吾木香

2010-08-05 | 自然や花など

 

 近くの家で もう吾木香が咲いていた。 伸びすぎた小さな秋が、 足もとまで踊り出ている。 吾木香はくすんだ色をして、 無口で寂しい… ぽつんぽつんと気ままじゃないの そんな詩も思い出される。

           -☆-

  寂しさの極みのような吾木香も、 ほんとうは紅を秘めてしゃんとしているのだ。 そんな思いもこめられていたか… 埼玉の歌人 三ヶ島葭子の唯一の歌集は 「吾木香」だ。 生涯に六千余首の短歌を残し 四十歳七か月の若さで旅立った。
  (所沢市教育委員会発行  三ヶ島葭子Ⅱ)


  君を見ん明日の心に先だちぬ夕雲赤き夏のよろこび   
  春の雨けぶる欅の梢よりをりをり露のかがやきて落つ

 しみじみと 語句をたどる。 心に沁みることばだ。 
  夕雲赤き…  
  露のかがやきて落つ…
  
  困難は ひとをつよくするし 心を深く
するものだと思う。    

   
 ご案内

   埼玉の文学    三ヶ島葭子資料室 
  
    
   あきる野市デジタルアーカイブ

 

 

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夏のメモ

2010-08-03 | 自然や花など

暮れ方の曲


  落日が 公園の木々を染めている     
   こころ奪われて 立ちつくした

  暮れ方の曲がはじまる…

     ライトを浴びる奏者は  何の木?
    
     

         -☆-

 

         


   ひそやかに栗育ちをる酷暑かな    阿部みどり女

  五月に黄緑の花が 「こより」のようだった栗の木
  今は実がなって若い毬を太らせている。 

 

       トクサ  


 みた目も涼しげで 竹のような節のある トクサ。 
 鑑賞用に植えられているのを見かけるけれど、 秋には、 この茎を刈り塩湯で煮て干し、 木材・角・骨など砥ぐのに用いた とあった。 細工用に職人さんが使ったのですね。

 漢字で書くと 「砥草」 「木賊」。 砥ぐ草、 ざらざらとした茎はヤスリ代わり、 鉛筆の芯など削って遊んだものだった。 昔は、 歯も磨いたらしい。

        

   

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空蝉

2010-08-01 | 別所沼だより


  けふは たのしい日曜日。 やつと昨晩、 僕は帰つて来た、 長い留守から、 忘れてしまつた僕のなかへ。 日曜日。 だから、 僕は君に手紙をかかうとおもふのだよ。
 それは沢山の見知らない土地だつた。 また大ぜいの人たちだつた。 さうして、 戦争でさへあつた  ……

 旅といふのは、 信濃へ行つたことではないんだ。 わかつてくれるね  ……   

    

   

   
  
…… だがいま、 かうも思つてゐる―― まだ僕は帰つて来てはゐないのぢやないかしら。 夢を見てゐるのぢやないかしら、 眼をさめたら、 沼のほとりにさびしげに立つてゐるのぢやないかしら、と …
        
      立原道造 (昭和十年十月十三日  生田 勉宛)

  

 
 
 ツトム君―― なんども呼びかけながら親しい友人に宛てた
  長文の手紙。 苦しいとさえ感じながら 詩人はさまよった という。 
 たましいの旅路は 終わりがない。

       -☆-

 なにも知らない蝉しぐれが 勢いを増して降っていた。 
 沼は 酷暑でどろりとしている。
    
   空蝉を見る妻の瞳(メ)のうるむなり   岳陽
   空蝉の一太刀浴びし背中かな     朱鳥

  
  壮烈な 蝉の一生を思う。  

  きょうから 八月。
  熱中症に気をつけて どうぞお元気でお過ごしください

 

 

 

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