ドアの向こう

日々のメモ書き 

お伴

2005-11-30 | 犬のブロンコ・ダン

   つよい日射しが押してくる
 
     ひくい影伸びて  
    そちら向いたり こっちを見たり
     あくびしながら  地面をゆく薄墨のいろ
       
         ☆

   みずみずしい鼻を光らせ  耳は天をつく 
    威厳ある顔つきで  少しまえいく影法師  夜より黒い

  ドン・キホーテのお通りじゃ 従者をつれて誇らしく 
      真昼の夢 … 
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山茶花

2005-11-25 | 自然や花など

 
急にあわただしくなる身辺です。いつものことながら気分だけ。 行きつ戻りつ、あちこちつついては脱線しています。 思い出の渦に巻きこまれ流され、抜け出すひまなく日が暮れる。そのくり返し。  

 いつの間に、庭の山茶花が咲いていました。そっと見られていたのです。凛とした清らな白さが眩しくて、思わず姿勢を正します。

   山茶花のこゝを書斎と定めたり   子規  
   山茶花のこぼれつぐなり夜も見ゆ  楸邨

 夜目にもくっきりと。  下手な家事がつづきます 

この画像はこよみのページ私的歳時記 サザンカ に掲載されました。かわうそさんありがとうございます。

 

 

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たねを取る

2005-11-19 | 自然や花など


  冷たい風があたる西側で、 まだクレオメ(西洋風蝶草)が咲いていた。 花のつきかたも面白いし、細いひげが舞うようで印象的。 ピンクの小さな花がところどころ白んで縮れ、花の終わりを告げている。
  いまだ強い西日に守られてきたのだろう、 よそでは見かけない。 花の下に、八方にひろがる細い刀のような実。 そのふくらんだ莢に触れると、待ってましたとばかりに弾けた。

  夏の終わりにたくさん集めたナガミノヒナゲシの種は、 砂粒よりもさらに小さく、さらさらと地面に落ちた。 クレオメは少し大きく、菜種くらいか。

  ルーペでよく見れば一粒ずつ、「の」の字にくるっと巻いている。 虫みたいだが、種のじっと待つ姿だと思えばほほえましい。  しかも大きさ1.5㎜。 なんといとしい。 莢の長さ35㎜   みつめながら白秋の詩を思い出していた。

                        
 人知れず袖に涙のかかるとき、
 かかるとき、 
 つひぞ見馴れぬよその子が 
 あらせいとうのたねを取る。
 ちやうど誰かの為スるやうに
 ひとり泣いてはたねを取る。 
 あかあかと空に夕日の消ゆるとき、
 植物園に消ゆるとき。  
    「雪と花火」より 「あらせいとう」 

  どこか哀しくなる。
  あらせいとうのたねを取る のフレーズがとくに好き。
  「あらせいとう」 竹久夢二の絵のように、なつかしく響く。 これがストックだと知ったときの驚き。

  季節の花300さんによれば、 ストック 別名 紫羅欄花(あらせいとう)  葉が、ラセイタ (毛織物の一種(raxa))。ポルトガル語 ではラセイタと呼ぶ) に似ており、 そこから「葉ラセイタ」 →「アラセイタ」 →「アラセイトウ」に変化した。

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あうんの呼吸

2005-11-15 | 犬のブロンコ・ダン
 いつも上着は自前、ツヤのある黒い天鵞絨だ。真冬でもこれ以上着ない。寒がりだけど窮屈なセーターは格好わるい。ビロードが誇らしい。
 散歩に出ると仲間が親しげに近づいてくる。それでも貴公子然として、愛想がない。脇目もふらず大まじめであるく。性分は曲げられない。 by rugby 

         -☆-

 散歩は綱を着ける。鵜飼いのように、引き綱をとおして気持ちが伝わる。微妙な綱の張りぐあいで、いらいらも、せかせかもわかるようだ。こうなると犬まで落ち着かない。うきうきを届けよう。
 反対に、犬のきもちも綱の調子で理解できる。少し疲れただとか、気乗りしないとか。
 しっかり結ばれた、これぞ本当の「きづな」である。

 犬の目線で低い位置に気をくばる。白内障の彼のために、ぼーっと行くようでも、車をよけ、マンホールの穴に細い足が入らぬかなど考えている。 突如、犬は躯を斜めにして首に力をいれた。
「こっち、こっち」と言っている。 犬の用事に付き合わされた。 

         -☆-

 グリーンを見ながら歩いた。
 あざやかな黄色いハートの連なりが、まるで万国旗のように風に吹かれ、柿や梅の木に絡みつき、フェンスをかけあがる。生け垣のてっぺんでも、貝塚いぶきの上にもぐるぐるとできた冠。
 零余子の蔓である。
 今頃いくらでも見つけられた。赤味がかった茶、インディアンレッド。陽が透けるベージュ、
山吹いろ、レモンイエローが惹きつける。

 立ち止まると、今度は犬が付き合っている。黙ってこちらを見上げている。蔓の行方を飽かず眺めた。そのうち飽きて「クゥーン」と一声かけてくる。 「もう、帰ろう」ということだ。

 人と犬、歩きながら無言で話す。ハートとハートをロープでつなぎ、零余子のように心を通わせる。「あ」「うん」で、いつでもそろう。 今日の会話を教えてあげる
 「そっちじゃない」 「止まれ」 「ゆっくり」 「だめ!」 「かえりたい」 だよ。

 このあいだ 「筋肉もしっかりしてます」 と獣医にほめられた。それで最近げんきになった。まだまだ歩ける。 静かな住宅街で、アスファルトをひっかくような爪の音だけ聞こえる。 
 シャカ シャカ、シャと軽快なリズムが どうぞ、いつまでも続きますように  by kawazu
コメント (2)
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