ドアの向こう

日々のメモ書き 

河回村

2011-09-30 | 道すがら

 安東河回村(バンドン カワエムラ)は 豊山・柳氏が600余年間、 代々暮らしてきた同姓村で、 瓦屋と藁葺屋が長い歴史の中でも良好な状態で保存されてきた。韓屋(ハノッ)が良好な状態で保存され、タイムスリップをしたかのよう。 朝鮮時代の大儒学者 柳雲龍と、 文禄の役の際、 領議政(現在の首相に相当)を歴任した柳成龍兄弟が生まれたところとしても有名です。(パンフレットより)

 洛東江がS字型に村を囲むように流れているところから河回村と。
   俯瞰の画像はパンフレットから  

 

    村の東方に太白山から連なる花山(海抜327m)がそびえ、 その花山の裾野が丘を形成、 村の西端までつづく。 樹齢600年を越える三神堂と呼ばれる欅の木(御神木)、 その場所が村の中で最も高い中心部にあたる。 画像左手の松林のそばに道を挟んでこんもりと繁っているのが多分ご神木。

 仮面作りを体験し 儒学者たちの風流な娯楽であった「仮面舞」を見物。
  仮面劇へ参加体験など 

 詳しくは 河回村HPにて

  第40回 安東民族祝祭
   安東国際仮面舞フェスティバルは 2011 9/30~10/9まで 

  世界の仮面が集まるそうだ
     

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八万大蔵経

2011-09-29 | 道すがら

 

  新羅時代(802年)に創建された海印寺。 韓国最大のお寺で、 蔵経殿には八万大蔵経が 湿気や温度を考慮して整然と保管されている。  版木8万1350枚 (横に並べると60㎞に及ぶ)。 5千2百万余りの文字を、 一字彫ってはひざまずいて祈る。 また 一字彫って祈る… その繰り返しで、 まさに 心で刻んだ教えだった。 
 版木を拝むだけでも 魂が洗われるよう。  雨あがりの境内に霧が立ち、 山々がつつましく控える。 なかに仏のすがたも立ちのぼるようだ。  感動しながら、 しばらくたたずんでいた。
 
 版材は白樺、 3年の間海水につけ、 乾燥させ、引き締めて彫る。 しあげに漆を塗った。 こうして腐蝕や虫食い劣化など防ぐ。 いまでも鮮明に印刷できるそうだ。  内部は撮影禁止。 海印寺の説明下段に写真が何枚かあり、 クリック拡大で、 大蔵経がみられます。

 

釈迦の教えを網羅した大蔵経は、僧侶が文字を書いたのち、 版木に貼りつけ、ごま油を塗って文字を鮮明に浮き上がらせて彫った。 彫り師は何人もいるが、 版木はまったく乱れず、あたかもひとりで彫り込んだよう。
 ちょうど近くで 2011大蔵経千年世界文化祝典 の開催中、 実物二枚が展示されている。 間近にみるチャンスだった。 造版過程も、 紙漉にはじまり、版木を切り出すところから学ぶことができた。 

 蒙古侵略に対し、国難克服を祈願するため高麗23年(1236年)にはじまり16年かかったとある。 もとは 別の所にあった大蔵経を海印寺まで 僧侶の読経を先頭に、 険しい山中をたいせつに布に包んで胸にいだき、 あるいは頭上に頂いて、 一枚ずつ運んだようすなども知った。 隊列は荘厳の極みではないかと思われたが 記憶違いがありましたら ごめんなさい。 

午後 古都・慶州へ

新羅時代の政治・文化の中心として栄えた慶州。 約2千年の歴史がある。
仏国寺

 俗世と天界を隔てる石段 その下半分が青雲橋、 上半分が白雲橋でその上に構えるのが紫霞門。 石段をのぼるごとに浄土に近づく。

    いまは無いが、 ここに池があり橋の下を船が通った。 証拠に蓮が植えてあった。 

詳しいことは こちらへ  説明もきれぎれとなり撮れなかった写真もあり、NETのありがたさを痛感しています。 紫霞門は正面から 木魚・ 法鼓・ 雲版・梵鐘など それぞれ拡大して。

