別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

かわいらしい

2009-02-24 | こころ模様
  

   うつくしきもの。 
     瓜に描きたるちごの顔。 雀の子の、鼠鳴きするに踊り来る…

  なにもかも小さいものは かわいらしい。
  お菓子の箱に納まった おひな様は、 介護の合間に手作りされた。 
   愉しみじょうずな友からの贈り物。
  
  春は名のみの 風の寒さに 凍えがちなこころがかすかに解ける。
    よい匂い  ちいさな喜び…
 
                   -☆-

  彼女のおひな様は  古い日記にも登場した。 

      

     春日和     2006-02-25

   愛さんのおくりもの。 いぜんのもあるけれど、 色褪せしたのを気にして、 また届けられた。 貝のおひな様は お嬢さんの着物を解いて衣裳にしている。 
  幼い思い出に染まった愛らしい柄を、 雛のせかいに旨くはめ込む、 試行錯誤されて品よく決まっている。 これはセンスがものをいう。  
  
   なかのお香が 雅びやかに薫った。                         

  

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春の思い

2009-02-22 | こころ模様

  
  図書館から北鎌倉の東慶寺さんへお訊ねいただいて 春さんの謎がわかりました。   
寺の宝蔵が所蔵する 「木下春句集」にこの句が収録されており 木下春の句であると確定されました。
 
   「木下春句集」牧羊社 昭和43(1969)年刊 p113 より
   
        籠りゐて はげしき心 春をまつ    木下春    


    句集では 「待つ」 ではなく 「まつ」となっているそうです。

       お調べくださいました Y様  東慶寺様 ありがとうございました。

               -☆-

   はげしき心…  
         これほど大きな決意などないけれど
          春来りなば  心をこめて よい絵を描こう。

         春愁の襟紫に掻きあはす       かな女  

             入院中の妹に 寄りそう君へ   幸あれと祈ります

 

 

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茶筅梅

2009-02-18 | 自然や花など
薄紅の萼もいじらしい

  風はまだまだ冷たい、 春は戸惑いながらやってくるようだ。 百花の魁。 梅の香に包まれて、 万葉の歌人たちに思いを馳せる。 白梅、紅梅、八重や枝垂れなど雅に咲き乱れて。

  大宮梅まつりでめずらしい品種をみつけた。 すでに 花は終わりと見まがうばかり。 吸い寄せられるように近づく。 
  華やぎをよそに静かな佇まいのこれは…
 花弁が退化し、 雌蘂や雄蘂だけが咲く、 茶筅梅(チャセンバイ)というそうだ。 なるほど茶筅の先に見えた。 しかもかなり使いこんでいる。 寂びた色も奥ゆかしいが、 茶目っ気たっぷりに意表をついて驚かせる。 地味な花を見落とさないでよかった… 写真を見ながら心底そう思う。 

遠州糸  

   園内は 白加賀が多い。 45品種650本もあるらしい。 「豊後」 「八重野梅」ヤエノバイ、 青みがかった「月の桂」、紅白染め分けの「春日野」、「遠州糸」。 ずばり 「見驚」ケンキョウなどというのもある。

  
  古今集から
 
   色よりも香こそあはれとおもほゆれ たが袖ふれしやどの梅ぞも  よみ人しらず
   君ならで誰にか見せむ梅の花 色をも香をもしる人ぞしる      紀友則

    
    やはり  紅梅…  逆光の中で 胸が痛むほど美しかった。 
     陶器祭りも賑わった。 ことしは 湯冷ましをゲット。 

 

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お菓子のような

2009-02-17 | こころ模様

        

 でも 食べられない。 手にとって…  独特の油性の香りをかぐと、 なんとなく幸せ。 皮膚についた匂いは しばらく消えない。

  おみやげの正体は、 クレオラのクレヨンです。 ずいぶんむかしに 家族から贈られた64色。 その色名を確かめるだけでも楽しい。 

  ネーミングは子供を中心に公募したそうだ。 「熱帯雨林」 「アスパラガス」 「クローバー」 「マカロニ&チーズ」 「森のオオカミ」など。 ユニークな名前から その色を想像するのも愉快です。 「熱帯雨林」とは どんな色になるだろうか。

   

  箱の底部に削り器がある。 巻紙をほどいて鉛筆のように削れる。 
  500色の鉛筆もあるらしいが、 これで満足。 そんなに使いこなせないとおもう。 でももし手に入ったりしたら  宝物として仕舞っておくだろうな。
   ときどきは出してきて  陽に当てて ニンマリする。

 

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ミモザ

2009-02-16 | 自然や花など

 

   ミモザが咲いた
 
 
   小さな にぎりこぶしが

      パフのように開く

   銀鼠の葉が 

      羽根のように翻る

 

  

  ミ モ ザ     たとえば

    ☆ 星屑   ☆ 檸檬味の金平糖   ☆ 人形の耳飾り  ☆ 月の雫

       

     

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数本の柱

2009-02-15 | 別所沼だより

   冬枯れて 見渡す限りもの寂し…   そんなところを期待してやって来る。 
   ところが 季節はずれに暖かく  ぼうっと霞んでいます。 
 

 

  沼を一巡りするころ  木立の影も美しくきまる。 午後の4時30分。 
   見あげる木々が墨画になった。 横山 操の絵のような 寂寥感が好みです。

  自然の造形、 遺構のような数本の柱。  線描はそのままで  モノクロに写る。 

    

  

