ドアの向こう

日々のメモ書き 

静物

2006-09-28 | イーゼルのうた
   
 
今回、好みの絵はがきを入れた。
金山康喜(カナヤマヤスキ 1926~1958)の「聖ヘレニウスの時計」。どの絵も青が印象的。 くすんだブルーが画面を占める「ヒラメと天秤のある静物」や「コーヒーミルのある静物」など。
 彼のブルーはものがなしいけれど、微妙に変化する青、複雑なかさなりに惹かれる。ビュフェやカルズーらのグループ展にも出品。当時のパリ画壇では気鋭の若手画家として期待されはじめていた。 帰国後間もなく急逝した。33歳だった。

 絵はがき 雉などのはね 辞書 瓜 檸檬  2006.9 8F
 お喋りが多いかな。生の色は、時間をかけて落ちつかせたい。 写真は 実際より濃く出ている。ほんとうは これより淡い。 
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ビッグスマイル

2006-09-26 | こころ模様

 墓参は、昼ごろから雨になった。 帰りは畑中の近道をぬける。ふいに向日葵が現れた。車を降り、片手に傘を泳がせながら夢中でシャッターを押した。

 どこからともなく声がする。
 「実家はいいねえ…」 母の口癖だ。 ここに来るといつも満足げ。  伯母のかぞく、変わらない自然、跡取りの歓待やお嫁さんの気遣いがある。 遙かむかしの娘のころを彷彿とさせるのであろう。 向かいながらウキウキしていた。 帰り道も彼女を幸せにした。
  
           -☆-

 その話はなんべんも見た紙芝居のように、飽きている。
 「まえにも聴いた いつもおなじ話…」 毎度では気もそぞろ。 それでも彼女はおかまいなしで。 要所に近づけばひとりでに録音テープのスイッチON。 話さずにはいられない。        
 (お前の)おじいちゃんは、自転車で野菜やお米を運んでくれた。 ちょうどこの辺りで検問にあった。 と、県道にさしかかる。
 「夫を亡くしたむすめと、その子がおなかを空かして待っています…」 そう言うと
 「早く行ってあげなさい。 気をつけて」 と声を掛けてきた。 顔見知りだったかも知れない。 見逃してくれた。 「親はほんとにありがたかった…」 と、しみじみとなる。 片道25㎞の道のりである。 祖父は何往復したことだろうか。 感謝し思いを馳せた。

 祖母も、夕方雨戸を閉める時分になると 「こどもが小さくて、ひとりでどうしているだろうか… 病気はしてないか」などと、かならず思ってくれていた。
 「ひとりだから不憫だったんだね。 心配ばかりかけた」 とはじまるのだ。

 むかし語りはところどころ脱線し、さまよいながら続けられ、 女学生の頃に飛んだ。
 用事ができて親戚へ、 親の変わりにひとりで行った。 夕方、川沿いを走って帰る。 お土産の小豆はかなりの量だ。 その重みも手伝って砂利道にタイヤを取られ、自転車ごと勢いよく川につっこんだ。 ちょうど知り合いが通って助けられたそうだ。
 「ちょうた(恩人の名前)がいなければ、命はなかった。 ちょうど、その下よ…」 と名調子。 かくて私も、ふるさとの広やかな慈愛にひたっていった。  

          -☆-

 食事のあとで、 いとこのお嫁さんがはなしていた。
 「おばさんはよく豪快に笑ってましたね、 思い出します。 こうしていると声までしてきそうですよ」

 実家はいいなあ…  部屋にあがると口にした。 母の声が耳に残る。 
 ふるさとで元気をもらっていた母…  
  雨に濡れて泰然としている 大きな笑顔にかさなった。  
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彼岸

2006-09-24 | こころ模様

 そこは大変見晴らしの良いところであった  潮風がつよい陽ざしを和らげてくれる 
はるかな山なみ ブルーの影となり横たわる 
 波もきらきら光っている 
 そこに立つと 烏帽子岩もさかなの尾鰭のように望める 
 幼子をまん中に ふたりなかよく並んで眺めている  …相違ない

 あなたはいつもここにいる 
 私たちを見つめている
 いつまでもこころに生きている

 彼岸と此岸を へだてる 閼伽アカの水
 大いなる海…   母はいつもここにいる 

  9月23日 両親と兄の開眼供養をする 
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静かなもの

2006-09-22 | イーゼルのうた

        
        静物のこころは怒り
        そのうはべは哀しむ
        この器物ウツハの白き瞳にうつる
        窓ぎはのみどりはつめたし。
                      静物   萩原朔太郎     
  
               -☆-

  透ける色  てざわり  つめたい耀き  ゆがむ形  ガラスの余情
  水色のなかの気色  乳白  しなやかなる光  青ざめる影  まどろむ面

    瓶の中でオルガンがなる  海の匂いがする  2003 8F>  

        