 

  歴史遺跡地区  天馬塚 へ
 闇夜にもライトアップされ大小さまざまな墳墓が見える。 古墳群の23其のうち、天馬塚を見学、 内部の博物館で発掘品を鑑賞。 ここは5世紀末から6世紀の初頃に作られた。 積石木槨墳でこの古墳からは金冠を始め 各種装身具、 武具、馬具など11,526点を出土。 内側からみると石や土で固められた墳墓の構造がよく分かった。 外からは芝生に覆われた小山のようにみえる。

  詳しくは こちらに

   

 

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渡せる橋

2011-09-28 | 道すがら

夕べおそく金浦空港についた。 ソウル市内のホテルであわただしく眠る。 
 翌朝食は市内のレストランで ソルロンタン(牛骨や肉などを水で煮出してつくるスープ、 味付けはなく 肉や素麺、 薬味などを入れ塩・胡椒などで各自好みの味に調節。 ご飯も入れて濃厚な雑炊風)をいただく。 
 伝統とモダンが混在する街ソウル。 近くて遠い、 遠くて近い国を思うとき一抹の感傷が湧く。 かつて教わった隣国の歴史と文化に触れる旅だ。    

昌徳宮  朝鮮王朝の歴代の王に愛され、王たちはここで長い時を過ごした。 自然美を重視した朝鮮時代の美意識がよく現れている。 落ちついた建築空間。 

敦化門  周辺に樹齢300~400年のエンジュ8本。 朝廷の官僚が勤務する官庁がここに建てられ

 自由に枝を伸ばすところから 学者の気概に喩えられた。 
やはり植物に眼がいく。  建物は自然に調和している。 

 

仁政殿 昌徳宮正殿 朝会、王即位の礼、外国の使臣の接見をするところ
      仁政殿 内部  カーテンやシャンデリアなど西洋風インテリア。

 屋根の飾り(西遊記)  瓦が青い仁政殿と 宣政殿(王が普段業務を行う)

身分により通れる所がちがう  

王の通る所は 屋根つき
 その他 詳細はこちらで  

次いで 宗廟へ 
民族衣装の美しいガイドに案内されて中に入ると 韓国の国鳥カササギが迎えた

 このあとも 森のいたるところで見かける。 カラスより小振りで 肩や腹、翼の先は白。 黒くみえても緑や紫もうかがえて瑠璃色も美しい。 尾は長く、カシャとかカチャとか、 しゃがれ声で鳴く。  カササギは牽牛と織女のために翼をならべて、天の川に橋を渡すという中国の伝承もおもしろい。 日本では佐賀県にしかいないそうだ。
中国では「幸せを呼ぶ」 と、先日の鼻煙壺の模様にもあった。

宗廟は 神聖な王室の祠堂。 朝鮮時代の歴代王と王妃の神主位牌を祀り、祭祀を行うところ。 祭礼は国の最も重要な儀礼であり、厳格な手順と格式があり王自らが行った。  今も宗廟祭礼は毎年5月第1日曜日に行われ、600年も受け継がれている。 宗廟祭礼楽と調和してさらに荘厳さが添えられた。 
 参列者数百人、 韓国最大の伝統行事である。1995年重要無形文化財第56号、 2001年ユネスコ世界無形文化遺産(人類の口承および無形遺産の傑作)に指定された。
 儀式のようすなど 詳しくはこちらで 写真をクリック拡大してご覧ください。 

 午後から南へ1時間 水原着  
健陵 正祖(在位:1776-1800, 1752-1800)と彼の妃の孝懿王后(1753-1821)金氏の墓。 紅門 丁字閣 正祖・孝懿王后陵 直線上にならぶ。 正祖は 父王 荘祖の御陵を楊州拝峰山から水原の花山に移し龍珠寺を建て ここに冥福を祈った。

