![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/b5/82c5874ac3b64c73deca6725a00aae52.jpg)
ほんとうに悲しいお知らせをいただきました。 とても信じられません。
木下先生は、 いつも明るくお元気でした。 気さくに 何処でお会いしても 必ずお声をかけて下さって、 作詞の秘訣など伺ったこともあります。 その日も散歩の途中ばったりお遇いして どんな風に詩が生まれるのか、 興味を持ってお尋ねしたのです。
先生は、 嬉しそうに手帳をお出しになって。 こころにふと浮かぶことば、 胸に響く言葉を 聞いたり、 目にしたときは必ずメモします。 びっしりと書かれたページを広げて見せて 「歌の候補が こんなにあります」 と 仰ったように思います。 (このとき) 構想は七〇曲ほどもありそうでした。 とても意欲にあふれかがやいていらっしゃいました。
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別れても 別れても 心の奥に
いつまでも いつまでも
憶えておいて ほしいから
幸せ祈る 言葉にかえて
忘れな草を あなたに あなたに 作詞 木下龍太郎
以前から好きな歌でした。 そのころ書いた日記から拾います。 前年の早春、 お宅の前を通りかかると小さなブルーの花がこぼれるように咲いていたので、 そのことについて お尋ねしたのです。
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こんど越してきた方は 作詞の先生。 朝のご挨拶からはじまって、 ことしの春には、勿忘草が話題になりました。
『もう芽を出してこの通り、さしあげましょう。 ほっといても種がこぼれて、どんどん増えますよ』
『どうぞ!』 有無を言わせず三株も掘りあげてくださったのです。
シャベルに手のひらを添え、 ほどけそうな土をかばいながら、 足早に門をあけ出てこられる。 「いいえ 見せて頂くだけで」 と言いながら、 ちょうどゴミ当番でネットを回収していた私は、 とっさに、 ほんとうに失礼なの。 手にしたちり取りを差し出し、 その上にうやうやしくいただいてしまいました。
ほくほくの崩れそうな塊から、 根の毛細管が元気にのぞいている。 葉はウサギの耳のようで、 いましがた貰ったばかりの水滴がキラキラと光ってた。 触れると柔らかく、 銀色のうぶ毛がやさしくはずんで、 指先にネルのように心地いい。それは、 とても懐かしいようなぬくもりを伝え、 しーんとからだを流れ、 胸の奥にしみていくようなの。 ああこの感じ ご厚意も忘れないでいよう 勿忘草だもの。(2004)
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お返しに、 育てた薔薇を朝早く花束にして、 袋に入れ小さなメモを添えてお宅の門扉に提げておきます。 やがて 特別の 朱い罫の原稿用紙に万年筆で認められたお礼状が届くのです。 うちの郵便受けまで 配達は きっと奥様でしょう。 お心のこもった大きな字で書かれていました。 お忙しいのに、 決まって温かなお返事をくださいました。
TVで 先生の歌が流れると 家族でしんみりと思います。 まるで昨日のことのように話し合います。 満面の笑みをいつまでも忘れません。
木下先生
ご冥福をこころからお祈りいたします。 ありがとうございました。
故郷の墓参り。 美しく 妖しい魅力…
球根が こんなに増えて。 彼岸花が恐ろしげ。
ここから ドンドン芽が出るのかしら…
曼珠沙華咲くとつぶやきひとり堪ゆ 多佳子
曼珠沙華日はじりじりと襟を灼く 多佳子
暑い日でした。
夕蝉に鶏頭がまづ暮るるなり 林火
○○ちゃん よく見ると違うんだけど お母さんにそっくりだね… 95歳の伯母がいう。
伯母だって 髪の毛の1本1本まで 母によく似ている。
形もそっくりな伯母の手を取って そろそろと歩いた。
夕暮れになる。 別れがつらかった。
午後… 奈良国立博物館 「西国三十三所観音霊場の祈りと美」 と 常設展。
重要文化財 千手観音坐像 国宝 法華経序品(竹生島経)
おみやげ (碁石の根付 紅牙撥鏤棊子をもとにデザイン)
他に 橿原神宮で拾ったマテバシイの実
マグネット 絵柄(万葉歌)↓
舒明天皇の御歌。 絵 絹谷幸二
大和には 群山ムラヤマあれど とりよろふ 天アメの香具山 登り立ち 国見クニミをすれば 国原クニハラは 煙ケブリ立ち立つ 海原ウナハラは かまめ立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島アキヅシマ 大和の国は (万一・2)
(オンマウスでストップします)
