ドアの向こう

日々のメモ書き 

踊り場の静物

2005-12-23 | イーゼルのうた

 サインを見ると '84 とある。家事の合間に3週くらいかけて仕上げた。 30号である。子どもにばかり目がいき、いらぬ口出しをしそうになる。 絵を描くことで、グッとおさえていた若い日の私がいる。

  師には7年間ついた。 仲間と会をぬけ、自分たちだけでつづけた。 やがて第三者の評価が欲しくなり、 知る人もない県展に挑戦する。 縁故もなく応募し入選した。

  浅い絵だ、入るはずがない。 でもこんなに打ち込んだ、 もしかしたら などと思いめぐらせ鬱々とする日々。 通知があるまで惑いはつづく。 世の中まで暗くみえてくる。
  発表の日、 跳びあがって喜んだ。 嘘のように晴れる風景、ぬける青空。 はっきり覚えている。 友がみんなで祝ってくれた。

  ことしも届いたクワイを見ながら、このごろ飾ることもない絵をひっぱり出してきた。 何もかも新鮮に映った21年まえ、 こういうときめき、 まだ続いているだろうか 

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主に似て

2005-12-19 | 犬のブロンコ・ダン

 12月20日は誕生日(1987生) どうです? アップで撮ると威風堂堂、小型犬も獅子に見えようというもの。 デパートの入り口だって守れる。
 穏やかないい表情は、健康で上機嫌な証拠です。 

 思えば18年、大病せず家族を守ってきた。 言葉はないが目と目で会話もできる。 嬉しければ瞳を輝やかせ、微笑むようだ。 悲しいときは身体中でしょんぼり、口元に寂しさがにじむ。 じつに表情豊かである。おかげで、こちらも良く笑う。

 叱られるかも知れないが、犬にも十一面ある。 怒れば牙出の相、鼻に皺寄せ歯を見せる。飼い主といえど要注意だ。ときに瞋怒(シンド)相だってある。鋭い目つきでにらまれた。反面、細やかに慈悲の相となり、気持ちを汲みかよわせ、幸せを分け合う。 
 
 犬は、我が身を映すのか。「蛙さんに良く似たワンちゃん」などと言われた。どういう意味だろうか。 スマート?  臆病? 人見知り? うるさいの? 綺麗好き? 鼻がきく・・・

 気にして見ると、どの犬も飼い主にちょっと似ている。 顔つきだったり、性格だったり。 ご主人似や、奥さん似だったりして可笑しかった。 そっくりなのもいた。
 猫はどうだろうか  
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夢をかなえる

2005-12-14 | こころ模様

澤中直美 様
 「オレンジ色の家庭」 ご出版おめでとうございます。 ご本が届きました。
  轡田隆史先生の序文どおり、大きな励ましを頂きました。 懐かしい風景に共感し、どこか重なる思い出に、お会いしたこともないのに親しみを感じます。 
 歯切れのよい文章、おさえた言葉がふかく心をとらえます。 とくに「酒」はおなじ気持ちで目頭が熱くなりました。 「緑叔母さん」  「吾亦紅」 「父と母の宿題」 に感動しました。 文章を学びつづけてこられた澤中さんの夢、 とうとう叶いましたね。 お祝い申しあげます。 これから、もう一度ゆっくり読みます。 ありがとうございました。         
     
                -☆-

 タイトルの色も、帯もゼラニュームの赤に呼応してうつくしい。 なんどもインクの匂いを嗅いだ。 
嬉しいような恥ずかしいような、 コラム集を飾ったわが娘をいとおしく胸に抱いた。 
 わくわくしながらページをめくる。 カットもプロの手でうまく配置され、すてきに見える。 しおりは、鉢カバーのラインと同じオレンジ。 背の内側からのぞいた花ぎれも、淡い同系色でなんとも憎いおしゃれをしていた。 こまやかな心づかいを発見して胸がおどる。  サインが大きいと反省。 
  
 絵を本の表紙に使いたい…  ルピナスさんから夢のようなお話が舞い込んだのはまだ暑いさかり。 
 「いいんですか? これで」 素人の絵だもの。 でも、迷いながらかけめぐる言葉。 チャンスの前髪をつかめ! 逃したら二度とつかめない…  ギリシャ神話の 「時の神」 に教わっていた。   
 夢うつつでお受けしたのだった。 

 多くの人がかかわって試行錯誤をくりかえし一冊の本ができあがる。 ご苦労や努力がみのり夢が現実となった。その一端を担えて大変幸せに思いました。 ゼロから立ち上げるすばらしさ、力を注いだ分だけ感動もおおきくなるのでしょう。 
 表紙については 『何度も何度も色校正をして…』 原画に近い色調を探してくださったとのこと。
 これで充分です。満足しています。 お声を掛けてくださいましたこと感謝しています。
  ほんとうにありがとうございました。 
 
  オレンジ色の家庭   澤中直美 著     花梨書房    
詳細はこちらに お問い合わせ先   rupinasu-3@mail.goo.ne.jp

 内容はもちろんだが日記をつづる身としては、 文章の良さにくぎづけになった。 序文がお世辞でないことが分かって感服しました。たくさんの方に 「オレンジ色の家庭」 が読まれますように…    

   取扱は  神保町 東京堂書店(TEL 03-3291-5181) 
 