 隆陵は右手奥。 今回は寄らないが 米びつに閉じこめられ非業の死を遂げた荘祖(第二王子が正祖)と献敬王后の陵。  

 詳細はこちらへ

水原華城 朝鮮第22代正祖大王が2年9か月かけて完工。 要所要所に門、 砲台、やぐら、兵士の休憩所、軍事指揮所、訓練所など、 東西南北に整然と組み込んでいる建造物。 旗色に注目、 南は赤、西は白、北は黒、 東が青で区別される。

  

 華虹門 北水門  

訪花隋柳亭(東北角楼)にあがり四方を見渡せば 全長5.7㎞の城壁が万里の長城を思わせる。

訪花隋柳亭からの眺め 


 

  さらに 詳しく

龍仁泊   カササギに導かれて 初めての韓国旅行はつづく。
   
    パンフレットなどお借りして 自分宛のメモです。

 

 

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冷気のなかで

2011-09-25 | 自然や花など

  朝晩は肌寒いくらい  夜具をふやしてぐっすり眠る
  繁るにまかせた庭木をバッサリ  障子もあたらしく 部屋が明るい
 
  夜中目ざめて眠れぬままに 戸を開けて名月を仰ぐのだって
 皓々と部屋の隅まで射しいるひかり… 万葉人もこうして と思いを馳せる   
  学びつづけるひとの ロマンチックな面をみた  
  すてきな友だちだ
  
                                -☆-
   

   早くもハロウィンの南瓜が並んでいる


 

     秋蝶の使者の如くに園よぎり    泰

   園芸店には 数多くの蝶が集まっている   
   つぶらな瞳に 秋の雲…          

  ツルコケモモ  蔓苔桃  北米で クランベリーというそうだ
  実は 酸味と渋味があり 避暑地のお土産にジャムでおなじみ  

 赤い実に惹かれて購入  庭のしきり用にクラシックなフェンスなど
     
 ことしの庭は 茗荷が豊作 
 犬がいなくなって 土壌改良できたらしい
 ひかげの彼岸花は 蕾を高々と掲げてきた
  開花まであと少し

    

 

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野分の翌朝

2011-09-22 | こころ模様

ミニバラに台風

    きのう 台風15号が荒れ狂い 墓参を一ヶ所キャンセルした
   午後 4時ころより風雨強まる  
    ゴーォ ゴーとつよい風が木々を叩き 大きく揺らしている
    揉まれる梢の 悲鳴が聞こえるようだった
     土砂降りの雨を吹きつけて  雨戸を洗い流している 
      おかげで 木製の戸は膨れ
     今朝は 押しても引いてもまったく動じない
      のんびり 乾くのを待っている  

    鉢はいくつか棚から落ち  酔蝶花の小花は
    千切れんばかりに 振り舞わされたのだろう  
     根元が浮いて 株ごと倒れている

    雨過天青雲破処…  青空が覗いた
     庭の虫たちは 声高にうたっている 

             -☆-

   パソコンに向かうと ふいに清浄な香りがした
   そうそう 中国の旅で偶然もらうことになった王羲之蘭亭序の拓本だ
   行書 28行 324文字  書の最高傑作といわれている
   参考  日曜美術館 


   流麗な文字に釘付けだが  墨のいい匂いも好き 
   拓本の 高貴な香り  心が落ちつく匂いだ     

     墨は 煤をまとめるときの膠の匂いを消すために
     香料を入れる。 甘松末・白檀・龍脳・梅花・麝香等などとある。

 永和九年歳在癸丑暮春之初會于會稽山陰之
    蘭亭脩禊事也群賢畢至少長咸集…

   永和9年(353年) 禊ぎ祓いのあと曲水の宴にて詩作
   王羲之が序文を書いた と

   全文は こちらのサイト
   

                -☆-
  
        
         