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「けふ も また いくたり たちて なげき けむ あじゅら が まゆ の あさき ひかげ に」会津八一 戦地に赴く教え子を思うやるせなさ、その気持ちに重ねたという
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/5c/064ba3fd93218f20b4eb0b80f7232db5.jpg)
9月17日、 定期観光バスにて 法隆寺、中宮寺、慈光院、薬師寺、唐招提寺。 平城宮跡・朱雀門(復元)。 いつか来た道、 はるかな記憶を辿った。
法隆寺… 飛鳥建築、 軒の組物、 雲形肘木。 勾欄コウラン。
築地塀の静かな趣に魅かれた。
中宮寺… 本尊如意輪観世音菩薩半跏像(国宝)
気品を湛えるアルカイックスマイルに見入った。
慈光院… 片桐石州の演出。 境内全体を茶席となす。 庭園の木々は借景に合わせた刈り込み。
薬師寺… 金堂。 四月、 上野で拝観した菩薩がお揃いで迎えた。 大きな光背。 五重塔。 フェノロサのことばが響く。
昨日、 奈良へ戻る車中より眺めた。 壮大な平城宮跡。 塀が再現され柳が靡く人通り。 賑わいを想像する。 大極殿の再建中
「あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり」 小野老朝臣 万葉集 巻三・328
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法隆寺土塀 1400年の歴史を刻んで
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かつて 修学旅行で知った 美しい対比、音楽が聞こえる
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斑鳩の地、東院伽藍・夢殿に安置される秘仏の開扉は 毎年2回 救世観音立像。 写真でしか見たことがない。 杏仁形の目や唇の形。 温かく見守るようで、 こころが安らぐ。 |
打水も清々しい露地を抜けながら期待が高まる。 |
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林の中の 鑑真和上御廟 土塀が 苦難を語るようだ |
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奈良市五条町 唐招提寺 至るところに 萩の花がそよぐ |
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平城宮跡 朱雀門 巨大な朱雀門が往時を偲ばせる、 北側(後方)の緑地が平城宮跡。 スケールの大きさに驚く |
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近鉄奈良行き 大和西大寺駅~新大宮駅間 朱雀門のすぐ側を、車輌が颯爽と駆抜けた 電車の向こうに四角くみえるのは 建設中の大極殿 |
16日京都着 9:48。近鉄京都線乗換、橿原神宮前駅よりバスにて飛鳥へ。厳選の?写真のみ7枚。 マウスONでストップします。
万葉文化館(夏の万葉日本画展その② 山口華楊と晨鳥社のいま)「和同開珎」よりもっと古い「富本銭」を展示。万葉の世界を多角的に見せる。時代背景、歌人の心情、暮らしぶりなど体感できた。
飛鳥寺
新西国第九番霊場・聖徳太子遺跡第十一番霊場
飛鳥寺古縁起 (寛永九年・1632)推古天皇、無遮の大会ダイエを設ける夕時(推古天皇四年・596)本尊より光明を放ち、空には紫雲、花蓋の如くたなびき、塔堂を覆い、変じて五色の龍鳳の形となって西に向って去る。諸人群集し、奇異の思いをいたす。 太子曰く。「この寺天に感ず。瑞祥あり」と。
ここに立つと、紫雲、花蓋の如くたなびき… 眼に見えるようだった。飛鳥寺大仏開眼千四百年記念の散華を戴きました。 寺の規模は法隆寺の約3倍、築造歳月20年。
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9月16日 連日雨との予報に、ヤキモキしながら奈良に来ました。 しかし、
嘘のような晴れ。 打水をして待っていてくれたのです。 木々もしっとりとして気持ちがよい。 空が広重ブルーになっている。
残暑の午後、 畦に彼岸花や萩が咲く。 移動の初日は、 飛鳥を訪ね、 万葉の心にひたった。
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夕方7時、 三条通りを東に向かう。 突如 行く手に巨大な月が現れ。 あまりに間近く、 舞台の作り物と見まがうばかり。 ほんとに吃驚!