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せなか

2006-09-19 | アートな時間
     グウェン・ジョン 「黒猫を抱いた若い女」  1920年ころ

 黒い毛の質感がみごとである。 反射して鈍いひかりを放っている。小山のようなからだの起伏。なだらかに波打って。 

 横顔と背中は真実を語る。モデルねこの考え、体温も息づかいもみんな伝わるようだ。うつむいて沈思黙考、神妙な顔つきさえも窺える。
 一方、動物のやわらかくあたたかな、安心しきってまかせる重さを受けとめている。彼女は手のひらの感触をよろこび、胸のリズムを聴いている。
 しずかな色あいも好きだ。

 rugbyの天鵞絨のような毛色、その艶、ねこ以上に美しかった。 体温は高め、そばによると熱かった。 描いておけば良かった。 背中や、細い首すじの肉付きを思い出せる。 ソファーの上に、その気配をいまも感じている。 

 部分から全体が想像できる、見えないところを見えるように。いつも目指すことだ。実際は見えないうしろこそが、だ・い・じ・と
 背中は雄弁、そこに目はないけれど、意識をおく。

 見つめると、若いモデルの背中も想像できる。
 実際、口ばかりでうまくいかないけれど。 
        いまは 秋の静物をかいている
  
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ひろがる世界

2006-09-12 | こころ模様
 万葉の歌を読んで 思いをはせる。
 別の詩を読んで、そこから広がるものがあればしめたもの… こう仰った。

君が行き日ケ長くなりぬ山尋ね迎へか行かむ待ちにか待たむ  巻2・85

  にはじまる 磐姫皇后イワノヒメノオホキサキ、仁徳天皇を思シノひて作りませる御歌四首

 磐姫皇后は、万葉集の作者のなかでもっとも年代的に古い人である。そこで古事記が紹介された。8月「古典に読む恋の心理学」(清川 妙著 清流出版)のなかで女鳥王を、また「隼別王子の叛乱」田辺聖子著など読んでいたのでお話はとてもよく理解できた。 響くものがあれば勉強はますます楽しい。
 たっぷり二時間、お疲れも見せず、よどみなく講義は続いた。  

 さいごに 「智惠子抄も万葉集とおなじですね」と結ばれた。
まさに読んだばかりであったから、頭がカーッツと熱くなった。 自分の記憶と符合する楽しさに、どきどきする。 たとえようもなく嬉しいことであった。

 少女の頃より ひとり燈火のもとに文をひろげて、みぬ世の人を… 友として、古典に親しんで来られた。蓄えられた深い知識を、毎回、このように惜しみなく見せて頂けるとはなんと幸せなことか。 宝のような時間を大切にしたい。 きょうも、きらきらした時間をありがとうございました。

             -☆- 

  秋さらば見つつ偲へと妹が植ゑしやどのなでしこ咲きにけるかも 
                       大伴家持  巻3・464

   高村光太郎  智惠子抄 「梅酒」より抜粋 

    死んだ智惠子が造っておいた瓶の梅酒は
    十年の重みにどんより澱んで光りを葆み、
    いま琥珀の杯に凝って玉のやうだ。
    ひとりで早春の夜ふけの寒いとき、  
    これをあがってくださいと、
    おのれの死後に遺していつた人を思ふ。
    おのれのあたまの壊れる不安に脅かされ、
    もうぢき駄目になると思ふ悲に
    智惠子は身のまはりの始末をした。
   
      -中略-
  
    厨に見つけたこの梅酒の芳りある甘さを
    わたしはしづかにしづかに味はふ。
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こころを描く

2006-09-11 | イーゼルのうた

               1992年  薔薇  20F  

     素直な絵が好きだけれど いまは描けない
     
  絵はこころの鏡  黙っていても素顔が映る

     
胸がザワザワして  描く気がしない 
      まったく暇がないわけじゃないのに 
      
 なんだろ    この気の無さ
  

     たとえ時間があっても
  
    りっぱな花を頂いても  生意気に 気分が乗らないこともある  
      
モチーフは 日に日に萎えた
    
    
   油のにおいが無性に懐かしい日 また来るかしら
       
 枯れ花さへ すてきを見つけわくわくする 
         そんな自分を   はやく取り戻したい… 

 

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藪の瓜坊

2006-09-01 | 自然や花など

 旺盛な繁殖力をもって自然界を席巻するカラスウリ すでに瓜坊のような可愛い実をつけていた。
 こちらは眺めるだけで、いまは気楽。 しかしこれが庭で芽を出そうものなら、あれよあれよという間に高野槙に這いのぼり、金木犀もツバキも虜にして、所かまわず絡みつき、カアカアさわぐに違いない。

 やがてカラスウリ御殿となり、 瓜坊さえいづれ「アホー アホウ」とはやし立てるに決まってる。
 種まき… どうしよう 
                
               -☆-

はや9月 長月・菊咲月・紅葉月・寝覚月・彩る月・小田刈月・梢の秋 などの異名もある テンプレートをかえた 秋の七草も 探しに行こう  


  霧の中おのが身細き吾亦紅               橋本多佳子

  長月や豆のまきひげ黄に枯るゝ             上村 占魚

萩の花 尾花 葛花 なでしこが花 女郎花また藤袴 朝貌の花
                           山上憶良
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