  

  机のあたりに墨の香がただようなんて  いい気分だ  
   仄かな香りに そっと秋が近づいてくる
  
     別所沼の水も 増しているのにちがいない
      

 

 

 

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秋の雲

2011-09-16 | 自然や花など

   秋雲の下そこはかと人住めり   角川源義

  一気呵成  広大なパノラマに秋の雲
  シフォンの耀き 軽やかさ

  今日も 暑かったけれど

    日暮れに 秋の気配がする

17:46

   くさむらに 虫時雨  
   蟋蟀 邯鄲 螻蛄 (コオロギ カンタン ケラ) の合唱団  

      

 

 

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残暑

2011-09-15 | こころ模様

     胸中に文意煙れる残暑光     飯田龍太

  連日真夏日、  さいたまは35度くらいがつづいて
  強烈な陽射しにうんざりする 
   ただでさえ もやっとした蛙に 文意はほとんどつかめない。
  欲張って借りた図書館の本を 途中まで読んで返した。

  

  先日出かけた 東京ビッグサイト  
  地下道を照らすガラスに水がながれ、 青いしずくをこぼしながら
  ゆっくりと流れ、 笹を揺らしてそよ風が吹く…  喧噪のなか
  耳を澄ませば  こずえの音に水の音 
   こころに涼を映した

     -☆-

月曜  法事  世界の悲しみを湛えたような名月をあおいだ。
火曜  万葉講座。 清川先生はいくつもの連載や講義をかかえていても、絶対講座を休むことはないので、こちらも気合いをいれて。 テキスト(万葉恋歌 主婦の友社)、分厚い辞書、伊藤 博先生の万葉集 上・下、 重さ3キロのバッグを肩に。 それに飲み物も忘れず。 
  古典の学習はもちろん先生のおげんきも頂く日。 生きかたも学ぶ。
水曜  障子貼りつづき、 友人の薦めによりことしは早め。
年末慌てないですみそう。 
木曜  油彩2回目。 6Fを仕上げる。

  ぼーっとしているようでも 充実の日々。

 

 

 

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名高き月

2011-09-12 | こころ模様

   法要のため高尾へ  その後 八王子の うかい鳥山 に集う
  みどりを堪能し、 地鶏の炭火焼きも美味でした
  

  懐かしい風景にも出会った
  カメラを高く構えたら  その指先に蜻蛉が留まったけれど
  どうやって写したらいいの   
   
  

     うかい鳥山で  

  今宵、 中秋の名月   

   馬追のまづ鳴きいでし良夜かな   秋桜子
   名月や池をめぐりて夜もすがら    芭蕉

  月をながめ 夜通し歩きたい… 
   うつくしい望月です
    ひときわ明るい今宵の月


 

  6:37  家の2階から  
  月の写真はうまく撮れません

   天空と水面の月… 
    2008年 池を巡って愛でてきた

 

 

 

 

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秋の空

2011-09-07 | アートな時間

  ようやく、 からりと晴れて青空がのぞいた。 深い青のセルリアンブルー。 そんな青を湛えるガラス瓶は、 出張先シリアのお土産として、 1999年次男から届いた。 高さ9センチ、底径4.5センチ ラメ入り模様はエナメル彩、 先日学んだばかりだ。 吹きガラスの製法を発明したのはローマ帝国時代のシリアだった。

 

  天秤テンビンとガラスの花は、 イランのものか。 
 
  
 

  安価な土産も並べてうれしい、 知らない土地の風が吹く。

      青柚子の葉よりも青き九月かな    青龍

      秋の空露をためたる青さかな      子規

 

 

 


  

 