高く登るほどに 本物を実感する。
くっきりと兎の顔まで見えそうな。 拡大
道路標識と同じくらいの大きさ。
10/31まで、 世界遺産などライトアップされ。 今宵は 猿沢池、 浮見堂、 興福寺五重塔、 春日大社一ノ鳥居など巡る。 全部は回れない。
他、 奈良国立博物館、東大寺、大仏殿・中門、南大門。 平城京朱雀門、薬師寺などに明かりが灯る。
連休は賑わったのでしょう。 今はひっそりと寂しい道を 浮見堂まで歩く。 暗がりに鹿が居て 人はいない。
ふたつなきものと思ひしをみなそこに
山の端ならでいづる月影
紀貫之 古今集881
水面のさやかな月影…
古き沼立待月をあげにけり 風生
古き池に月を浮かべて 風流なる夜景。
せっせと 柚子の木に卵を産みつけているらしい
はじめて見るような気がするけれど
翔の模様は ナミアゲハかな
停まったようでも 小刻みに震えるので うまく写らない
金柑に柚子、 檸檬も、 低く小さく育てている。
実がいくつかついて、 2㎝くらいに。 それが 知らぬ間に全てなくなって。 連日の雷雨で落ちたか、 小鳥の餌になったのか。 葉のほうも、幼虫たちの養分になるだけです。 よく見ると、 後翅の肛角部に橙色斑紋があるのでメス。 画像最後は、 度々見かける蝶、 模様が似ているけれど全体的に丸く、 同じ種類には思えません。
今宵の 空模様も気になります。
名月や畳の上に松の影 其角
十五夜の雲の遊びてかぎりなし 夜半
(上右の画像は タテハ蝶の仲間、 コミスジと判明しました 2009.8.21)
歩道沿いに 薄紅色の実は、 盆栽展で知った檀。 「だん」 とも読むけれど、 ここは 「まゆみ」。 花は地味。 布でつくるアクセサリーか、 紐で引き絞ったようなのがおもしろい。
まゆみの歌
深山辺ミヤマベや 真弓よりこき 色ぞなき 紅葉は秋の ならひなれども 土御門院
南淵ミナブチの 細川山に 立つ檀 弓束ユヅカ纏マくまで 人に知らえじ 万7-1330
細川山に立つ檀、 「まゆみさん」に思いを寄せて。
檀について 詳しくは こちら へ
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だいぶ前に 零余子ムカゴの句を知った。
ぬかご拾ふ子よ父の事知る知らず かな女
父のこと? よく分からなかったが、 今日、 蔓の先が伸びて繋がったのである。 夫君は
長谷川零余子レイヨシ。 謎は一瞬にして解けた。
知ってから読むと、 味のあるうた。 子どもたちは幼くて、まだお父さんの別の名を知らなかったのでしょうね。 俳号に零余子だなんて愉しい方。 立体的な作句だったと。
かな女さんとは関係なく考えていたけれど、 前から気になる俳人でした。
地蔵会や芒ススキの中に灯のともる 零余子
鯒コチ王の砂ゆるがして游オヨぎけり 零余子
ルピナスさんが 漱石 「三四郎」 に出てくる零余子について書かれたので、 調べてみたら 芋づる式に解明されて。 うれしい!