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かり出され

2005-12-13 | 犬のブロンコ・ダン

 HI! ブロンコ・ダンです。日がな一日こたつのなか。赤外線は目に悪いんだって。 知ったかぶりの母さんの忠告なんか聞きませんよ。 身体中に温風浴びて、常夏です。 なんかの丸焼きになってます。 ときどき畳の上で躯を冷やし、水分補給も怠りなくジャブジャブ飲んで まめに用足ししてます。

 いい気分で寝てるのに、いきなり散歩の付き合い。 駆りだしといて、
影法師かっこいい…  なんて写真撮るのに夢中だね。 
 主役はこっちだって言うのに、 鼻先だけかよ!!
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コラムを飾る

2005-12-12 | イーゼルのうた

  いぜん描いた小さな絵をひとつだけお目にかけます。 
  著者がこころこめた文章を引き立てることが出来たでしょうか。 

    とても楽しみにしています。

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烏瓜の不思議

2005-12-09 | イーゼルのうた

 カラスウリを描き始めました。 実のほうは誰が描いても烏瓜になるのですが、問題はその髭。 実に繊細。 優秀な職人さんの手になるバネのようです。

 先端は右巻きで、 途中から左巻きになります。 誰が教えたのかしら。 バネを強くする技だったなんて、 きょう初めて! 知りました。 
 年を重ねるっていいこと、 不思議をひもとく暇も、ちょっぴり出来ました。 以前なら見過ごしたでしょうね。 これを油で描くのも大変ですが うれしい発見!

 種を蒔いてレースのような花を咲かせたい。 来年こそ間近で見られるでしょうか。
烏瓜の花のような夢を見ました。
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猫の絵

2005-12-04 | アートな時間
 昨日は、友と鎌倉文学館へ。

 「開館20周年記念 文学都市かまくら100人展」 鎌倉に暮らし、仲間と集い、鎌倉の自然や風土を愛し、作品に描いた文学者たちの思いが、鎌倉を文学のまちへと高めていきました。夏目漱石、芥川龍之介、与謝野晶子、里見 、大佛次郎、川端康成、三島由紀夫など (パンフレットより)

 直筆原稿や初版本、愛用品など展示されている。このうち何冊を読んだだろう。これから学ぶことが多すぎる、途方に暮れる。大間に合い、できるだろうか…

 文学館は前田侯爵家別邸だったところ。入り口の招鶴洞、趣ある洋館、前庭から見る由比ヶ浜、バラ園など写す。 紅葉はあまり良くない、日焼けしたような白っぽい赤だ。対照的に銀杏の黄金色が鮮やかだった。 

 夕暮れ近く小町通りをゆく。 20年まえ弟家族と歩いて。 お蕎麦がおいしかったことなど思い出す。 漱石の絵を見ながら、どんなときも猫をそばにおく義妹の笑顔が浮かんだ。
 ほかに、長谷寺、大仏殿、光則寺、鎌倉能舞台など巡った

    写真:夏目漱石画 「あかざと黒猫図」 130×32㎝
 帰宅後、 芳賀徹著「絵画の領分」を読み返す。 再発見もあった。

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マティスの金魚

2005-12-01 | アートな時間

 どうせ描くなら楽しまなくちゃ。いつもそう思ってキャンバスに向かう。気分は画面に反映する。 最初は乗らなくても描いてるうちに、色や形のさまざまを発見して、いいところを探す。
 だんだん面白くなっていく。気の持ちかたでくるくる変わるのだ。 

 待ちわびたマティスの金魚。 プーシキン美術館展 でようやく出会った。
 フォーヴィスム、野獣派といわれる画風。 大胆な色調、タッチ。 
 マチス・デュフィ・ブラマンク・ドラン・マルケなどが始めた。

 「金魚」1912年 気分を明るくする、この楽しく装飾的な絵に惹かれた。 鮮やかな色の組み合わせ。 手すりか椅子の背もたれか そのカーブが背景へといざなう。ゆたかに展開する。 平面的な背景と鉢の立体感。 水面にうつる金魚。 暗い部分とグリーンの位置、バランスなど絵を見ながら考えた。

 他に
サント=ヴィクトワール山の平野、ヴァルクロからの眺め」ポール・セザンヌ 
 彼は ヴィクトワール山を30点以上描いた。 去年2月、眩しい光の中でこの山を見た。 乾いた土の色、オリーブのグリーンも、傘のような松もはっきり思い出せる。 

「池にかかる橋」 セザンヌ 幾何学的な筆遣い。キュビズムの予感。 
写真スタジオでポーズする踊り子」エドガー・ドガ 踊子の足と向き合う鏡の足が印象的。
刑務所の中庭」フィンセント・ファン・ゴッホ 高い塀に囲まれ狭い場所で運動する受刑者。心も晴れない。ゴッホによく似た人物の鋭いまなざし。そのひかり。
「白い睡蓮」クロード・モネ  モネは1899~1900年にかけて睡蓮の絵を18点描いた。
ジヴェルニーの積みわら」モネ  埼玉県立近代美術館では「ジヴェルニーの積みわら、夕日」1888-89年 がいつでも見られる。 こちらは夕日に染まる積みわら
ムーラン・ド・ラ・ギャレットの庭で」「黒い服の娘たち」オーギュスト・ルノワール
女王イザボー」「アルルカンと女友達」 ピカソ

 画家は何を思って描いたのだろう。 なぜこの彩り このかたち 絵のまえで心をなぞった。 模写をつづけよう。    今日から師走 風向きも変わった。銀杏舞い散る日 
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