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ビエンコ

2011-09-05 | アートな時間

 日曜美術館アートシーンで 国立エルミタージュ美術館所蔵 皇帝の愛したガラスが紹介された。 うろ覚えだが、 展示品のなかに金の蓋が付いた硝子瓶があり、 絵は細い筆で内側から描かれたと紹介していた。 前におなじような品を見たような気がして、図録をめくり 鼻煙壺(ビエンコ)をつきとめた! とは大げさな。
 玻璃内絵鼻煙壺(総高6cm)の細緻な絵柄 拡大して見られます 

 鼻煙壺とは、手の中にすっぽり収まるほどの小さな壺。 嗅ぎタバコ(煙草の葉を粉末にして発酵させ、香料を加えたもの)を入れるための容器。 嗅ぎタバコは、17世紀に献上品としてヨーロッパの王室から清の宮廷に献上されたもので、皇帝や宮廷の貴人らを魅了した 。(故宮博物院図録より) 

 

   こちらは中国の土産店で買った小瓶。 高さ5センチ。 表と裏のデザインがすこしちがう。 赤くて尾の長いのは 何ていう鳥?

 裏に返すと ニワトリの背景も変わり  花や鳥の種類も変わる。 
 この絵も瓶の内側に描いてある。 先の曲がった竹の筆を これまた小さな瓶の口から差し入れて描くそうだ。 何の鳥か訪ねると、 店員は鵲(カササギ)と言ったが 青い鳥がそうだろうか。  

  コロンとしたちいさな瓶はペットのように、掌でここちよくなじんだ。  @ 50元

 博物院の「玻璃内絵鼻煙壺(総高6cm)」 細緻な絵柄 ただよう詩情…
 小さなものにこめる想い  ロシア皇帝からはじまって
 またひとつここでも繋がった  

 

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驟雨

2011-09-04 | こころ模様

     日曜の朝、 「秋」は銀かな具の細巻の
     絹薄き黒の蝙蝠傘さしてゆく、
     紺の背広に夏帽子、
     黒の蝙蝠傘さしてゆく、

     瀟洒にわかき姿かな。 「秋」はカフスも新らしく
     カラも真白につつましくひとりさみしく歩み来ぬ。
             …   (後略) 北原白秋


                     -☆-

 台風が来て 爽やかな秋とはならないけれど       

 少しづつ感じられるその気配

   葉鶏頭のいただき躍る驟雨かな   杉田久女


 ときどきザアーっと かぶせて

この画像は絵葉書から

  こんなめぐみを 置いてゆく

 
 
 大雨の被害に遭われた皆さまに こころからお見舞い申しあげます

 



  

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絵にっき

2011-09-01 | こころ模様

  朝顔や路地に日の射すこの時刻    鈴木 真砂女

 
  
 あさがほの花びらの縁(フチ)疲れ来ぬ   篠原  梵


   朝顔の紺の彼方の月日かな      石田波郷
   
朝顔やおもひを遂げしごとしぼむ   日野草城

 朝顔は 秋の季語    朝顔の苗   夏の季語

           -☆-

  朝顔をみると夏休みを思いだす。 絵にっきは対象が何であれ好きだった。 植物の観察日記、 小動物の飼育日記。 何があっても忘れずたのしみに書きつづけた。 絵も子供ながら凝っていた。  
 転校したその年はアヒル日記。 伯父が飼ってた家鴨のヒナをみつめた。 そこは養鶏場でニワトリは何万羽。 アヒルも一羽か二羽じゃなく、 囲った広場で百羽くらい。 臭いもきつい、 でも がまんした。 
 泥にまみれて水浴びする。 ガアガア賑やか、 餌をもらうのもすさまじい。 羽音や埃。 地面はこねられていつもぐちゃぐちゃだ。 毎日代わり映えしないけど、 おなじ絵にならぬよう工夫した。 さまざまな形態を描いてどうにかつないだ。   

   朝顔のべたべた咲ける九月かな    長谷川かな女

 きょうから九月、 夏休みは終わっても、 ここの絵日記はのろのろと続きそうだ。
  台風がゆっくり近づいてくる。

 

  

 

 

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