かな女は、浦和に住んでいた。 別所沼公園に曼珠沙華の句碑もある。 零余子は絵も描いたのだろうか。 それとも別人だろうか
快晴。 余り好きではなかったけれど よくよく見れば
校門まえのポットから 絞り染めやら 縁かがりまで手が込んで
濃紫が匂ってくる
錦紫蘇 コリウスのお出迎え
その小学校は 運動会の練習で、 軽快な音楽やら、 太鼓の音、
指導する先生方や 児童の歓声が 高らかに響いてくる。 天まで届きそうだ。
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重陽や椀の蒔絵のことごとし かな女
早速、 お薦めの「菊花の約チギリ」 (雨月物語)を読みました。 播磨国の学者 丈部左門ハセベサモン と 赤穴宗右衛門アカナソウエモンの契り。 重陽の日の約束を こうまでして 守ったのですね。 すさまじくて、 身震いしました。
葡萄を目にすると 上等な絵具と、 若い女の先生を思い出します。
僕は小さい時に絵を描くことが好きでした…
こんな書き出しの短編で。 はじめて読んだころの感動を はっきり覚えています。 読むたびに、 おなじところで立ち止まって共感します。
ジムという友だちが
持っている絵具は舶来の上等のもので、 軽い木の箱の中に、十二種イロの絵具が小さな墨のように四角な形にかためられて、二列にならんでいました。どの色も美しかったが、とりわけて藍と洋紅とは喫驚ビックリするほど美しいものでした。
ドキドキするほどきれいな絵具 たぶん固形の四角いクレヨンかパステル。 蝋のような手ざわりや匂い、 巻紙の色まで想像できました。 私も欲しい、 ずいぶん憧れました。 親にねだることもなかったけれど… 少年の葛藤を自分のことのように感じ、 せつなく受けとめて。 以来、 クレヨンは特別なものになってしまいました。
主人公は いろいろ悩み思いつづけたあげく 藍と洋紅との二色を…
ハラハラしながら物語は展開します。
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先生は真白なリンネルの着物につつまれた体を窓からのび出させて、 葡萄の一房をもぎ取って、 真白い左の手の上に粉のふいた紫色の房を乗せて、細長い銀色の鋏で真中からぷつりと二つに切って、 ジムと僕とに下さいました。
多くを語らず やさしく諭した若い女の先生、 心理描写の細やかさ、 臨場感をともなって色彩が鮮明に。 主人公の気持ちはそのころの私にぴったり重なっていたので、泣き出しそうになって読みました。 四角いパステルを手に入れたいと長いこと思いました。
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今日の葡萄
大きな一粒は 小振りなトマトほどの大きさ、 直径5センチです。 普通の倍くらいもあって、 大喜びしました。
有島武郎の全文は こちらで
気配が 懐かしく思われて シャッターを押した
なぜだか解らないけれど
こころに灯る 朝の金色の明かり
昔むかしの想い出に ダアリヤも咲いている
秋日射し骨の髄まで射しとほし 鷹女
まだまだ激しい 厳しい残暑だ
彼は黒しか着なかった たぶん黒しか持たなかったのだろう。 黒は引き締まって見えたし モダンで 高級感もあった。 其処が気に入ってた。
散歩でお会いする奥さんは 「品がいいワ…」 などと誉めるし ますます着替えられなくなった
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黒のイメージを壊すのは 埃。 見すぼらしくなる。 清潔感こそだいじで クリーニングは欠かせなかった。 紳士の身だしなみね。
抜け毛がいっぱいついてるなんて 興ざめ。 晴れの黒のために どれほど苦労したか
努力もしたワ。
黒で決めれば貫禄も出て 何でもできそう。 指揮者 僧侶。 裁判長。
とっておきの 「黒」 は 若き日のじまんになるけど…
上質の黒よ 天鵞絨のような光沢で 視線を集めた。 お付きさえ誇らしげで。
どう このツヤ まぶしいでしょ 9月6日 降参?
二時より文化祭代表者会議。 わずか40分、 的を絞って手早く終える。
時間を割いて これだけのために出てきたのだから、 余った時間は遠回りして帰ろう。 気持ちが収まらない。(納まる 治まらない どの字かな)
三時草があちらこちらに咲いて、 微笑みを呉れたので この写真… 今日は上手くいった。
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四・五日前から、小さな物音に気づいた。
「コン コン コン・・・ コッ コッ コ・・」 近くで道路工事があり、 重機の大がかりな音にかき消されそうになるが、 たしかな微音を耳は振り分け、 取り出してよく聞いていた。 雨続きだったが、 乾いた かすかなリズムに聴き入った。 我を忘れて。
音源は隣家との境にある。 柘榴のうしろ、 以前から名前が解らない木だ。 堅そうな白っぽい幹の裏側らしかった。 葉が生い茂り、 こちらからは死角である。
! 音が止む。 姿は見えぬが、 木っ端やおがくずが飛ぶのがみえる。 粉砕したものを頑丈な嘴で、 強調せずにはいられぬほど盛大に放り出す。 きっと彼奴だ。 位置もはっきりした。
昼食もそっちのけで カメラを手にじーっと待った。
やがて 穴に出入りしたり こちら側に回り込んで眺めているようだ。 コッ コッの主は コンな方です。 葉隠れに ご覧になれますでしょうか。 肉眼では白のまだらな横縞がはっきりわかります。
この写真は ぶれました。