    もう一周…    新緑の頃 を思って

         青葉若葉に野山のかげろふ時
         ああ植物は清いと思ふ
         植物はもう一度少年となり少女となり
         五月六月の日本列島は隅から隅まで
         濡れて出たやうな緑のお祭…  (後略)     高村光太郎

 
   「うぶな、こまかな仕掛に満ちる…  小さな葉っぱは 世にも丁寧に畳まれて」
    あざやかな意匠に変わる。  ひとときも目が離せない。

         

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今朝の客

2009-02-14 | 夢見鳥

  暖かな朝です。  やあやあ  しばらく… 
   お元気でしたか、  お待ちしてました。 ことしはもう来ないかと…

    太ってる   覆面してる…  やはり鋭い目つきの シメさん。 

 しめしめ…

 腮アゴが黒くて 髭のよう。 おかげで強そうに見えるけど  とても臆病。 あたりを気づかって、 慎重にようやく向日葵を銜えました。 種をバチッと割る音がしばらく続いて

  淡いきれいな衣装から、 お客は雌と判定。  首巻きはグレー、 つばさに青みがかった黒と白や暗褐色。 嘴は淡い肌色で、 尾羽の先が真っ白です。 雄は頭と頬に濃い茶褐色がある。

 

 

  ようやく目が合ったね! いつも 独りね     メジロさんも ようこそ

     この方のページに  鮮やかなシメの写真があります。     

   ご近所の河津桜がことしも見頃です。

   去年のご紹介はこちらへ

 

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梅暦

2009-02-11 | 自然や花など

  

  いただいた絵はがきから     福田平八郎   「梅と竹」
  
  木の花は、 濃きも薄きも紅梅 に 竹、 変化する色と配置。 見えないところを想像する。 

   梅に思いをめぐらせて…
 梅返し 濃い桃色の小紋を染め返したもの。  
 襲の色目 梅襲、 表は濃い紅、 裏は紅梅色。 ほかにも 表は白で、 裏は蘇芳スオウともいう

 梅つ五月…梅の花咲く 陰暦二月の異称。  
    梅の色月イロヅキになると梅は青くて五月。 
 
 梅にも春  梅にも春の色添えて  若水汲みか車井戸 音もせわしき鳥追いや 朝日に繁き人影を もしやと思う恋の慾 … 
                          三味にあわせて  唄ってみて

こんなのも  
  梅の木学問  … 梅の木は早く生長するが大木にはならないところから、 進み方は早いが学問を大成させないで終わる人。 身に沁みる。 
  家紋に 梅鉢

 

  写真は去年の。  それぞれ 二木屋、 玉蔵院で 

  
    梅といえば名文がある。   

  梅の花の雄蘂を見るのは生れて初めてだった…
  彼等は一本一本が白金の弓のやうに身を反つていた 雄蘂の弓が 新月のやうに青空へ矢を放つた         (川端康成全集 第21巻「梅の雄蘂」 新潮社版)

  何度読んでも 感嘆する。 これいじょうの表現はない。 

 ・初花草 ・春告草……これほど親しまれ待ち望んでいる 春よ来い 早くこい 

    参照  古語類語辞典

 

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春の情

2009-02-05 | こころ模様

   
  ・ 郵便受けのハガキは介護の只中にある友だちから。 朝いちばん、 わざわざ自分で届けにきたものだ。 あえて顔を合わせぬ思いやり、 やさしい手紙には椿の切手が添えられていた。        

  ・ 「受かりました!」  「おじいちゃんの所へしばらく行けなかったけど ごめんなさい…」  改まって すこし大人びて、 受話器のむこうに小学生の声がはずんだ。 瓶の水仙がふわり香る朝  真新しい春のページ。

  
  ・ ひさしぶりに髪を切った。 美容室の窓辺にガーベラが活けてある。 その鴇色が春の陽にさり気なく溶けこんで、 ほんのり温かい。  冬ざれよ さようなら、 軽くなった髪に そよ風が抜ける。  

       窓の枝揺るるは春意動くなり         風生                 

 
 ・ 確定申告を終える。 ていねいな応対だった。 

 

                                    

 

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手が思うこと

2009-02-01 | こころ模様

   
  二月は強い風とともにやってきた。 冷たい空っ風が身にしみる。    
 
    二月の靴の片方は菫で、 もう片方は白い霜のクリスタルでできている… 

 
などと聴いた。 春らしい色やひかりを想像するだけでも麗らかになれる。 それでも手袋だけは外せない。 なぜって 防寒以外に手套こそ人生のたいせつな飾りだから。

      けもの臭き手袋呉れて行方知れず        三鬼

   おやおや… 

      冷笑をこらへ手袋はめゐたり            かな女
  

      手袋の十本の指を深く組めり            誓子

   どれも 意味深い。 

                       -☆-

  ことし朱い手袋をバーゲンで買った。  見栄を張って手にいれたものの、 ずっと黒できめてきたので、 何となくはずかしい。  派手すぎないか…  赤い口紅のそこだけが目立つように、 手袋だけが主張し過ぎないか。
  肝心なのは手そのものだ。 

  じょうずに字を書いたり、 よい絵が描けたり、 美味しいものを作ったり、 やさしく差しだしたり。  傷みを手あてするやわらかな手。  現実は、 マニキュアの変わりに絵の具が染みて、 荒れ放題の手である。 字もうまくない。 
  それならカバーをかけて 変身だ!
  
 着けただけで有能な手になれるのならば、 これをはめて大手を振って歩こう、 袋のなかの手は心底そう思っていた。 

  
          

 

 

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